お尻を出したら、裏切られた話。
私が通っていた幼稚園には、大きな木を活用したツリーハウスがあった。
毎年卒業する学年になると親御さんたちが何か園に残してくれる風習があった。
そのツリーハウスはとても立派で、園児からは大人気!
【年少さんは使うことを許されない】という、子供たちの中の暗黙のルールがある神聖な場所だった。
そこには先生たちも関与しない。
多分そうやって年功序列を身体で覚えていくんだね。
ある日、そのツリーハウスを同級生の男の子たちに占拠される事件が起きた。
本来皆のものだし、陣地争いしてたわけでもないのに急にとられたら悔しくて、取り返してやろうと思った。
「立ち上がれ、女の子たち!」と声をかけたが仲の良い2人しか賛同してくれなかった。
まずは、手始めに入るところから始めなきゃいけない。
ツリーハウスの下から男の子たちを呼び、
まずどうやったら入れてもらえるか尋ねたら、
「お尻見せたら入れてやる」と告げられた。
だから、その日から私達は
【お尻を出す極秘訓練】を開始する。
もちろん皆がいる前では恥ずかしい。
先生になんて見つかったら怒られるに決まってる。怒るというより、諭される。
そして、うちの幼稚園はあまり大きくない。
どうしよう⋯。
なによりうちは、キリスト教の幼稚園。
敷地内には、小さな教会が併設されていて、
園長先生は神父さんでもある。
だからといって皆が皆、天使のような、お上品の持ち主ではないし、普通の幼稚園の雰囲気とは、そこまで違わないと思うんだけどね。
しいていえば歌うのは、童謡より、賛美歌とかが多かった印象。
あと、たまに教会の礼拝堂に行って園長先生に聖書を読んでもらうくらい。
さすがに、クリスマス会は皆でバッチリ賛美歌を熱唱し、聖書の劇を保護者に披露していたが。
(ちなみに私はガブリエルの役)
だから皆天使のような、清らかな子供らの尻だとしても、園長先生が見たら卒倒する気がした。
今考えたらそんな事ないだろうけどね笑
でも実際、園長先生は、いつも私のお下劣でくだらないおふざけに優しく微笑んでくれていた。
私が【ウンコちんちん】とか言ってもイエス様の様に微笑んでくれてたもん。笑
そんな幼稚園だったから、子供ながらに余計極秘にしないとマズイと思ったわけよ。
でもさっきも言った通り、敷地が狭いの!
園庭が田舎の大きめのおうちの、ちょっとした庭程度の狭さだった。
多分よく見る幼稚園の半分以下にも満たないだろうね。
少し大きくなってから幼稚園行った時に狭すぎてビックリしたもん。
あんな場所で運動会なんて出来るはずもないのよ。
そもそも園庭に、園児全員集めて、さらに保護者を呼んだら、保護者は多分入りきらない。
園庭で競技をするなら、園児たちだってそれぞれの教室や縁側から座って眺めるしかない。
それか園庭の端っこから縁側をグルーっと囲み、立ちっぱなしで待つしかない。
そしてそんな園児を敷地の外から、
しかも2箇所しか園への入り口がないから、譲り合いながら順番で見る保護者なんて嫌だよね?笑
だから、うちの幼稚園は少し離れた大きい公園の広場を借りて運動会をしていたくらい。
そこなら立ちっぱなしの園児もいないし、ちょっとずつしか我が子を見られない保護者も生まれず、のびのびと運動会を開催することができていた。
そんなこんなで狭さはわかってもらえたかな?
話を戻すね。
【じゃあどこで特訓すりゃいいのか!】
これが問題なのよ。
人があまり行かないところを探さなきゃいけない。
礼拝堂は普段は鍵がかかってるし。
礼拝堂の裏に神父さんである園長先生のお家がある。
そこならあんまり人は近寄らないが⋯
万が一、お家の前でお尻を出しているのを園長先生ならまだしも、園長先生の奥さんに見られたとしたら恥ずかしくて泣いちゃうかもしれない。笑
ならば、2階はどうだろう?
うちの幼稚園は2階建てだった。
一階には、3学年ごとに分かれた教室が三つしかない。
朝と帰りの挨拶以外は、学年関係なく、各々好きな所へ行く。
自由時間は、当然どの場所にいても構わない。
だから、一階や園庭は人が多い。
2階は階段を登れば、大人用トイレと先生用台所。
それを通り過ぎるとホールみたいな部屋がズドーンとあるだけなのだ。
ホールは皆揃ってのイベントがある時や、劇の練習、雨の日の園庭に出られない園児の遊び場くらいにしか使わない。
あとは、ホールの一角にある絵本コーナーが図書室みたいな扱いで、そんなに2階は園児が常にいるとかはない。いても数名。
だから2階なら大丈夫かもと思ったけど、
絵本を取りに来る子にビクビク怯えながらの特訓は捗らない。
しかも一階の教室と違って仕切りもなく、ガラーンと広いからなんか怖い。
端っこに置かれたピアノも余計怖い。
いくら無垢でも、わざわざホールの、ど真ん中で特訓するほどメンタルは強くはないから、結果だだっ広い部屋の隅っこで練習することにした。
ひっじょーに居心地が悪い。笑
さらに盲点だったのが、先生専用の台所がホールの手前にある。
しかも台所とホールは、入り口と別に、食堂の受け渡し場所のようなところがあり通じている。
通常使ってない時は、扉は閉じているから安心していたけど⋯
たまーに先生が台所使ってる時なんか、ガラッと扉を開けて、「あら?なにしてんの?」なんて朗らかに声かけてきたりするわけよ。
もう気が気じゃないのよ。
こちとらコソコソ、尻出す練習してんだから。
ここはだめだ⋯
新たな場所をまた探さなきゃならん⋯
そこで友達がいいことに気づいた!
2階にいる時、もし火災や地震で緊急避難しなきゃいけない時。
しかも建物内の階段が使えない時。
そのために、【子供用・緊急避難用滑り台】ってのがベランダの端っこに常設されていたの。
よくみるアルミとかの金属じゃなくて、なにかしらの石を切り出したような重厚感のある滑らかな触り心地の滑り台があった。(多分切り出してはいない。セメントで作られた滑り台)
あくまでも緊急用で、普段は遊んじゃいけないからチェーンもかかっているし、滑ろうとしてバレて、こっぴどく怒られたこともある。
2階から下まで滑ったことはないからこの行き先は見たことがないのさ。
ただ、どうやら園の裏側のフェンスの手前に終着地があるらしい。
ここは園庭からたどり着くまでの道が激狭で皆、絶対行かない。
もはや道じゃなくてただの建物とフェンスとの隙間。
多分大人は通れない。
制服のない幼稚園だったから、私服を汚しながら、狭い隙間を抜けてようやく滑り台の終着地点へたどり着いた。
なんと!ここなら絶対バレない!!
今考えたら幼稚園の横の通りを通った通行人や車からは、モロバレなんだけど、その時、我らは幼稚園生。
当時の私達は、背が小さく目線が低くフェンスが高く思えていた。当然、バレるだろうことにも気付いてなかった。
ようやく見つけた秘密の場所で早速特訓をすることになった。
ちょっと寒くなってきた時期。
秋くらいだったかな。
たまに吹く冷たい風を覚えている。
「さぁ、思う存分特訓しよう!」と士気を高めるが、私以外の2人は恥ずかしがって一向に尻を出さない。
なんかずっとモジモジしている。
よく分からない言い訳をつけながら。
これじゃ特訓にならない!
しかも時間は限られている!!
あまり長い時間姿をくらますと先生に探されて、せっかくの場所がバレてしまう!!
なんとか2人を励ましながら、数日かけて3人でお尻を出すことに成功した。
でも2人は、まだ恥ずかしがってる。
この場に及んで「やっぱりやめた」と言われてはかなわんから、
「これは勢いでいかないとダメだな」と次の日決行することにした。
もちろん2人には帰り際にも「お家でも練習して!」と念押ししておいた。
いよいよ決戦の日。
朝の挨拶が終わり、園庭や教室に散らばる園児達。
一目散にツリーハウスを守るべく走る男の子たちを私は密かに嘲笑っていた。
「ククク……今から陣地争いの火蓋が切られようとしているのも知らず呑気に遊んでいやがる笑」
そんな私は、数分後、まさか自分が裏切られるなんて思ってもいなかった⋯⋯
3人でザッ!ザッ!と砂ぼこりを上げながらツリーハウスへ向かう。
『おーい!』と下から見張りの男の子を呼び、
『約束のおしりだ!!』と私は叫んだ。
ツリーハウスの小屋からゾロゾロと男の子たちが出てきて、ウッドデッキに並んだ。
何事かと他の園児までわらわらと見に寄ってきてる。
今にみてろ!ツリーハウスの樹民ども。
眼光鋭く、きちんとその子たちが見てるのを確認。
そしていよいよ3人で背を向けパンツに手をかける。
まるで西部劇の荒野の早撃ちの決闘シーンのような雰囲気。
「いっせーのせ!!」
の合図で、お尻を出した⋯⋯つもりだった⋯
出した後、即座に2人を見たら、なんと出したのは私だけ。
1人は、照れからか、勢いがなく半ケツにも満たない三分の一ケツ。
長袖の裾で隠れてるからもはや上から見たらケツ出してない。
もう1人なんて、完全に裏切ってすでにパンツから手を離している。
私なんて全ケツ出しているのに!
ズバッとすごい勢いで、お尻の下までパンツとズボンを下ろしているのに!!
瞬時に2人の目をみたが、2人は目を合わせてくれない。
【うっ!!裏切られた……だと?!】
生まれてからの人生初の体験!
初めての裏切りにあった瞬間!!
あの悔しさは今でも覚えている⋯。
結局3人揃って出してないという、まっこと正しい理論で、ツリーハウスには入れてもらえず、ただ人前でケツをだす女として皆の記憶に残っただけだった。
しかも、見ていた子たちは「今日幼稚園で起きたこと」の一つのネタとして親に言い、結果クラス全員の親に知れ渡ることになる。
そして、小学生になった数年後には、その時の2人のうちの1人である、しれっと裏切りやがった子のお母さんに久しぶりに会った時「あの時1人でお尻出してたよね!」と思い出し笑いをされる始末。
ただ救いなのが、その日の夜、その子はキチンと親に報告しており、自分が出せなかった心情も伝えている。
だから私がなんで1人でケツ出したのかは、ちゃんとそのお母さんには理解はされている。
とはいえ、結果ケツ出したのは私だけな訳だから恥でしかない。
笑い話のタネとしてもってこいだろうよ。
母にだって、後日、笑い呆れながら
「アンタ、幼稚園で1人でお尻だしたって?笑」と言われた時、
私は泣きながら「あれは裏切られたんだぁ!!」と話したもん。
あの時わたしは、ただの痴女。
痴女の幼女。
しかも園庭のド真ん中で。
たった1人で尻を披露した。
【世界の中心で、愛をさけぶ】ならぬ
【園庭の中心で尻を出す】
それはもう、「ホラご覧!」と言わんばかり、見事立派に尻を丸出しにしたのだよ、私は。
なんなら、あの勇気を褒めてほしいくらいなのに⋯!!
それにしても、あの時の特訓の日々は何だったのだろうか?
特訓場所から難航し、やっと見つけた秘密の場所でお尻を冷やしながら特訓した数日は何だったのだろうか。
あと何故男の子達は、尻指定したのだろうか。
他になんか無かったのかなぁ?
あとさ、
今書いてて思ったんだけど、
生尻じゃなくて良かったんじゃないかな⋯?笑
アレもしかして、ただパンツ見たかっただけなのかも。。。
そうだったら付き合ってくれた2人にも悪いし、
いきなり生尻見せられた男の子たちもさぞかしビックリしただろうね。笑
私てっきり、彼らのご要望は生尻だと思い込んでたよ!
そもそも、パンツで恥ずかしい私じゃなかったからね。笑
それに夏場のプールはみんなパンツ一丁だったし。
でも、パンツごとき屁でもないのは私だけだったかも⋯笑笑
あの冷たい秋の風を思い出すと、お尻が少しスースーする気がするよ。
かくして、私の初めての【裏切られ体験】は幕を閉じた。
まさか尻が理由で、人生初の裏切りに遭うとは思ってもみなかったよ。
30年以上経っても、未だにモヤモヤは晴れない。
もし、もう一度再会することが出来たなら、2人に聞いてみたい。
大人になった今だからこそ。
「なんであの時裏切ったの?」と。笑
まずは、読んでくれてありがとう。
バカバカしい話でちょっとは笑えた?
お下品でごめんね笑
こんな私に興味をもってくれたら、他の記事も読んでみてね!
⇩⇩⇩【お知らせ】⇩⇩⇩
そんな私が書いた子供向けの物語があります。
私の2作目の物語です。
これはお下品じゃないから安心して!笑
大人でも楽しめると思うけど、
特にお子様のいる方、寝る前に読み聞かせにオススメです。
良かったら読んでみてね😊
