“ただ長くゆっくり走る練習”ではないLSD
中上級者の見直し方!
初心者は基本の“き”を覚える
よくマラソンのエリートアスリートと合宿地が一緒になることがありました。そこで選手たちをよく見るのは、LSDやジョグをしている姿。
彼らのトレーニングの時間は、この時間が一番長いのです。
なぜなら、持久系スポーツにおいて最も大切なトレーニングだからです。
LSD(Long Slow Distance)は、ランニングの基礎を作る代表的なトレーニングです。
“走る”という刺激を、できるだけ長く・頻繁に身体に与えることで、身体が走ることに適応していきます。
筋肉、心臓、血管など、さまざまな器官が変化していきます。
ここで大切なポイントは、ゆっくり走るだけではないということ。
「とりあえず長くゆっくり走る」になってしまっているのは、少しもったいない。
友達と景色を見ながら、カフェを巡るランももちろんOKです。
ただ、一人でコツコツ積み上げる日は、少し意識を高めていきましょう。
【初心者】少しずつ走る時間を伸ばす
走り始めたばかりの方は、
10分→15分→20分と、少しずつ時間が伸びていけば十分です。
急激に時間を増やすと、継続できなくなるリスクが高まります。
ケガや精神的なストレスは、ランニングを続けるうえで大きな障害になります。
目的は「長く身体を動かし続けることに慣れること」。
ペースは、会話が楽にできるスピードが目安です。
短い文でしか話せなくなったら、それはオーバーペース。
会話が目安になるのは、呼吸状態がそのまま強度を反映するからです。
終わるときは、必ず余裕を持って。
トボトボになってしまうなら、それは長すぎです。
「また次も走ろう」と思える状態で終わらせましょう。
10分走って翌日に疲労が残らなければ15分へ。
15分で問題なければ20分へ。
このように、段階的に伸ばしていきます。
平日は短めでもOK。
その代わり休日は、60分、70分と少し長めに。
できれば7月下旬までに、「長く動き続けられる状態」を作っていきましょう。
※このあと紹介する【中上級者】の内容も、実は初心者にも共通する大事なポイントです。
【中上級者】「意味のあるトレーニング」に変える
ゆっくり走るだけでも、もちろん効果はあります。
ただ、ここに“意味”を持たせることで、トレーニングの質は大きく変わります。
■ 目的を整理する
LSDの目的は以下の通りです。
・筋持久力の向上
・ミトコンドリアの増加
・毛細血管の発達
・脂質代謝の向上
つまり、「長く動き続けられる身体」を作ること。
ここが曖昧なまま走ると、強度も時間もブレてしまい、ただ走るだけになってしまいます。
■ “速い選手ほどジョグが速い”の意味
エリート選手の“ゆっくり”は、やはり速い。
ただし重要なのはスピードではありません。
彼らは、ペースを落としても
動きを変えずに走れているということです。
いわゆる“トボトボ走り”にならない。
一方で多くの人は、ペースを落とそうとしてフォームまで崩してしまいます。
■ 身体は「繰り返した動き」を覚える
人は「良い・悪い」で動きを覚えるのではなく、
頻繁に繰り返した動作を覚えます。
つまり、崩れたフォームでLSDを続けると、
その動きが“正しいもの”として定着してしまいます。
よくあるのが、
・背中を丸める
・下を向く
・膝を曲げてスピードを落とす
この状態で走り続けること。
これでは、レース後半の崩れを自ら作っているようなものです。
■ フォームは保ったまま、スピードだけ落とす
良いフォームを意識すると、どうしてもペースは上がりやすい。
それでも、
姿勢と動きはそのままに、スピードだけを落とす
この意識が重要です。
太ももの引き上げの高さや歩幅で調整する。
膝を曲げて“ごまかす”のではなく、バネのある動きを保つ。
この積み重ねが、「後半の崩れ」や「脚攣り」を防ぎます。
■ ペースの精度と再現性
LSDは「最大心拍の60〜70%」と言われますが、
本当に大切なのはそこではありません。
同じ強度で走り続けること。
目安は、
「会話はできるが、少しだけ呼吸が上がる手前」
このゾーンを維持できるかどうか。
気づいたら会話が減っている、無言になっている。
これは確実にペースが上がっています。
そして、そのペースを“維持する力”。
この再現性こそが、レースの安定につながります。
「ついペースが上がって後半バテる」
これは、普段の練習の再現です。
まとめ
LSDは、
ただ長く走るトレーニングではなく、
・身体の土台を作る
・動きの良いクセを作る
・ペースコントロールを磨く
そんな重要な時間です。
初心者は「続けること」、
中上級者は「質を高めること」。
同じLSDでも、意識次第で得られるものは大きく変わります。
ぜひ次のLSDから、少しだけ見直してみてください。
