地方の担い手が消えていく。公務員試験の倍率低下と若手退職が映す構造的衰退の正体
先日からの連続投稿として、今回は「担い手消失」について書きます。女性が抜ける、男性も抜ける。その先に起きているのは、自治体を動かす人材そのものの枯渇です。
公務員試験の競争率が映しているもの
地方公務員試験の競争率は、ここ10年で劇的に低下しました。2012年度に7.9倍あった倍率は、2022年度には5.2倍と過去30年で最低を更新しています。この数字だけでも十分に深刻ですが、都道府県別に見るともっと厳しい現実が浮かんできます。
東京都の一般行政職(I類B)の倍率は、令和元年の5.6倍から令和5年には2.4倍に半減しました。26の都道府県庁で競争倍率が4.0倍を下回っています。地方だけの問題ではなく、東京都ですらこの状態であるということは、公務員という職業そのものの魅力が構造的に低下していることを意味しています。
これを「若者の価値観が変わった」「安定志向が薄れた」と説明する論調は少なくありません。しかしそれは表面的な見方です。若者の価値観が変わったのではなく、公務員という職業が提供する価値が、若者の期待に見合わなくなっているのです。問題は若者の側ではなく、職場の側にあります。
教員はさらに深刻な状況にある
公務員試験よりも事態が進行しているのが教員採用試験です。
文部科学省の調査によれば、2024年度に実施された公立学校教員採用選考試験の全体の倍率は2.9倍で、過去最低を更新しました。小学校教員に至っては2.0倍。さらに2025年実施の試験では全国平均が1.8倍まで下がっています。
倍率が2倍を割り込むということは、受験すればほぼ全員が合格する状態です。選抜試験としての機能が事実上失われており、「最も優秀な人材を選ぶ」のではなく「とにかく人数を確保する」という採用になっています。
受験者数は2024年度で10万9,123人と前年から7,059人減少し過去最少。一方で採用者数は3万7,375人と昭和61年以降最多を記録しました。大量退職に伴い採用枠が広がっているにもかかわらず、そこに応募する人材が足りていない構図です。
受験者が減っている最大の要因は少子化だけではありません。教職の業務負荷の大きさが広く知られるようになり、教育学部の学生ですら民間就職を選ぶケースが増えています。これもまた「価値観の変化」ではなく、「仕事の中身」に問題があるという判断の結果です。
集団就職の時代と何が決定的に違うか
この問題を歴史的に位置づけてみます。
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