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文学詩 「底のみぞ知る」

「底のみぞ知る」

幸せさえ侵食し
牛耳る顔で笑ってた
わたしを置いて笑ってた
三本の火を吹き消して
何が生まれた日だったの

血の色が似合う顔だと
あの頃ずっと思っていた
肥溜めで生まれたわけじゃない

それなのにどうして
家族ごっこが
こんなに息苦しいの

呼吸はある
鼓動もある
なのにどうして
心の血液だけが緑色

見ざる 言わざる 聞かざるで
生き延びた子供に
笑え 笑えと呪うなら
その口を舌ごと縫ってくれ

まわれ まわれ
家族ごっこの輪の中で
わたしだけ
鬼にも子にもなれなくて 底に行き

人が人でいるための
優しさを配られないまま
キープアウトの向こう側で
わたしだけが醜い底の底

幸せを見せつけるための
高価な服なんていらない
礼儀のための涙なんて
目の奥で嘔吐してから垂れ流す

名前も顔も記憶も全部
泥にまみれて

さもありなん
笑えぬ口が
今日も何かを噛み下す

我を嘲りながら
我自身ごと焼却した
あの忘却の夜

司るものは容赦なく
司らるるものは
もはや赦しも持たぬまま

まわれ まわれ
帰る場所などなくていい
わたしはわたしで
底のみぞ知る けだもの

花を仰げば声が降る
おまえに美しさは要らぬと
鳥のさえずり
くちばしを縫われ塞がれる

風が吹いても乾かない
血の涙のみ流れゆき
月は欠けるまま
満ちることを赦されず

喉元まで刺さった沈黙を
何往復も縫い上げられても

この脳みそも心の臓も
忘れたいほど覚えてる

愛されたこともないくせに
愛の形だけ残ってる
家族ごっこは おままごと
なのに、どうしてまだ痛むのか

堕ちたら
這い上がるだけ

何度でも
泥を飲んで
血を吐いて
もういいかい? まぁだだよ

まわれ まわれ
家族ごっこの輪の中で
わたしだけ

喉元まで刺さった沈黙を
何往復も縫い上げられた
底つき 底つき

見ざる 言わざる 聞かざるの
糸をこの手で引き裂いて
笑え 笑えと呪うなら
その口を舌ごと縫ってくれ

人が人でいるための
優しさを配られなかったなら
この手で拾う
この口で噛む
この目で見届ける

愛されるなと
言われてきた

それでも
愛することまでは
奪わせない

花を愛で
鳥をほどき
風に撫でられ
月灯りに手を合わせる

堕ちたら這い上がるだけの
底のみぞ知る 我

この詩はいくつものバーションがあります。 特に説明することはないのですが自分の中にある
「なにか不穏なもの」を詩にしてみました。

みなさんにも 底 はありますか?




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