「できない」が怖い人へ。俺は27組全滅しても、また面談へ行った。
■はじめに
会議で、手を挙げなかった。
求人ページを開いて、そっと閉じた。
やってみたい仕事の話が来たのに、口から出たのは、
「まだ早いので」
だった。
思い当たるなら、たぶんこれも当たっている。
自信がないんじゃない。
「できない」とバレるのが怖いだけだ。
俺もそうだった。
というより、今もそうだ。
人前で自分を売り込むのは、いまだに苦手でしかない。
それでも俺は、苦手なまま何十回も面談へ行った。
やったことのないシステム。
スキルも少し足りない。
そんな状態で、何度も椅子に座った。
なぜそんなことができたのか。
今日はその話をする。
根性論ではない。
「仕組み」の話だ。
■「できるようになってから行け」は、誰が得する順番か
学校で教わった順番はこうだった。
勉強する。
テストを受ける。
受かる。
それから使う。
会社でも同じだ。
資格を取れ。
経験を積め。
そうしたら任せてやる。
俺はこの順番を27年間やった。
夜勤の現場で10年。
客先常駐で17年。
そこで気づいたことがある。
「できるようになってから」の"できる"には、合格ラインが書かれていない。
誰も線を引いていない。
ゴールのないマラソンを走れと言われても、スタートなんて切れない。
あなたが臆病なんじゃない。
そう教わってきただけだ。
順番は逆だった。
行った先で、できるようになる。
■やったことのないシステム。それでも面談へ行った
俺は客先常駐という働き方をしていた。
現場が終わるたびに、次の案件を決める面談がある。
会社としては、社員を1日でも遊ばせたくない。
だから案件メールが次々届く。
俺の仕事は、
「行くか迷うこと」
ではなく、
山ほど届く案件から選ぶこと
だった。
やったことのないシステム。
少し背伸びが必要な案件。
それでも、先方は俺のスキルシート(できることを並べた経歴書)を見て声をかけてきている。
だったら、とりあえず行く。
多い日は1日に4件。
朝から夕方まで、初対面の人に
「できます」
と言い続ける日だった。
面談が得意になったわけじゃない。
最後まで怖かった。
でも予定は待ってくれない。
だから行った。
■27組が全滅した日
きれいな話だけ書くのはずるい。
一番みじめだった話も置いておく。
競争相手が27組いる集団面談があった。
国が絡む、大型案件だった。
結果は、
27組、全滅。
俺だけじゃない。
全員落ちた。
そのとき思ったのは、
「俺には無理だった」
ではない。
「これ、誰が行っても無理だったやつだ。」
だった。
落ちた理由は、俺の価値じゃない。
案件の事情だった。
落ちたことは、あなたの値打ちの証明書じゃない。
ただ、その日の結果だ。
もちろん追い風もあった。
当時のIT業界は人手不足だった。
だから打席に立ち続ければ、どこかで決まった。
誰でも同じとは言わない。
でも一つだけ言える。
打席に立たなければ、追い風は一生吹かない。
■桶狭間の信長は、勝ち筋が見えてから出陣したのか
桶狭間の戦いは、少ない兵で今川軍を破った逆転劇として知られている。
でも、不思議に思う。
信長は、勝てると分かってから城を出たのだろうか。
雨がどう降るか。
今川軍がどこで油断するか。
そんなことは、誰にも分からなかったはずだ。
分かっていたのは一つだけ。
城にこもれば負ける。
だから動いた。
勝ち筋は、動いたあとに見えた。
もし信長が今の時代にいたら、
きっと笑いながらこう言うだろう。
「見えてから動くんじゃない。動くから見えるんだ。」
■「迷わず行けよ 行けばわかるさ」
俺が長いこと持ち歩いてきた言葉がある。
「迷わず行けよ 行けばわかるさ」
4年前、SNSの自己紹介に、署名みたいに書いていた。
心が折れそうな日は、これを見て自分に言い聞かせた。
アントニオ猪木さんが引退の日に読み上げて広まった一節だ。
元は清沢哲夫という僧侶の詩で、実家の寺と揉めて、そこを出ると決めた時に書かれたらしい。
先が見えないまま、出ていく人間の詩だった。
昔は、勇気のある人の言葉だと思っていた。
今は違う。
あれは、
「分からないまま動いていい」
という許可証だった。
ただ、ここで終わると精神論になる。
俺が迷わず行けたのは、
度胸があったからじゃない。
迷う時間がない環境だったからだ。
案件メールは、俺の気分なんて待ってくれなかった。
だからあなたに勧めたいのは、
勇気じゃない。
仕組みだ。
■今週の小さな一歩
打席が勝手に回ってくる約束を、一つ作ろう。
例えば、この3つ。
① 締切のあるものに申し込む。
締切が決まれば、迷う時間は消える。
② 誰かに宣言する。
自分との約束は破れても、人との約束は案外守れる。
③ 落ちてもゼロしか減らない挑戦をする。
応募でも、相談でも、声かけでもいい。
失うのは数十分。
得られるものは、その何倍もある。
ちなみに俺の1日4件の面談は、自分で決めたわけじゃない。
営業が勝手に予定を入れただけだ。
あの日の俺の「行動力」の正体は、
他人が入れた予定だった。
情けない話だけど、
あれが一番効いた。
■まとめ
「できない」とバレるのが怖い。
それを弱さのせいにしなくていい。
犯人は、
「できるようになってから行け」
という、終わりのない順番だ。
順番は逆だった。
行った先で、できるようになる。
俺はスキルが足りないまま面談に座り続け、
27組全滅の日も経験した。
それでも次が決まったのは、
打席に立ち続けたからだ。
迷わず行けよ。
行けばわかるさ。
でも、その前に一つだけ。
迷わなくても動ける予定を、今日入れてしまおう。
今週、あなたが押す小さなボタンは何ですか。
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