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意志の力で貯金するな。仕組みに戦わせろ。

■はじめに

給料日。「今月こそ、少しは残そう」。
そう思ったのに、月末には財布も口座も空っぽ。

家計簿アプリを入れても、三日で開かなくなる。
節約の本を読んでも、次の週末には忘れている。

そして、こう思う。
「俺は意志が弱い。貯金の才能がないんだ」と。

わかる。俺も昔、まったく同じだった。

ブラック企業で働いていた頃、手取りは毎月きれいに消えた。
残業で増えた分だけ、飲み代とストレス発散に溶けていく。
通帳の残高は、何年たっても同じ場所で足踏みしていた。

でも、今なら言える。
あのとき足りなかったのは、意志でも根性でもなかった。

■「貯まらない=意志が弱い」は、ただの思い込みだ

貯金の話になると、みんな自分を責める。

続かないのは、自分がだらしないから。
残らないのは、自分に甲斐性がないから。

この考え方の何が怖いって、そこで思考が止まることだ。
「自分が悪い」で終わると、次の一手が出てこない。

これは、地図を持たずに宝を探しているのと同じだ。

「どこかにあるはずだ」と信じて歩き回る。
見つからないと、探し方が下手な自分を責める。
でも本当は、地図がないことが問題なんだ。

貯金も同じ。
残らないのは、あなたの性格のせいじゃない。
お金が「使う方」に、最初からセットされている。
ただ、それだけだ。

■人は「気合い」じゃなく「初期設定」で動く

ここで、面白いデータがある。

アメリカの会社の年金制度の話だ。
これまでは「入りたい人が自分で申し込む」形だった。加入率は37%。

それを「全員が最初から加入。抜けたい人だけ手続きする」形に変えた。
すると加入率は、86%まで跳ね上がった。

(出典:Madrian & Shea「The Power of Suggestion」2001年)

社員のやる気が、ある日いきなり倍になったわけじゃない。
最初の設定を「入る方」に変えただけ。それで人は動いた。

日本でも、似た流れがある。

会社で入る確定拠出年金では、昔は預金のような「減らない商品」を選ぶ人が多かった。
そこに投資信託を初期の選択肢として置けるよう制度が変わってから、投資信託を選ぶ人が増えていった。
今では、投資信託を選ぶ割合が約6割になっている。

(出典:確定拠出年金・企業型の運用商品選択データ、2022年3月末時点)

意志の強さじゃない。
最初にどの選択肢を置くか。それが、人の行動を決めている。

念のため書いておく。投資には価格が上下するリスクがある。制度や商品を選ぶときは、自分の頭で判断してほしい。

■桶狭間の信長は、「我慢」で勝ったんじゃない

貯金というと、歯を食いしばって我慢する絵を思い浮かべる。
でも、我慢で戦うと、たいてい負ける。

桶狭間を思い出してほしい。

信長は、何倍もの今川の大軍に勝った。
根性で正面からぶつかった、と思われがちだ。

だが実際は違う。

大軍が近づいても、信長は前の晩に慌てて動かなかったと伝わる。
家臣が徹夜の軍議で消耗する中、信長は力を温存したという。
そして当日、豪雨という天気と、地形を味方につけて、一点だけを突いたとされる。

信長ならきっとこう言う。
「戦う前に、勝ちは決まっている」と。

我慢比べに持ち込んだ時点で、こっちが不利なんだ。

貯金も、意志で我慢するな。
勝てる場を、先に作っておけばいい。

■今日つくる、たった1つの「戦わない設定」

やることは1つだけ。

給料が入ったその日に、決まった額が自動で別の口座へ移る。
この設定を、今日つくる。

手順はこれだけだ。

  1. 給料が入る口座とは別に、貯める専用の口座を1つ用意する(すでにあるなら、それでいい)。

  2. ネット銀行なら「自動振替」、勤め先に制度があるなら「財形貯蓄」を選ぶ。

  3. 移す額を決める。最初は「これなら痛くない」額でいい。手取りの1割が目安。多すぎると、必ず挫折する。

  4. 実行日を「給料日の翌営業日」にする。使う前に、先に抜く。

  5. 設定したら、あとは忘れる。もう意志の出番はない。意志くんには、ダイエットの方でがんばってもらおう。

俺がやったのも、これのお金版だ。

給料が入ったら、自動で米国株を買う設定を先に作った。
相場が上がろうが下がろうが、俺の気分は関係ない。
機械が淡々と買い続けた。

その「意志を使わない20年」の先に、FIREがあった。

(投資は損をすることもある。同じ設定が、誰にでも同じ結果を約束するわけではない)

すごい意志があったんじゃない。
意志を使わなくていい仕組みを、先に置いただけだ。

■続けるためのチェックリスト

明日、自分にこう聞いてみてほしい。

・貯金を「余ったらやる」にしていないか?(先に抜く設定になっているか)
・その仕組みは「自動」か?(毎月あなたが手で動かす必要はないか)
・最初の額は「痛くない」小ささか?(見栄で大きくしていないか)
・お金を移す先は、すぐ引き出せない場所か?(使う口座と分けてあるか)

1つでも「いいえ」があるなら、そこが、あなたが毎月消耗していた正体だ。

■まとめ

貯まらないのは、あなたのせいじゃない。
意志が弱いからでも、甲斐性がないからでもない。

お金が「使う方」に設定されていた。それだけだ。

だから、責めるのをやめよう。
代わりに、設定を1つだけ変える。

今日、給料日の自動振替を1本つくる。
それだけで、来月のあなたは、もう我慢していない。

戦わずに勝つ。
それが、信長が桶狭間で見せた本当の強さだ。

スキやフォローをもらえると、次を書く力になります。
同じように「意志で戦って疲れている」人がいたら、そっと教えてあげてください。🙇

#お金の習慣 #貯金 #FIRE #行動経済学 #桶狭間

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