みんなで叶えた物語 ──「ルナ・アズール」を独断と偏見と思想で語る
遂に、遂に「新たな夜行特急列車」の正式な列車愛称が発表されましたね。
新型寝台特急「ルナ・アズール」
由来は「青い月」……この一言だけでも既に語れる要素がたくさんありますが、まあ順を追って語ってみましょうか。
デザイン:ブルートレインを受け継ぐ「蒼」
既に散々知られているように、そのエクステリアデザインはブルートレインのオマージュあるいはリメイクを非常に強く意識させるものになっています。
昨年(2025年6月10日)の第一報の時点で明言されてたブルートレインを継承する「メモリアルブルー」と少しそれを濃くした「ミッドナイトホライズン」をベースにしたストライプ塗装。
このうち「メモリアルブルー」に関して、今回の定例社長会見のなかで「青15号を採用した」とハッキリと明言されました。
当然、私は聞き逃しませんでした。
「青15号」といえば、20系<初代ブルートレイン>の青塗装などを表す業界用語です。
そしてなにより、社長の口から直接!飛び出たこの一言。
「寝台特急への想いを受け継ぐ列車」
この言葉が、JR東日本においてどれほど重大な意味を持つことか……!!
詳しいことは後述しますが、2015年頃のJR東日本では、まずあり得なかった文言です。
それがここに来て、ハッキリとそれを明言するとは!
それを踏まえて、「青15号」をベースとした新塗色を採用した事には、大きな意義があります。
事実上の次世代寝台特急車両としての機能性を、これほどまでに主張するものはそうそうないでしょう。
この点から、これ以上なく相応しい塗色であると思います。
もうね、泣いた。(オタクの涙腺はガバガバ)
北斗星廃止から12年の時を越えて、寝台特急の伝統を受け継ぐ、蒼い特急列車が東日本に顕現します。
それを新世代の「ネオ・ブルートレイン」と言わずに何と言うッッ!!!
なお、既に発表されている外観のキービジュアルを基にGoogleの生成AI「Gemini」に予想CGを作ってもらったところ、こんな感じに…

品川駅 L特急ひたち号専用ホームにて
人によっては、日産GT-R(R35型)・カルソニックブルー塗装を思い出す方もいるかもしれない(?)
列車愛称:ブルートレインと月光型の折衷──
「ルナ・アズール」、スペイン語(一部ラテン語含?)で「青い月」……夜行列車好きの人なら、即座に二つのクルマが脳裏に浮かぶはずです。
583系と、24系。
10年前のブルトレ滅亡期に、最後まで東日本で走り続けた寝台特急の双翼でした。
一方は各地の団体臨時列車として、もう一方は最後のクラシック・ブルートレイン「北斗星」として…
有名なカシオペアやサンライズと共に、最後まで東日本における夜行列車の最後の砦であり続けました。

@上野駅13番ホーム

@尾久車両センター公開イベント
E657系は機関車を必要としない、いわゆる「月光型」にあたりますが、そのコンセプトやデザインは「(平成の)ブルートレイン」のそれに寄せられています。
こうなると、世間では「583系の後継か24系の後継か!どっちなんだい!💪」って話になるはずなんですね。
恐らく社内でも揉めに揉めたであろうことは、想像に難くありません…w
そして生まれたのが「青い星」と「月光」を同時に表し、かつ、新型車両なりの斬新さを表現し、更には☀️サンライズと対をなす列車愛称「🌙Luna Azul」…!と私は解釈しています。
「ブルートレインと583系、その両方の後継列車として相応しい列車愛称となった事実」が、ブルートレイン最末期を知る鉄道趣味者としては、とっっっっってもエモいモノを感じる次第であります。
ダイヤ:2014年改正の向こう側へ!
周知のように、最初の数ヶ月(春〜秋)は品川,上野⇔青森間を「あけぼの号」のルートで運転されます。これは周知のとおりですね。
ところで、このダイヤには大変な意味が内包されているのをご存知でしょうか?
社長会見などで公表されている時刻を、2014年改正前当時のあけぼの号と比べてみましょう

ルナ・アズール号 2027年夏ダイヤ(予定)
注目すべきは、その所要時間。
あけぼの号では朝10時前に青森駅に到着していたのに対して、ルナ・アズール号は9時半着。
(品川駅21時頃発との報道から)仮に上野駅を21:15頃に出発するなら、20分近く高速化していることになります!
さらに言えば、秋田までの所要時間に至っては、以前よりも約1時間も(!!?)早まっております!
そう、定期運転時代のあけぼの号のダイヤをベースに抜本的な高速化を行っているというわけです!!!
しかも速くなった分を、高崎など途中駅での長時間停車に充当し、WE銀河と同様に駅弁販売やちょっとしたイベントの実施等々を行う余裕を生み出しております。
それでもなお、総所要時間は20分短縮!!
かつて実現しなかった「あけぼの号の新型車両による高速化」、つまり……
寝台超特急「スーパーあけぼの号」が現代に顕現した……!!というわけです!!
これは2014年ダイヤ改正、そして2015年の上野東京ライン開通を乗り越えていた世界のあけぼの号を再現したものとも解釈できると思います。
いわば「2014年改正の向こう側」を我々は見ているわけだ!
こんな凄い「ダイヤ改正」はもう二度とみられないぞ!とくと味わえッッ!!!
価格目安と販売方式
ルナ・アズール号の価格目安については、以前より「東北新幹線のグリーン車と同じ(+α)くらい」つまり「25000円前後」とされておりました。
これはサンライズのそれ(B個室,東京-出雲市間:約2.3〜2.5万円)と近似したものになっています。
同時に、これはかつてのブルートレイン、即ちこの区間なら「あけぼの号」のそれともまた近似した基準と言えます。
北斗星廃止以後、寝台列車は「四季島」などのような超豪華クルーズトレインへと移行していきました。
一方で、あけぼの号+北斗星号の最終年度の乗車率が平均6割(=年間計約19万人が利用)とされていたなど、従来からのブルートレインに対する一定のニーズは残ったままの状態でした。
新幹線や航空が充分に発達した状態でなお、これほどのニーズが残っていた事に気付いていた夜行列車ファンのなかでは、12年間ずっと「単価2万円程度での東北・北海道方面行き寝台列車」を求める声が絶えませんでした。
…長い時間がかかったものの、ようやくこれが成就の時を迎える運びとなりました。
本当に、ここまで長かった…😭
大きく変わった販売方法
──ツアー専売はきっと怖くない
ただ、一つ決定的に変わったことがあります。それは切符の販売方法。
今までは、窓口や券売機で切符として特急券を買う方式だったのが、
ルナ・アズール号では「旅行商品として"ツアー"を購入する」ものとなるようです。
鉄道趣味者の間では、ここで身構える者が多く、かなり大きな規模の「学級会」が発生してしまいました。。毎日毎日ずっと学級会してねーか?この界隈…
とは言っても、JR東日本の子会社:VTS社が昨今販売している臨時夜行列車による旅行商品を見るに、ツアー専売はそんなに怖いものではないようです
JR東日本ではすでに「旅行商品扱いの観光列車」の予約サイトが作られており、例えば「TOHOKU EMOTION」や「海里(ダイニングカー)」などの予約がすぐできるようにUIが構成されています。
あくまで予想ですが、ルナ・アズール号もこのシステムに相乗りするのではないのでしょうか?
サイトを見た感じ、半年分の列車予約が一気に受付されるようです。


鉄道趣味界隈ではこういった旅行商品扱いが忌避される傾向にありますが、
流石に近年ずっと絶滅寸前だった夜行列車で、その辺こだわり続けるのはヤボってヤツでしょう。
逆にこれをいい機会と思って、一人でも乗れる「Shukura*」や「海里(ダイニングカー)」に乗ってみるのも悪くないかもしれません。
ぶっちゃけ、えきねっとよりも操作が簡単ですw
それは、あり得なかったはずの奇跡
──2014年株主総会での発言より
けっこう前のところで、社長が会見でルナ・アズール号を 「寝台特急への想いを受け継ぐ列車」と言ったことを綴りました。
その愛称の意味から、「寝台特急の後継列車」と解釈しても、もはや問題ないでしょう。
これは、ブルートレイン全廃期のJR東日本の姿勢からは、到底考えられなかったようなお話なのです!
話は2013年11月に遡ります。
河北新報で「あけぼの廃止」のスクープ報道が出たのを皮切りに、翌週には各社一斉で「ブルトレ全廃」との報道が流れました。
当然、世間では衝撃をもって受け取られ、2014年6月のJR東日本 株主総会でも当然のように質疑の内容に取り上げられました。
株主側が「(夜行列車を廃止させる)一方でSL(=SL銀河)を復活させている。ELや客車を改修する余力はあるのでは」と、実質的にブルトレの存続を求める質疑を行い、返ってきた返答はというと…
JRE側「寝台列車を走らせることは、お客様の利用状況や収支を見ながら見直さないといけない」
\\デデドン!(絶望)//
この時点で、サンライズを除く寝台特急の存続は、ハッキリと否定されました。
そしてそのまま、2015年の北斗星廃止をもって、ブルートレインは滅亡しました。
それから12年後、ルナ・アズール号の発表では(2度交代した)社長の口から、直接あの言葉が飛んだわけです
「寝台特急への想いを受け継ぐ列車である」と…!!
一度は寝台特急の存続を否定した判断が、とてつもなく長い年月を経て、事実上覆った!というわけです…!
きっと、"みんなで叶えた物語"。
……ここまで、本当に長い道のりでした。
2015年以後、先述の「年間19万人の利用者」が容赦なく切り捨てられ、中には「間に合わなかった世代」のからの怨念じみた声も(SNS上で)あちこちから噴出し続けていました。

少なくとも個室は、多様な客層でよく埋まっていた
そして、鉄道趣味界隈は大きな分断に悩まされました。
既にブルートレインに充分に乗車し終えて鉄道会社側の決定に従順であることを求める層と、あの人気にも関わらず充分に乗れることなく切り捨てられたことに憤る層とに……
いつもいつも、レスバが絶えませんでした…というか夜行列車存続派が一方的にボコボコにされていた
しかし、先の時代から様々なメディアを通じて語られ続けてきたその「憧憬」を、簡単に捨てられるほど、
人は皆、無情で居られるでしょうか?
_人人人_
> 否! <
 ̄Y^Y^Y ̄
それもあって、各々、様々な形で夜行列車の「布教活動」「乗車活動」が自然発生的に始まりました。
いわゆる「乗って残そう運動」の一種です。
唯一生き残った「サンライズ」を、そして2020年に現れた"最後の希望"「WEST EXPRESS銀河」、さらには散発的に運転された団体臨時列車を通じて…
YouTube,Twitter,Instagramなど様々な媒体で、数多の鉄道趣味者が、夜行列車のレビューや利用呼びかけを世界へ向けて行ってきました。
YouTuberの「スーツ」「Travel Alone Idea」などは、その代表例と言えましょう。
そのおかげかは議論の余地がありますが、各社で団臨としての夜行列車の運転が次々に行われ始め、2022年にはJRでも「夜想海里」等でのアンケート調査が実施され……
紆余曲折を経て、ついに「ルナ・アズール」として花開くところまでやってまいりました!
こう書くと、中にはこう言う人もいると思います。
「頭お花畑」と。
……ならば私はこう言います。
「みんなで育てた、夢の花が開くのだ」と!
あけぼの/北斗星廃止からルナ・アズール号誕生への12年間の軌跡は、皆様の「寝台列車への想い」を原動力とした、
「みんなで叶えた物語」
であると、私はそう信じています。

この景色が蘇る日を待ち続けていました…😭
総括
国鉄時代以来、鉄道趣味者や旅行好きの間で語り継がれた夜行列車のミームを受け継ぎ、次の世代へとアップデートしてゆく、
全く新たな「青い流れ星[ブルートレイン]」が誕生します。
最初の1年こそ大変乗りづらい状態だと思われますが、
冬の昼行運転(品川,上野〜長野原草津口<草津温泉>)は週1800名の大キャパシティですから、そちらでお試ししてみるのも一興でしょう。
あまりにも取れないほど人気が続くようなら、(ベース車両となるE657系の運用に変化が生じるタイミングで)更なる追加改造・増発なんてミラクルが起こるかも?w
(保証はできませんが💦)
……ともかく今は、みんな胸を張って、
新たな寝台特急で、もっと楽しい休日を過ごそうではありませんか…ッッ!!
結びとして、私が好きなある曲の歌詞から言葉を借りて、一言。
「風光る未来へ そして君へ "夢は叶うよ!"」
「踏み出そう一緒に 怖くない! ここまで来れたんだから」
──「光の中で花咲いて」 (蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ)より
