断水したら「バケツで流せば大丈夫」と思っていませんか?トイレより先に確認すべきこと
もし今夜、急に水が止まったら
蛇口をひねっても、水が出ない。
台風や大雨、地震――原因は色々ありますが、断水は誰の暮らしにも突然やってきます。浄水場のポンプが停電で止まったり、河川の水が濁りすぎて浄水処理が追いつかなかったり、地震で水道管そのものが壊れてしまったり。理由はいくつもありますが、結果はいつも同じです。「当たり前に出ていた水が、出ない」。
そのとき、多くの人がまず考えるのは「飲み水は大丈夫かな」ということだと思います。ペットボトルの水を何本か買っておいたし、備蓄もしている。そう考えて、少し安心してしまう方も多いのではないでしょうか。
でも、実はそこに大きな見落としがあります。
「飲み水さえあれば大丈夫」は、実は誤解です
飲料水・調理用水として必要な量は、1人1日あたり約3リットルが目安とされています。これは内閣府や農林水産省なども言及している数字で、備蓄の目安としてよく紹介されるものです。
一方で、トイレ・洗濯・食器洗い・体を拭くといった、いわゆる「生活用水」は、1人1日あたり約10〜20リットルが必要とされています。
並べてみると、この差は歴然です。
飲料水:約3リットル/日
生活用水:約10〜20リットル/日
生活用水のほうが、飲料水よりもずっと多く必要になるのです。つまり「ペットボトルの水さえ備えておけば断水も乗り切れる」という考え方は、量の面で見ると大きな誤解ということになります。
飲み水は生きるために欠かせません。でも、断水した生活のなかで実際に一番「困った」と感じるのは、案外こうした生活用水のほうだったりします。特によく挙がるのが、トイレです。
トイレが流せない。まず何をすればいい?
水洗トイレは、水がなければ流せません。これは当たり前のようで、断水が始まった瞬間に一番強く実感することの一つです。
対処法としてよく紹介されているのが、バケツで水を流し込む方法です。
4〜6リットルほどの水を、一気に、静かに便器へ流し込みます。これで水洗トイレの代わりになると、複数の水道業者・住宅設備メーカーの情報サイトで紹介されています。ゆっくり少しずつ注ぐと汚物が流れきらないことがあるため、「一気に」がポイントです。
ここまでは、防災の知識として耳にしたことがある方も多いかもしれません。
トイレより先に、確認すべきこと
ただし、ここに見落とされがちな注意点があります。
地震などで排水管そのものが損傷している場合、無理に水を流すと汚水が逆流してしまうことがあるのです。マンションの場合は特に、自分の部屋だけでなく下の階のトイレや浴室から汚水があふれてしまう、という二次被害につながる危険があります。
つまり、「断水したらバケツで流せばOK」ではなく、「まず排水管が無事かどうかを確認する」ことが先、ということです。この点は、複数の水道業者の情報サイトでも共通して注意喚起されているポイントです。
排水管が壊れているかどうかの見分け方の一つとして、次のような確認方法が紹介されています。
水を流す前に、まず少量の水(コップ1杯程度)を試しに流してみる
変な音がしたり、水位が下がらなかったりする場合は排水管の異常が疑われるため、それ以上は流さない
集合住宅では、管理組合や自治体からの案内(排水管の点検情報)も確認する
「流せる状態かどうかを見極めてから流す」。この順番を間違えないことが、断水直後にまずやるべきことだと言えます。
ここまでが、断水したときに最初に直面する「トイレ」の話でした。
でも、断水で困るのはトイレだけではありません。洗濯、食器洗い、お風呂――生活用水が必要な場面は、暮らしの中に思っている以上にたくさんあります。
ここから先では、以下のような内容を具体的にまとめています。
洗濯機メーカーが「断水時の使用を推奨していない」理由と、それでも衣類をきれいにするための代替手段
食器を「洗わずに済ませる」ための防災ラップの使い方と、少ない水で洗う「ため水」のコツ
お風呂に入れない間の体の清潔の保ち方と、残り湯を溜めておくべきかどうかの衛生的な判断基準
家族の人数に合わせた簡易トイレの必要備蓄数を、自分で計算できる式
自治体の「災害時給水ステーション」を実際にどう使うか、混雑を避けるコツ
「うちは洗濯機があるから大丈夫」「残り湯は汚いから抜いている」――もし少しでもそう思っていたら、それは断水時にはむしろ逆効果になっているかもしれません。ご自身の備え、思い込みになっていないか、ここで一度確認してみませんか。
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