第二話 小説「木春・妖怪奇譚 河童の太郎」作・秋野あかね

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碓氷峠とアプトの道。横川にきて峠の釜めしを食わないなんて・・ ー 旅の栞 みなかみ紀行編 ー

第一話 全文公開 小説「木春・妖怪奇譚」(法力を得た、僧の木春、誕生)
第二話 小説「木春・妖怪奇譚 河童の太郎」

時は、怪しい物の怪たちが跋扈する時代・・・。
河童の太郎は、悪さばかりしている悪い妖怪であった。

不動明王から法力を得た、僧の木春が、橋の上から河原を眺めると。
ちょうど河童の太郎が、子供の尻子玉を取ろうとしているところだった・・・。

それを見た木春は、
「これ、これ、河童。 そこで何をしておる‼」
と、大声で咎めると。
河童の太郎は、ぬめっとした顔を、木春の方へ向けて
「何をしておるとな。このわっばの、尻子玉を抜いて食ってやろうとしているところじゃ。
フゥ、ヒヤッ、ヒヤッ、ヒヤッー」
と、悪びれた様子もなく言った。
木春は、今にも、尻子玉を抜こうとしている河童へ向かって。
「これ、まて‼ まて‼」
と言いながら、急いで、河原へ降りてゆくと。
河童に向かって、
「なぜ、何もしていない、わっばに対して、このような無体な事をするのじゃ」
と言うと。

河童の太郎は、
「ふん、何もしていないだと。
こ奴は、ワシが、食おうとしていた胡瓜を、とって食ったのじゃ」
と言った。
すると、わっぱが、泣きそうな顔で、
「いいや。胡瓜は、俺の畑で育てたものだ。
俺の畑の胡瓜を食って何が悪い‼」
と言った。
それを聴いた河童の太郎は、
「バカヤロー、畑の胡瓜をでかく育てたのはな。
いつも畑にションべをして肥料をやっていたこのワシじゃ‼」
と大声で怒鳴って。
どうしても、わっぱの尻子玉を取って食うと言ってきかなかった。
そして、木春に、
「どうしても、このわっぱを助けたいと言うのなら。
このワシと相撲をとって、もしもお主が、ワシに勝つことが出来たなら、なんでも言う事をきいてやろう」
と言うのだった。
河童の太郎は、心の中で、人間のように非力なものが、妖怪である自分に、勝てるはずなどないと考えていたからだった・・・。

それを聴いた木春は、
「よし、分かった。私が勝ったなら、私の言う事をきくのだな」
と言うと。
木春は、ジャランと、音を立てて錫杖を大地に突き刺すと。
手で印を結び、真言を唱え始めた。
「ナウマク サンマンダ バザラダン・・・」
すると、木春の体の中に、不動明王の法力が入り込み、筋肉が活発に脈動し始めるのが分かった。
体中に、法力の漲りを感じた木春は、法衣を脱ぎ捨てて上半身裸に成ると。
木春と、河童の太郎の二人は、組み合って相撲を取り始めたのだった。
しかし、勝負は一瞬で決まった‼
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