「一緒にいられる」から、「ひとりでいられる」
「自立した子に育てたい」
子育てをしていると、よく聞く言葉です。
でも研修で聞いたある言葉が、
私の中に深く残りました。
「一緒にいられると思うから、一人でいられる」

⸻
この言葉を聞いたとき、
保育の中で見てきたこどもたちの姿が
一気につながった気がしました。
こどもは
「一人でできるようにさせる」ことで
自立していくわけではありません。
むしろ逆で、
困ったときに戻れる場所。
「ここにいけば大丈夫」と思える人。
そんな存在があるからこそ、
こどもは安心して世界を広げていくのだと思います。
⸻
先日、保育園でこんな出来事がありました。
園庭遊びから帰ってきて、
これから給食の時間というときのこと。
みんなは着替えをして、
終わった子から絵本を見に集まっていました。
でも一人の女の子Cちゃんが、
絵本の近くで座ったまま
なかなか着替えようとしません。
先生たちが何度か声をかけても、
動けないまま。
やがて強い口調で
「いつまで座ってるの!」
「早く着替えないとだめでしょ!」
そんな言葉が重なり、
Cちゃんは激しく泣いてしまいました。
⸻
私は途中でCちゃんのところへ行き、
まず安心したほうがいいなと思い
「抱っこする?」と聞きました。
Cちゃんは泣きじゃくりながら
小さくうなずき、私のもとへ来てくれました。
少し落ち着いてから、
Cちゃんが着ている服を見ながら
「この服好きだったのかな?」
と聞いてみると、
まだひくひくしながらもうなずくCちゃん。
そこで、
「じゃあ次に好きな服、
一緒に探してみようか」
と声をかけました。
⸻
すぐに気持ちが戻るわけではありません。
泣いたり、嫌だと言ったり、
時間はかかりました。
でも一緒に服を選んで、
着替えをして、
そのあと給食を食べて。
少しずつ落ち着きを取り戻していきました。
⸻
そのとき、私は改めて思いました。
こどもは、
わざと困らせようとしているわけではない。
ただ、
自分の気持ちをどうしたらいいか
わからなくなっているだけ。
そして、
強い言葉で急かされると、
心はますます崩れてしまう。
回復するには、
とても時間がかかります。
でも、
安心できる人がそばにいて
一緒に立て直していくと、
こどもは少しずつ
自分の力を取り戻していきます。
⸻
「一人でできるようにしなきゃ」
と急がなくても、
まずは
一緒にいられる安心。
困ったときに戻れる場所。
「ここにいれば大丈夫」
そんな経験を重ねていくことが、
結果的にその子の自立につながっていく。
私はそう感じています。

こどもとの関わりや声のかけ方については、
こちらにも書いています▼
