見出し画像

【PERFECT DAYS】冬の映画部(2024)

【PERFECT DAYS】

2023年12月22日 (日本)

監督: ヴィム・ヴェンダース


ここ数年の鑑賞作品のうち間違いなく最も琴線に触れた映画



この作品を観て『こんなふうに生きられたら』と思う人はタイムスケジュールに追われてる人と批判した批評家がいるそうな


いけませんか

追われてますよ、だいたいの人は



だからこそ

こんなふうに日々を淡々と

細やかな喜びを大切に暮らしていけたら

どんなに心穏やかでいられるかと思う



主人公平山は禅僧のような暮らしをしている


毎朝同じ時間に起きて

自販機で珈琲を買い

通勤時にはお気に入りの曲を聴き

決まった公衆トイレを掃除して

銭湯に行き

大衆酒場で晩酌

寝床に入り小説を読み

木漏れ日の夢をみる

そんな日々が繰り返される



劇中にこんなシーンがある


重なった影は濃くなるのか

そう問われて、平山は強い口調でこう答える

「重なった影が濃くならないなんて、そんな馬鹿な話あるわけないじゃないですか」


あるものがなくなるなんてそんなワケがない

日々が重ならないワケがない

そこに変化がないワケがない


単調な日々の中に

木漏れ日の変化

夜明けの空の変化

流れる時間の変化

それを感じている


同じように見える世界も、実は絶えず変化し続けている

まさに色即是空


今度っていつ?

今度は今度、今は今という回答も

今を生きる禅の教えに通じる


確かに彼は今この瞬間を生きている

そこに憧れるのだ

こんなふうに今を生きられたらと


また忘れてはいけないのは音楽

静かに淡々と過ぎていく中で

平山がカセットテープで聴く70年代の楽曲の数々

特にスナックのママ石川さゆりが歌う『朝日楼(朝日のあたる家)』には痺れた


またラストシーンのルー・リードの『パーフェクト・デイ』

いつも通りの朝だが

その日の彼は少し違う

泣いては笑い

笑っては泣く

長く生きてきた積み重ねの涙が

大人には身に染みる


そして

私は明日も犬の散歩に出掛け

朝陽を見上げるのである


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集