【海をゆく者】冬の演劇部(2023)
【海をゆく者】
作 コナー・マクファーソン
出演 小日向文世・高橋克実・浅野和之
大谷亮介・平田満
@PARCO劇場
演劇が好きだ
理由は簡単、演劇部だったから
いや、演劇が好きだったから演劇部だったのか
今となっては定かではない
ただ、目の前で生身の人間が演じるという絶対的リアリティは映画ではなかなか味わえない
今ここで起きていることは二度となく
まさに一期一会である
さて、こちらの作品は2006年にロンドンのナショナル・シアターでの初演以来、数々の賞を受賞し
『21世紀のクリスマスキャロル』と表され
世界中で上演されている傑作芝居
日本でも2009年、2014年に続き3度目の上演
アイルランドの海沿いの街のクリスマス・イブ
酔っぱらいのダメ男たちが喋り続けて
ポーカーゲームに興じる
開演直後に浅野和之が階段を降りてきたときにドキッとした
階段の降り方と声の出し方が
その辺にいる酔っぱらいを連れてきちゃったように見えたから
あの名バイプレーヤーの浅野和之だもの
演技が上手いのは当然だけど
演技を遥かに越えた本物感
それが彼だと気がつくのに暫く時間がかかったほど

一時間半ほど過ぎたあたりで途中休憩
休憩のあるお芝居は久しぶり
その後更に喋り続けて酔い続けるが
ある男の提案により
本気のポーカーが始まる
最後はポーカーの賭けに負けて
追い込まれるダメ男たち
絶望感に包まれる中
まさかのオチ
このオチのための3時間だと思うと
ズコーと椅子から滑り落ちそうになった
メガネメガメ…頭の上に乗ってるよ
レベルのオチである
3時間
飽きずに観られたけど
この3時間がこのオチのためにあったのだと思うと
返す返すもズコーである
もちろん最高のズコー
そのオチを言うのも浅野和之
3時間近いフリを落とすセリフ
その間を逃したらこの芝居は全てがパーになる
それを毎回完全な間で落としているのだ
彼は神だ
しかも2006年、2014年と初回、再演、再再演の全てを彼が落としてきたのだ
確かにこれは奇跡かも知れない
何ともズッコケなオチなんだけど
彼がそのセリフを言った瞬間が忘れられない
観客が理解するまでの一瞬の静けさ
からの大爆笑
これは舞台でしか経験できない
4度目の公演があったなら
絶対にまた観に行きたい
最高のズコーがしたい

