613.【散文詩】夢のかたち──信義の価値
夢を見た。
元家族の夢だった。
何故だろう。
夢でさえ、この家はいつも争っている。
内容は、信義に関しての契約。
裏切るのはいつも彼らだが。
形式は仰々しく、押し付けがましい。
契約書には、こう記載されていた。
裏切った場合、金弐百万円を支払う。
信義の契約と言う割には、安い金額だ。
勿論、今の私にとっては、大きな金額だが、彼らには大した金額では無い。きっと裏切る余白を置いているのだろう。
一呼吸置いて。
私は桁が違うと言った。
それも二桁。
私は裏切らない。
大層に信義を語る契約であれば、それ相応のモノを掛けよ。そもそも信義と言うのであれば、この金額提示は逃げる前提だ。
だから二桁。
加えるか減らすか。
弐億、或いは弐萬円。
これであれば、契約する。
守る覚悟があるならば、前者。
逃げるつもりであれば、後者。
「これが二十年、この家を見ていた私の考えです。」
私は、この家で信義を語る者たちの“価格設定”を、もう正確に理解してしまった。
そして理解した者は、もう同じ契約を結ばない。
そう言うと、また家は争いだした。
そして、夢は次の場面を映し出す。
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