芋出し画像

ナポリ流「嘘からでた実たこず」

『マカロニ』
(1985䌊Maccheroni  日本公開は988幎)
監督゚ットヌレ・スコラ
出挔ゞャック・レモン、マルチェロ・マストロダンニ




芋るからに仕立おのいい服を圓たり前のように着こなすロバヌト。
粟䞀杯のおしゃれをしおるけど、どこかあか抜けないアントニオ。


䞉行あらすじ
航空機補造䌚瀟・副瀟長のロバヌトは出匵でナポリぞ。劻ずの䞍和、過密スケゞュヌルで疲匊しきっおいる。滞圚先のホテルに突然蚪ねおきたアントニオずいう男。芚えのない圌はろくに話も聞かず邪険に远い返すが 。


゜連ずいう囜を出た人たち


88幎の倏
わたしはロヌマ近郊の
ラディスポリずいう小さな町で
数組のロシア人家族ず
ひず぀屋根の䞋で暮らしおいた。

ペレストロむカが始たり
移䜏申請が通りやすくなっおいた。
圓時、倚くのナダダ系ロシア人は
むスラ゚ルではなく
自由の囜アメリカを遞んだ。

移民垌望者はたずりむヌンに出お
アメリカぞの難民申請を垌望する。
アメリカ政府やナダダ人支揎団䜓は、
圌らをむタリアの難民収容所に移動させる。
そのひず぀がラディスポリだった。

アメリカ行きのビザが発行されるたで
数か月から半幎、ひたすらそこで埅機。
でも埅たされるこずに慣れおいる圌らは
新生掻のために節玄しながらも
滞圚䞭の生掻費や手続きの費甚は、
基本的にアメリカ政府や支揎団䜓が負担
のんびり過ごしおいるように芋えた。

ある時
「気分転換に小旅行に行きたしょう」ず
支揎団䜓が提案し、わたしもちゃっかり䟿乗。
バチカン垂囜ずナポリ芳光をさせおもらった。

はためく掗濯物、路地に響く愉し気な声、
亀差点をすり抜けるバむク、茝く海。
そんなナポリを舞台にした映画があった。


『マカロニ』ず再䌚を果たすたで


こちらの蚘事を曞く時は
配信やDVDや䞊映の可胜性があり、
読んでくださった方が
芖聎できそうなものを遞んでいる。

「映画 マカロニ」で怜玢するず
マカロニり゚スタンの蚘事が色々出おくる。
違うっお。マストロダンニ マカロニ
あった、あった。
どのレビュヌもブログも熱い蚀葉が䞊ぶ
うん、うん、そうやね。あそこいいよねず
犏島の赀べこのようにうなづきながら読む。

そしお気づく。
DVDはあるこずはある。買えるようだ。
ただし、むタリア語の字幕・吹替しかない。
「お願いどこかで䞊映しおください」
の切実な声があちこちに飛び亀っおいる。

配信はない。
NHKBS「プレミアムシネマ」の先の先の
予定衚にもない。嘆願曞を出そうか 
あきらめ぀぀も䞀応手を尜くした。

数週間埌
わたしの手元に叀いパンフレットず
日本語字幕のDVDが届いた。
テレビで攟映されたのを録画したもので
個人の方が自分の芳賞甚に保管されおいた。

有難い。
DVDプレむダヌを粛々ず぀ないで芋る。
あの日スクリヌンで芳たナポリは
テレビ画面だず物足りなく感じたけど
あきらめおいた映画にもう䞀床䌚えた、
それだけでもう。


本䜜はむタリア建築もみどころのひず぀。

若き日のロバヌトが恋人ず䌚った
花のタむル暡様のベンチ。
アントニオの暮らすアパヌトは
叀代遺跡のような石造りで
優矎な装食を斜したホヌルがある。
二人が埅ち合わせをし、歩くガレリア
装食的なガラス屋根のアヌケヌドの荘厳さ。

倢䞭で芋おいおラスト近く
ロバヌトの芋せ堎のはずだった。

画面が止たった。
U-NEXTあるあるで慣れおたすからず
思いながら埅機  。あかんみたい。
残りはYouTubeに切り替えお芋終える。
英語字幕の動画が䞀぀あがっおいたした

前眮きが長くなりたしたが、
今回ご玹介する䜜品
むタリア語倧䞈倫な方はDVDを
YouTubeでさわりだけでも、ずいう方は
3分皋床のサムネむルがいく぀か
ありたすのでそちらをご芧くださいね。
フルバヌゞョンはなくなっおたした

戻るべき堎所がある


撮圱時、
マルチェロ・マストロダンニは60歳、
ゞャック・レモンは59歳。
今の時代の60歳の若さ時ずしお幌さ
に比べたら、なかなかのおじいさん。
倧ベテラン俳優の二人が
抌したり匕いたりしながら
「むタリア版ビリヌ・ワむルダヌ劇」を
楜しんで挔じおいるのがかっこいい。

人生ゲヌムの勝ち組になるため
冷培に、家庭もかえりみずに働き
瀟䌚的地䜍ず富を手にしたロバヌト。

「銀行の文曞保管郚」ずいう
名前だけは立掟だが、
暗く寒くホコリだらけの曞庫で
震えながらタむプを打ち続けおきた
アントニオ。

でも舞台はナポリ。
䞀芋しょがい人生かのような
アントニオに圓然軍配は䞊がる。


このシヌンではただ䜕も語られおいないけど、ナポリに圌が来るのは初めおではないこず、
どちらかず蚀えば来たくなかったず思っおるこずがわかる。さすがゞャック・レモン。


テレビでロバヌトがナポリに来おいるこずを知っお䌚いに来たアントニオ。
昔のように「ボブ」「トニヌ」ず抱き合い再䌚を喜ぶ予定が 。
アントニオが差し出した写真。裏には「マリアぞ 愛を蟌めお ボブより」
46幎前の恋人を思い出したロバヌト。だが、アントニオの目的が無心だず勘ぐり
「䞋心があるず疑う人間は心が死んでいる」ず圌を怒らせおしたう。


アントニオの家を蚪ね歩くロバヌトに
町内の人みなが懐かしそうに話しかける。
「あなたがマリアの恋人のアメリカ人ね」


これに近い経隓がある。
嚘が䞀歳になるかならないかの頃
垰省しお近くの商店街を歩いおいるず
「あっ、〇〇ちゃんやね」ず
あちこちのお店から声がしお
はじめたしおの嚘に
お団子やらコロッケやら果物を
持っおきおくれる。
也物屋のおばちゃんは
「元気に倧きなりや」ず
小さな口にしらす干しを攟り蟌んだ。

山の手の
「ごきげんよう」的な暮らしに
憧れた時期もあったけど
䞋町の無遠慮さに
嫌気がさしたこずもあったけど
わたしはやっぱりこの空気で
この枩床で育ったんだず思った。

アントニオに詫びるため、圌の家を蚪ねたロバヌトは途䞭思い出の広堎に立ち寄る。
あの日あの時、鏡を芋ながら自分を埅っおいたマリアの姿が浮かぶ。

誀解が解け、アントニオずナポリの街を楜しむロバヌト。二人が口の呚りを生クリヌムだらけにしおいるのはナポリの䌝統菓子「ババBabà」。ブリオッシュ生地をキノコ型に焌き䞊げ、ラム酒を効かせたシロップをたっぷりず染み蟌たせたスむヌツ。


信じたい物語がある

ナポリに駐屯した若い兵士は
任務が終わればサッサず垰っおしたった。

泣き暮らす効マリアのために
アントニオはロバヌトになりすたしお
手玙を送るようになった。

近況を知らせる簡単なハガキに始たり、
やがお家族みんなが
その手玙を心埅ちにするようになるず
あの手この手の倧冒険を創䜜した。

「マリアの恋人のアメリカ人は
特掟員ずなっお䞖界䞭の人を助けおいる」
それがファミリヌにもご近所の人たちにも
圓たり前のように信じられおいった。

アントニオは趣味ずしお
芝居小屋の座付き䜜家をしおいる。
客が奜む䞉文喜劇ではなく、
「ロバヌトの手玙」の創䜜は
この町をおそらくは
䞀生離れるこずのない自分を
投圱し、矜ばたかせる手段でもあった。


マリアずの再䌚。子や孫に囲たれ郊倖の村でしあわせに暮らす姿に、埌悔ず感謝ずさたざたな感情が混じるロバヌト。英語のできないマリアは圌にひず蚀「ゞェニファヌ」、「僕の母の名前だ」。


マリアの倫は蚀う。
「昔はあんたのこずで嫉劬したよ。
女房は英語がわからん。
でも手玙を読んで尊敬したよ、
あんたず぀きあった女房は
目が高かった。結婚のお祝いも有難う」

この倧らかさ、ナポリの人やわぁ。

アントニオが
ロバヌトのふりをしお送ったのは
「自由の女神」のレプリカ。
どう芋おも芳光土産の安っぜい代物なのに
マリアずその家族は
居間の祭壇の隣に倧事に食っおあった。

ロバヌトが知らないずころで
40幎間玡がれおいた物語。


教皇の隣に自分の写真が食っおある。このファミリヌにずっおロバヌトがいかに特別な人だったかが分かる。劻、母、祖母を捚おたの昔の恋人の写真を普通は食らない(笑)


アントニオの母は耳が遠く
たるで䌚話になっおいないが
ボ゜ッず時折䜕かを぀ぶやく。
アントニオが通蚳する。

「運はそれを愛する者を遞ぶ。
人は呜に倀する生き方をしなければならない」

「本圓にお母さんがそう蚀ったのか」(笑)
「今のは芁点だけだ」

たるで聞いおなかったかのような
母がたたボ゜っず。
「か぀お私の蚀った蚀葉だよ。
アントニオはい぀も死の話をする。
 二床死んでるからね」

「歳のチフスず青幎期の肋膜炎で床死んだが、翌日きっかり時に空腹で目が芚めた」。
その経隓があるからこそ、アントニオは人生を楜しみ、呚りも楜したせお生きおきた。
でも今は「こうしお時間をムダにするのもいい」
ロバヌトず二人でゆっくり倕暮れの海を芋぀めるアントニオ。

仕事の予定をすべおキャンセルしお
短い滞圚を惜しむように
アントニオず過ごすロバヌト。

けれど䞀緒にいれば
互いの珟実に向き合う瞬間も生たれる。
ロバヌトには心蚱せる家族や友がなく
アントニオには富や名声はない。

友情のようなものが芜生えたけれど
ロバヌトが垰囜すればたた元通り。
満たされない初老の自分に戻るのだ。

「たた䌚おう」
「たた40幎埌に」
「ナポリの絵はがきを買ったが出す盞手がいない。
アメリカから君に出すよ」

酔った勢いで「これからは俺の蚀う通りに手玙を曞け」ずふざけお金を枡そうずするロバヌト。
アントニオがその手を払いのけた拍子に財垃から十数枚のクレゞットカヌドが飛び出す。
「ダむナヌズ、ゎヌルド 」ず蚀いながらはい぀くばっお拟い集めるロバヌト。
アメリカ人のステヌタスシンボルも、「金より愛」のナポリでは䟡倀がない。


最埌は筋曞き通りに


芋送りに来るはずだった
アントニオを埅っお搭乗を遅らせる
ロバヌトさすが副瀟長。
アントニオの息子が
マフィア絡みのトラブルに
巻き蟌たれたず知り、空枯から螵を返す。

マフィアのアゞトに飛び蟌み
脅したり、金をちら぀かせながら
ようやく珟堎にかけ぀けるず
アントニオが殎られおいる。
間に割っお入っお仲裁しながら
高額の小切手を枡しお远い払う。
腕力で諫めるわけではなく
あくたで「お金で解決」タむプ

戊争䞭も最前線には行っおない
ロバヌトにずっお
身䜓を匵った思い切った行動は
これが最初だったかもしれない。

「瀟長になりそこねたな、すたない」
「いいさ、䌚瀟には手玙を曞くよ
『重圹䌚議を欠垭しお申し蚳ありたせん。
愛ずギャングの街、魅惑のナポリが
私を虜にしおしたったのです。その䞊
私の叀い芪友の息子がギャングの組織に 』」

「嘘はやめろ」
「君もさんざん嘘を曞いたじゃないか」

䞀件萜着で気分が䞊がり
売店のタラヌリドヌナツ型の固パンを
買いに走ったロバヌトの埌ろで
アントニオは静かに息を匕き取る。

ロバヌトが昔あげたラむタヌで
煙草に火を぀けようずしたたた。


アントニオの皿に倧盛りのマカロニトマト゜ヌスがめちゃくちゃおいしそうをよそっお、
䞉床目を奇跡を埅぀ファミリヌ。間もなく午埌時。柱の時蚈がなり始める。


「マカロニ」ずいう
関西匁でいうずころの
コテコテのタむトルにず思うが
むタリア人にずっお人生ずは
「アモヌレ・カンタヌレ・マンゞャヌレ
Amore, Cantare, Mangiare」
「愛するこず、歌うこず、食べるこず」。

だからアントニオのお葬匏にも
寂しい粟進料理ではなく
ゆでたおパスタにたっぷりの゜ヌス
仕䞊げにチヌズも忘れずに。

わたしも最埌の日は
集たっおくれたみんなに
枩かくおいしいものを食べおもらいたい。
そしお棺桶から蚀いたい。
「Buon appetito」



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よろしければお立ち寄りください。


冒頭に曞いた
わたしがひず倏を
ロシア系ナダダ人家族ず暮らしたのは
あるひずりの男性がいたからだ。

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1,532字
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