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運動は脳にどう効くのか。7年続けた僕と、研究が言っていること

運動が健康にいいのは、周知の事実です。

肥満とか、血糖値とか、寿命とか。学校でも病院でも言われるので、改めて言う意味もあまりありません。

なので今日は、健康の話をしません。

運動をすると、頭が働くようになるという話をします。

僕は7年かけて24kg痩せましたが、正直に言うと、人生への影響が大きかったのは体重のほうではありませんでした。

「健康のため」は、続かなくて当たり前

運動が続かないのを、意志の弱さのせいだと思っている人は多い気がします。僕もそうでした。

健康というのは、効果が出るまでが遠くて、しかも出たことに気づけません。「今日歩いたので、将来の病気のリスクが少し下がりました」と体は教えてくれない。

がんばった分の効果か目に見えて現れないので、続けるモチベーションが下がる。少なくとも僕は無理でした。

高校時代、僕は「勉強時間が足りない」と思っていた

僕の高校時代の後悔は、勉強しなかったことではありません。

運動しなかったことです。

当時の僕は、椅子に座っている時間=勉強している時間だと思っていました。だから運動なんて時間の無駄だと思っていた。歩く時間があるなら英単語を10個覚えたほうがいい、と本気で思っていました。

でも実際は、机には向かっているのに頭が動いていない時間がずっと続いていました。教科書を目で追っているだけの1時間。読んだはずのページの内容が、5分後には消えている。あれを「勉強時間」としてカウントしていたので、まあ、伸びないわけです。

足りなかったのは時間ではなくて、頭がちゃんと動いている時間でした。

大学で運動が習慣になって、逆転した

大学生になってから、僕は運動が習慣になりました。きっかけはジョン・レイティの『脳を鍛えるには運動しかない』という本です。

運動の本なのに、身体の話がほとんど出てこない。集中力とか、記憶とか、気分とか、頭のほうの話ばかりでした。読み終えて僕がやったのは、近所を1時間散歩することでした。
そして、そこから運動の習慣が定着していきました。

そこから体感が変わりました。

  • 本を読むスピードが上がった(今は月に20冊くらい読みます)

  • 読んだ内容が残るようになった

  • 頭がクリアな時間が長くなった

高校のときより、大学のほうが明らかに記憶力が向上していました。暗記系のテストでは、120人くらい受けて、最高点を取ったことが何回かありました。(※大学生のテストなので、勉強していない人も混じっているので大したことはないでしょう)

もちろん勉強のやり方も変わったので、これは僕の主観にすぎません。ただ、変えたことの中でいちばん大きかったのは、間違いなく運動でした。

歩いてから机に向かうと、頭がクリアで集中力が持続します。

科学的なエビデンスはどうなのか

僕の体感だけだと、n=1でしかないので、根拠のほうも書きます。

① 歩くと、記憶に関わる部分が育つ

座りがちな高齢者120人を1年追った実験では、週3日・1日40分歩いただけのグループは、記憶に関わる海馬の体積が約2%増えていました。ちなみに、ストレッチだけのグループは1%台の減少。加齢で縮むはずの場所が、歩いていただけで逆に育ったことになります。

② 運動した学生は、単位を落とさなくなった

ノルウェーの大学生778人を対象にした実験があります。くじ引きで半分の学生に無料のジム会員権を配ったところ、その学生たちは単位の取得数が増えました。

しかも、効果がいちばん大きかったのは、もともと自制心や生活習慣に課題があった学生たち。つまり、だらしない人ほど効いたということです。

③ 運動と関係ない習慣まで、勝手に整う

個人的に、これがいちばん驚いたメリットです。

散歩を始めてしばらくして、気づいたら自炊が増えていました。夜のだらだら食いが減って、部屋も少し片づくようになった。ダイエットのために食事を変えたのではなく、歩き始めたら食事が勝手に変わった。 順番が逆なんです。

これに近い研究があります。運動習慣のない学生に2ヶ月の運動プログラムをやってもらったところ、運動と関係ないはずの生活習慣まで改善しました。

  • ジャンクフードを食べる量が減った

  • 衝動買いが減った

  • 感情のコントロール能力の向上

  • 先延ばしをしなくなった

参加者24人の小さな研究なので断言はできません。ただ「運動は自制心そのものの筋トレになる」という説明は、僕の実感といちばん近いです。

ダイエットが続かない人ほど、食事からではなく歩くほうから入る意味がある気がしています。

④ アイデアが出る

スタンフォードの実験では、歩いている人は座っている人より創造的なアイデアの量が平均で約60%多かったそうです。屋外でも室内のランニングマシンでも結果はほぼ同じで、景色ではなく歩く行為自体が効いていました。

ただし続きがあって、答えが一つに決まる集中系の課題では、歩いた人のほうが成績が悪かった

⑤ 気分が上向く

落ち込んでいるときに歩くと、悩みが解決するわけではないのに、悩みに対して楽観的になります。
「状況は何も変わっていないのに、まあいいか、になっている」という感じです。

うつ症状に対する運動を218件の試験からまとめた大規模なレビューでは、ウォーキングやジョギング、ヨガ、筋トレなどに中程度の改善効果が見られたと報告されています。

ですが、「運動すればメンタルが治る」とは言いません。しんどいときは人に頼ってください。

子どもこそ、運動をしてほしい

これは僕が高校時代を後悔している理由でもあります。

7〜9歳の子ども221人を対象にした実験では、放課後に1日70分以上の中〜高強度の運動を9ヶ月続けたグループは、我慢する力(抑制)が3.2%、頭の切り替え(認知的柔軟性)が4.8%改善しました。しかも出席率が高い子ほど改善が大きいそう。

一方で、学業成績そのものへの効果は、正直に言うと控えめです。なので「運動させれば成績が上がります」とは言いません。

ただ、座っていられる力・切り替える力・集中を続ける力のほうに効いているらしい、というのは押さえておく価値があると思います。

個人的には、塾に行くなら、運動を優先するほうがいいのではないかと思っております。

結局どのくらいの強度で歩けばいいのか

ここが本題です。

というのも、「歩けばいい」と言われて僕が最初にやったのは、スマホを見ながらのそのそ歩くことでした。結果、3ヶ月やって何も変わりませんでした。

強度が足りないと、たぶん意味がありません。

ウォーキングと脳由来神経栄養因子(BDNF)の関係を整理したレビューでは、軽すぎる強度の歩行では変化が見られなかったことがはっきり指摘されています。

逆に言えば、条件さえ満たせば1日30〜40分で足ります。ジムもいらないですし、お金もかかりません。

ここから先は、僕が7年かけて感じた「効果的な散歩」について書きます。

  • どのくらいのペースなら効果的か(時計なしで判断する方法)

  • 1日何分・週何回が最低ラインか(研究メイン)

  • いつ歩くか——集中したい日と、暗記したい日で、歩くべき時間帯が違います

  • やってはいけない歩き方(僕が3ヶ月無駄にしたやつ)

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