詩┆まだ、空が広かったころ。
まだ、空が広かったころ。
飛んでいく風船に魅せられた。
空に落ちていくように見えたから。
やがて、晴れていた空は曇り、
雨が落ちてくる。
僕の肩にも、
重さが落ちてくる。
ニュートンが導いた法則は、
覆せないのだと知ってしまった。
東京タワーの真下から見上げると、
赤く光った蜘蛛の巣が、
夜の空を切り分けていた。
どこにも、僕が通れる隙はなかった。
落下したくなった。
上へ行けない分、下へ、下へ。
けれど、涙で溢れた夜だけは、
僕を浮力で飛ばしてくれる。
光で包まれた町が、
まぶたの内側の海へ沈んでいく。
屈折した地上は、
ろうそくの火のように揺れている。
いっそ、息を吹きかけたい。
あのころのように。
空はもう、狭くなった。
飛んでいく風船も、
どこかで音もなく割れてしまう。
それでも、どうしてだろう。
いつかあちらへ行けると、
まだ思ってしまうのは。
