ビーコルに必要だった健全な対立
シーズン後の選手インタビューを聞いていると、日本人選手も外国籍選手も、それぞれがチームビルディングにかなり苦しんでいたことが伝わってくる。今季のビーコルを見ていてチームビルディングがなかなか進んでいないなという感覚はずっとあった。
チームビルディングは各段階を経て進んでいくと説明しているのが👇のタックマンモデルだ。

このモデルでは、チームが成熟していく過程を
・形成期(Forming)
・混乱期(Storming)
・統一期(Norming)
・機能期(Performing)
の段階で説明している。

ここで特に重要なのが混乱期。メンバー同士が価値観をぶつけ合い、衝突しながら互いを理解していく。
バスケで言えば、
「もっと強度高く守るべきだ」
「そのプレー選択では勝てない」
「もっと走るべきだ」
「自分の役割認識と違う」
といったズレが表面化する時期だ。当然、空気は悪くなる。でもこの段階を避けて通るチームは、強くなり切れない。今季のビーコルはこの混乱期をうまく乗り越えられなかった感がある。
問題は「対立が起きたこと」ではない。むしろ、本来なら必要だった“対立”を最後までやり切れなかったことだったように感じる。
混乱期では、本音をぶつけ合うことが必要になる。
「もっとこう守るべきだ」
「その基準では勝てない」
「求められている役割が違う」
そうしたズレを真正面からぶつけ合いながら、チームとしての共通基準を作っていく。
今季のビーコルのチームビルディングにあたり難しかったのは、チームの中心構造そのものが大きく変化したことだったように思う。最も大きかった変化はやはり安藤誓哉の加入だろう。

実績も個性も圧倒的。Bリーグでもトップクラスの経験値と基準を持つ選手であり、その存在感は当然チーム全体に強い影響を与える。
また、ラッシが作るコレクティブバスケットはマイク・コッツァーを軸にチームを設計していたが、そのコッツァーが怪我で長期離脱となったことも大きな変化を余儀なくされた一因だ。これは単純に「主力がいなかった」という話ではない。コッツァーは、ディフェンス強度、判断基準、献身性、トランジションなど、ビーコルのバスケットの土台そのものだった。

つまり、チームの中心、土台になる選手が長期離脱し、さらにそこに安藤誓哉というまた別の強烈な基準を持った選手が加わった。当然、チーム内には様々な価値観やプレー感覚のズレが生まれる。
そのズレに正面から向き合い、意見を対立させながら、チームとしての共通基準を作っていくことが必要だったが、そこに時間を要した。
擦り合わせを進めるべき重要なタイミングであるバイウィーク期間には、安藤は日本代表へ、ラッシHCはフィンランド代表へ参加し不在となったのも大きかった。本来なら、試合のない期間はチームビルディングを深める最大のチャンスだ。だが今季はその中心人物たちが同時に抜ける形になった。これはかなり難しかったと思う。
11月ごろにはチームのためを思ってストレスを抱えたまま「飲み込む」「合わせる」方向に入ってしまった選手もいた。でもこれがチームビルディングでは一番難しい。
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11月の取材で聞いた苦しい胸の内。迷い、悩み、それでも前へ。キングがらしさを取り戻した、あの数秒。 pic.twitter.com/5Rfiz4fdLk
表面的には衝突が減る。空気も少し落ち着く。ただ実際には、根本のズレは解決していない。本当に同じ方向を向けているわけでもない。だから、本来なら抜けられるはずの混乱期が長引く。今季中盤のビーコルにはそんな停滞感があったように感じていた。
シーズン終盤戦は少しずつ空気が変わっていた。ようやくチームビルディングができてきて、誓哉とキーファーとダミアンの個人技を中心としたオフェンスやターズースキーの献身的なリバウンドやハッスルが良い方向に噛み合ってきた。少しずつ「このチームはこう戦う」が共有され始めていたように見えた。(ただ本来ラッシがやりたかったコレクティブバスケットとは違うものになったようにも見えた。。。 )
もちろんそれでCSレベルまで完成したとは思わない。でもシーズン終盤にようやく統一期の入口に立てた感覚はあった。ただバスケットのシーズンには時間制限がある。ダミアンがインタビューで言うように、混乱期を乗り越えるのに時間がかかり過ぎた。

だからこそ、今オフの補強方針はかなり興味深くみている。単純な能力だけではなく、
・健全な対立をできる選手か
・役割を納得して受け入れられるか
・既存メンバーとの噛み合わせはどうか
・チームカルチャーに適応できるか
・コート内外でどんな基準を持ち込む選手か
そういった部分を、フロントはかなり意識しているように見える。
「仲が良いこと」と「強いチームであること」は全く別だ。本当に強いチームは、必要な衝突を避けない。その衝突を乗り越えた先で、ようやく同じ方向を向ける。健全な衝突をし、それを乗り越えられる集団を作らなければならない。
並里、カッコ良すぎる。ベテランとしての自分の役割、そしてその中でも失われぬ自分への自信。まさにリーダーでありメンター。仲良しグループの若手達も、刺激を受けて大きく意識が変わるはず。#ビーコル https://t.co/MSkEuHqkl6
— ストさん 🏴☠️🌹🐽 (@deron_stock) May 19, 2026
圧倒的な実績と個性とリーダーシップを兼ね備えた並里成が加入した。安藤誓哉とは違ったコミュニケーションスキルを持った選手のように見える。また今後発表されるであろう新加入選手の情報やまだ去就が発表されてない選手の動向も気になるところだ。
ある程度チーム構成が見えたところで、来季のチーム展望(妄想)もこのnoteで述べていこうと思います。

長い長いオフシーズンはこれからですが、培った妄想力で楽しんでいきましょう。
