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僕が執筆家になった原点は、母がくれた一冊の古本でした。


「あっ!この本、おもしろそう!」



近くにあった広告とペンを引き寄せて、急いでメモを取り始める母。



僕が執筆家になった原点は、

たぶん、この光景にある。



僕が高校生のころ。

毎週土曜日のお昼に放送されていた「BOOKランキング」を見るのが、母の日課だった。

毎週ランキングを見ながら、読みたい本をメモしていく。

でも買うのは新刊じゃない。

いつも古本。

家の目の前にBOOKOFFがあったからだ。

話題の本も、少し待てば棚に並び始める。

母はその日を楽しみに待っていた。

そんな母の影響を受けて育った僕も、

「本は古本で買うもの」

という習性が身についていた。

高校生だった僕にとって、本は少し高い買い物だった。

だから僕も、母と同じようにBOOKOFFへ通っていた。


そんなある日。

母が買ってきた本の中から、一冊の小説を手に取った。

タイトルは『GO』。

作者は金城一紀さん。

窪塚洋介さん主演で映画化もされた作品だった。

その映画が大好きだった僕は、

「原作なら読めるかもしれない」

そう思った。

当時、小説なんて一冊も読んだことがなかった。

でも、映画で観た作品なら読めるかもしれない。

そんな気持ちで、ページを開いた。


そして、見事にハマった。



一文字、一文字を追うたびに、

物語の世界へ引き込まれていく。

映画とはまた違う感動があった。

読むのが遅い僕は、一冊読み終えるのに一週間以上かかった。

でも、その一週間が本当に幸せだった。

読み終えた瞬間、

主人公と一緒に自分も成長できたような気がした。

景色は何も変わっていない。

それなのに、世界が少し違って見えた。


「小説って、こんなに面白いんだ。」


それから僕は、

母がBOOKOFFで買ってきた本を次々と読むようになった。

毎週土曜日のBOOKランキングも、一緒に見るようになった。

「これも面白そうじゃん。」

そう言って、自分が読みたい本を母のメモにこっそり書き足すこともあった。

そうすれば、いつか母が買ってきてくれるから。

その待つ時間さえ、楽しかった。


高校生の僕は反抗期の真っ最中。

親との会話なんて、ほとんど噛み合わなかった。

でも、本の話だけは違った。


「この本どうだった?」

ぶっきらぼうに聞く僕に、

「面白かったよぉ〜♫」

母はいつものように笑って答えた。


たった、それだけ。

でもその短いやり取りが、

僕にとっては母と素直につながれる、
大切な時間だった。


母が面白いと言った本を、

僕も面白いと思える。

あんなに話が噛み合わない僕たちが、

同じ一冊を「面白い」と言い合える。

そのことが、たまらなく嬉しかった。


僕が本を好きになったのは、

きっと物語だけじゃない。

本が、人と人をつないでくれたからなんだ。


最近、

「自分は何のために執筆家になったんだろう。」

そう考えたとき、

真っ先に思い出したのが、この頃のことだった。


きっと僕は、

本を通して、人と人とのつながりを広げていきたいんだ。


一冊の本が、

一つの物語が、

一人の心を動かす。


その感動は、きっとまた誰かへつながっていく。

「この本、面白かったよ。」

あの日、母が僕に手渡してくれた一冊のように。


僕の紡ぐ言葉が、

僕の本が、

誰かと誰かをつなぐものになれたら嬉しい。


僕が執筆家になった理由は、


あの日、本を通して、母とつながれた、

あの幸せを、

世界へ広げていきたいからなんだ。








【本音と向き合う、今日の質問】

記事の最後にある質問に答えていくと、自然と自分の大切な思い出や、本当に大切にしたい人とのつながりに気づくきっかけになります。

あなたの心が少しあたたかくなる時間になれたら嬉しいです。


今日の質問は、

あなたの人生を変えた一冊、
または大切な人との思い出が詰まった一冊はありますか?


その本とのエピソードや、その本を教えてくれた人との思い出があれば、ぜひコメントで教えてください。



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