なぜ日本人はシワを嫌うのか。シワを味方につけると、カジュアルはもっと上手くなる。
お店でお客さまと話していると、よく出てくる矛盾があります。
「オンオフ使えるカジュアルな夏用ジャケットを仕立てたい」
そこで、夏の代名詞、リネンやコットンが混紡された素材をご提案します。
すると、かなり高い確率で、
「でも、シワになるのは嫌なんです」
となり、シワが入りにくいウール100%を提案します。
すると、
「ちょっとかっちりしすぎていますね。もう少しカジュアルなほうが。」
今度は、麻の混率を下げて提案します。
すると、
「でも、シワがなぁ」
のループに……

日本人は、とにかくシワが嫌いです。
スーツでもジャケットでも、パンツでもシャツでも、シワが入ることを必要以上に嫌う傾向があります。
シワはカジュアルの味方
カジュアルに見せたい。でもシワは嫌。
でもかっちり見えるのは嫌。
これはお客さまが悪いという話ではありません。
多くの人が、感じていることだと思います。
ただ、洋服において、「カジュアル」と「シワ」の関係はめちゃくちゃ大事です。
スーツ地のようなウール100%はシワが入りにくく、表面がなめらかで、どうしても上品でかっちり見えます。

反対に、リネンやコットンが混ざった素材は、着ていくうちにシワが入り凹凸が出ます。
その自然な感じが、カジュアルな雰囲気につながります。
シワを完全に消して、なおかつカジュアルに見せたい。
これは、矛盾。
言い方を変えれば、「シワが嫌だから麻は避ける」ではなく、「自然なシワを付けるために麻を選ぶ」という考え方です。

もちろん、サイズが合っていないことで出る不自然なシワや、ケアしていないだけのシワは別問題。
なのでカジュアルに着たいなら、シワは味方です。
次の壁
とカジュアルを理解してもらうと次は、
「でも、カジュアルすぎるとビジネスでは使えないのでは?」と……
決してそんなことはありません。
ジャケットはそもそもドレスウェアの範囲内のカジュアルです。
ジャケットスタイルがOKなシーンでは、よほど外した色(白とかピンクとかイエローとか)でなければ着用可能です。
カジュアルなジャケットに、他のドレスアイテムを合わせてみてください。
・ウールのスラックスを履く
・タイドアップする(ニットタイは涼し気でおススメ)

多くの人が言う「カジュアルすぎて着れないのでは」は幻想です。
もし着用できないとしたら、みんながスーツにネクタイを締めているような、そもそもスーツが必須の場面です。
その場面ではシワが入っていないジャケットでもNGです。

狙ったシワは悪ではない
イタリアでは新品のジャケットを壁にぶん投げて馴染ませる、という人もいます。
少し乱暴ですが(笑)
日本でもショップのマネキンに着せる前に、人が一度着て軽くシワを付けてから着せる、ことがよくあります。
シワとの付き合い方をマスターすれば、もっとカジュアルは上手くなる。
ぜひチャレンジしてみてください!
