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スーツ離れが進むほど、スーツの日は特別になる

最近、店頭で少し増えている「スーツを頻繁に着るわけではない」というお客さま。

話を聞くと、10年前まではスーツを毎日着ていたけど、今では年に三回くらいしか着る場面がない。

しかし、その数回が大事な場面だから、きちんとしたスーツを持っておきたい。

この方たちの納品時の反応は、頻繁にスーツを着る方とは少し違います。

「なんか、見慣れないです」

「自分じゃないみたいですね」

そう言いながらも、鏡を見る時間が少し長い。

そして何より、照れくさそうです。

その反応を見るたびに、人生の中で服装が変わった瞬間を思い出します。

学ランを初めて着た時。成人式でスーツを着た時。リクルートスーツを着た時。結婚式に呼ばれて礼服を着た時。

自分も、周りの友人も、どこか照れくさい。

この反応を見るたびに、スーツには他の服にはない独特の力があるのだと実感します。

「スーツ離れ」時代

スーツを着る人は明らかに減りました。

会社はカジュアルになり、リモートワークも増え、夏も長い。

スーツを嫌がる人の気持ちも、よくわかります。

苦しい。動きにくい。疲れる。暑い。古い。簡単に洗えない。

これらは今に始まったことではないのですが、昔よりも思ったことを言える時代になったのだと思います。

着なくていいのなら、楽を選びたいのは自然です。

スーツは「毎日着る」から「理由がある日に着る」服に変わってきているのかもしれません。

スーツを着ると行動が変わる

面白いのは、多くの人がその機会を少し待っているようにも感じることです。

大事な商談。結婚式。親族への挨拶。会社のパーティ。人前に立つ日。

久しぶりに、きちんとした自分で誰かに会いたい。

そういう理由ができたとき、人はスーツを着る口実を得ます。

タキシードを仕立てるお客さまで「一回しか着ないけど、レンタルは合わないので作りたい」というケース。

その後、タキシードを着るイベントを探す人は多いです。

服を持つことで世界が広がる

これは、スーツにも近いものがあると思います。

スーツの自分

普段はカジュアルでいい。

毎日スーツを着る必要もないと思います。

無理にスーツを好きになってほしいとも思いません。

ただ、どこかで「スーツの自分」を求めている人は、まだまだ多いように感じます。

「明日スーツの日か、めんどくさいな」と言いながらも、前日に着るものを選んで並べる。

シャツにアイロンをかける。靴を磨く。

朝、いつもより少し早く起きて準備する。

全身鏡を見てチェックして出発する。

その準備の段階から、もういつもの日とは少し違います。

スーツ離れが進むほど、スーツを着る日は気分が上がる。

面倒と思いながらも、楽しみな日でもあるのではないでしょうか。


スーツ離れの時代でも、「スーツの自分」を持つことはいつの時代も男性の憧れなのかもしれません。

実は、私も普段はスーツ三割、ジャケパン七割くらいです(笑)

なので、スーツを着る日は少しテンションが上がります。

スーツ屋でも、いまだに新鮮であり気分が高揚する服です。