スーツは何年くらい着られますか?
「スーツって何年くらい着られますか?」
店頭でよく聞かれる中でも上位の質問です。
結論から言うと、当店では「週一着用で3年から5年くらい」とお伝えしています。
もちろん、着用頻度に比例するので、ほとんど着ない人は一生壊れることはありません。
ただし、スーツの寿命は物理的に着られるかだけではありません。
当店では、スーツの寿命を大きく3つの視点で考えています。
1. 破れ・穴
一番分かりやすい寿命が、破れ・穴です。

スラックスはヒップ・股・ポケット、ヒザ周辺、上着はひじに穴が開くことがあります。
日常の動作で一番負荷がかかり、摩擦も多いためです。
これらの破れ・穴については、裏から生地を当てて、表側からミシンでたたく修理が可能です。
ただし、デメリットとしてはミシン跡が目立つこと。
大きな破れはかなり目立つのでおススメしません。
また、たたき修理をした部分は固くなり強くなるので、その周辺の生地が次の破れにつながることもあります。
2. テカリ・擦り切れ
ビリッと破れていなくてもテカリや擦り切れも寿命のサインです。

ウールは新品の状態では、生地表面に細かな毛羽がありますが、摩擦でつぶれていきます。
その結果、生地表面が光って見え、テカリとなります。
特にテカリやすいのは、パンツのヒップ、もも裏、もも前、上着であれば、ひじが代表的です。
初期のテカリであれば、スチームやブラッシングにより目立ちにくくなります。
しかし、進行するとテカリは戻らず、次に擦り切れが起こります。
上着の袖口、スラックスの裾口、ポケットなどです。
それらは内側に織り込むことで修理できる場合があります。
ただし、デメリットとして袖口や裾口は、織り込んだ分だけ5mmから1㎝ほど短くなります。
3. 時代性
そして、最後に時代性です。

スーツは普遍的な服ではありますが、時代性があります。
20年間で細さのピーク、太さのピークのトレンドがありました。
もちろん、古いスーツを修理して大切に着ることは、エコですし、とても良いことです。
ただ、スーツは「物理的にまだ着られるか」だけでなく、着用シーンにおいて「役割を果たしているか」が重要です。
高いスーツだから一生着られるわけでもありませんし、安いスーツだからすぐダメになる、とも言えません。
スーツは、一着一着に思い入れが残る
とはいえ、簡単には捨てられません。
むしろ私たちは、誰よりも分かっている側です。
スーツには”思い入れ”があるので決心できません(笑)
「そろそろ寿命ですね」
とお伝えするのが本当に心苦しい。
ですが、3つの基準を下回ったスーツを着続けて、印象を下げるわけにもいきません。
破れ・擦り切れ・時代性の3つから「これはまだ今の自分を格好よく見せてくれているか?」と見てください。
そして、「まだ着る」「直して着る」「役目を終える」を考える。
役目を終えたスーツは、感謝を込めて見送る。
その先には、今の自分に合った新しい一着と、新しいストーリーが待っています。
