【悲報】大手食品メーカーの会議室で、私のスマホの「花山薫」が牙を剥いた話
先日、私は「花山薫に学ぶビジネス哲学」という熱い記事を書いた。
己の信念を貫き、不純物ゼロで生きる。そんな「最強の喧嘩師」の生き様に心底シビれた私は、あろうことか自分のスマホの待ち受け画面を、彼一族の象徴である「侠客立ち(おとこだち)」に設定してしまったのである。
そう、これこそが悲劇の幕開けだとは知らずに……。
舞台は「清潔・安心」の聖域
その日は、誰もが知る某大手食品メーカー様との打ち合わせだった。
通された会議室は、一点の曇りもない。まさに「食の安全」と「クリーンなイメージ」を体現したような空間。対面するのは、ピシッとプレスされたスーツを着こなすエリート担当者の方々だ。

こちらは一応、会社の代表取締役として、知的なオーラを出しつつ「御社のブランディングに貢献したい」などと、爽やかにプレゼンを進めていた。
事件は「デジタル名刺交換」で起きた
打ち合わせも終盤。現代のビジネスシーンでは、紙の名刺以上にスマホでの連絡先交換や公式LINEの読み込みが頻発する。
相手の担当者が「では、こちらのQRを読み取っていただけますか?」と差し出してきた。
私は「もちろんです!」と快諾し、ポケットから慣れた手つきでスマホを取り出した。
その瞬間だった……
スリープを解除した刹那、液晶画面いっぱいに表示されたのは、
血飛沫を浴び、傷だらけになり、巨大な入れ墨を背負った全裸に近い大男――。
そう、日本一の喧嘩師・花山薫が、会議室の蛍光灯の下でドォォォォォンッッッ!と降臨してしまったのだ。

広がる静寂、そして「畏怖」
「……あッ。」
私の指が止まる。相手の担当者の視線も、私のスマホ画面に釘付けになる。
「食の安全」を語る会議室に、突如として現れた「暴力の権化」。
担当者の顔から、さっきまでの爽やかなビジネススマイルが消えた。
隣の若手社員は、明らかに二度見したあと、サッと目を逸らした。
漂うのは、苦笑いというよりも、もはや「触れてはいけないものを見てしまった」という圧倒的な気まずさ。
私の脳内では、あのセリフがリフレインしていた。
(違うんです……これは不純物を取り除いた結果の、ビジネス哲学なんです……ッッッ!)
しかし、目の前の相手からすれば、私は「待ち受けにヤクザの親分を据えている、ヤバい社長」でしかない。
その後の「LINE交換」という作業が、これほどまでに長く、重苦しく感じたことは後にも先にもないだろう。
それでも「まだやるかい」
帰り道、駅のホームで一人スマホを見つめる。
画面の中では、今日も花山が傷だらけの背中で「漢の生き様」を語っている。
大手食品メーカーの担当者に植え付けてしまった「あの社長、何者なんだ……」という消えない疑念。失ったかもしれない「クリーンな信頼」。
しかし、不思議と後悔はなかった。
たとえ会議室で浮こうとも、誰に苦笑いされようとも、私はこの背中に惚れたのだ。
設定画面を開き、壁紙変更のボタンに指をかける。
だが、結局私はそのままスマホをポケットにしまった。
心の中で、静かにこう呟きながら。
「……まだやるかい」
「皆さんも、待ち受け画面には十分ご注意ください(笑)」
