内定辞退の「本音」と「建前」〜エージェントだけが知っている本当の理由〜
「他社から先に内定が出たので、辞退させてください。」
「家族と相談した結果、今回は見送ることにしました。」
「年収面で折り合いがつきませんでした。」
内定辞退の連絡を受けたとき、企業に伝えられる理由はだいたいこのようなものです。
しかし、エージェントとして数千名の候補者様と向き合ってきた立場から、正直にお伝えします。
企業に伝えられる辞退理由の多くは、「建前」です。
候補者様は、お世話になった企業に角が立たないよう、当たり障りのない理由を選びます。
エージェントも、関係性を壊さないよう、その建前をそのまま企業へ伝えることが少なくありません。
その結果、企業は本当の辞退理由を知らないまま、同じ辞退を繰り返してしまいます。
今日は、私が現場で聞いてきた「本音」の話をしたいと思います。
建前①「他社から先に内定が出たので」
これは最もよく使われる建前です。
しかし、考えてみてください。
本当に入りたい会社であれば、候補者は他社に「待ってほしい」と伝えるか、先に出た内定を保留します。
つまりこの言葉の本音は、
「先に内定が出たから」ではなく、「御社が第一志望ではなかったから」です。
では、なぜ第一志望になれなかったのか。
多くの場合、選考の過程で意向を高める働きかけが、何もされていないのです。
面接は「評価する場」としてだけ機能し、候補者の志望度は初回応募時のまま。
それでは、熱意を持って口説いてくる競合企業に負けるのは当然です。
建前②「年収で折り合いがつかなかった」
年収は、最も使いやすい建前です。
数字の話なので、企業側も「仕方ない」と納得しやすいからです。
しかし本音を聞くと、こういう言葉が出てきます。
「年収差は50万円くらいでした。正直、それだけなら気にしませんでした。」
「でも、あの会社で働く自分がイメージできなかったんです。」
人は、魅力を感じている会社の年収差なら飲み込みます。
逆に、魅力を感じていない会社は、年収を理由に断りやすい。
「年収で辞退された」が続いている会社は、給与テーブルの問題ではなく、
年収以外の魅力が伝わっていないことを疑うべきかもしれません。
建前③「家族に反対されまして」
いわゆる「嫁ブロック」「親ブロック」と呼ばれるものです。
もちろん、本当に家族の反対で断念するケースもあります。
しかし、ここにも見落とされている本音があります。
家族が反対するのは、候補者本人が家族を説得できるだけの確信を持てていないからです。
本人が心から「この会社に行きたい」と思っていれば、家族への伝え方も熱を帯びます。
事業の将来性、働く環境、なぜ自分がそこで挑戦したいのか。
それを語れないということは、選考過程でそれだけの材料を渡せていなかったということです。
家族ブロックは、家族の問題ではありません。
意向形成の問題です。
本音は「面接のあの瞬間」に決まっている
辞退した候補者様に本音を聞くと、驚くほど具体的な「瞬間」を覚えています。
「一次面接で、履歴書を初めて見たような反応をされたとき。」
「逆質問への回答が、誰にでも言える内容だったとき。」
「面接官同士の仲が悪そうに見えたとき。」
「オフィスですれ違った社員の、疲れた表情を見たとき。」
候補者は、面接の受け答えだけでなく、企業側が無防備になっている瞬間をよく見ています。
そして、その小さな違和感の積み重ねが、最終的に「辞退」という形で表面化します。
辞退は最終面接後に起きるのではなく、選考の途中で静かに始まっているのです。
辞退理由を「資産」に変える会社
では、どうすればいいのか。
私がおすすめしたいのは、辞退理由を建前のまま受け取らず、学びに変える仕組みを持つことです。
・エージェント経由の場合は、建前の奥にある本音を率直に聞かせてもらえる関係をつくる
・辞退者に対して、匿名前提のアンケートで選考体験を聞く
・「どの選考段階で志望度が下がったか」を記録し、プロセスごとに分析する
辞退は、痛みを伴うフィードバックです。
しかし、本音を拾える会社だけが、選考プロセスを改善し続けられます。
Sync Ascentが考えること
私たちは、辞退の連絡を「終わり」ではなく「始まり」だと捉えています。
エージェントとして働く中で実感してきたのは、候補者様は、誠実に向き合ってくれた企業には、本音を話してくださるということです。
そして、その本音にこそ、次の採用を成功させるヒントが詰まっています。
辞退率に悩んでいる企業様ほど、まず「本当の辞退理由を知る仕組み」から整えてみてほしいと思います。
まとめ
内定辞退の理由は、建前で語られます。
「他社が先に」「年収が」「家族が」。
その言葉をそのまま受け取っている限り、辞退は減りません。
本音は、選考のプロセスの中にあります。
辞退は結果であり、原因は選考体験にある。
そう捉え直したとき、打つべき手は見えてくるはずです。
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