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介護施設の「夜の闇」(超要約版)

 介護施設、特に職員が1人になる夜勤の時間帯には、お年寄りへの虐待が起きやすいと言われています。これは、その職員個人の性格だけの問題ではなく、「夜勤その(構造)」に大きな原因があります。

1.虐待が起きる要因

(1)2人きりの空間が、人を攻撃的にさせる

 人間は2人きりの閉鎖空間にいると、お互いの境界線があいまいになり、相手を「自分の思い通りに動く存在(自分の体の一部のようなもの)」と思い込んでしまうという傾向があります。
 夜勤の時、部屋には介護職員とお年寄りの2人しかいません。ここで、お年寄りが自分の思い通りに動いてくれなかったり、何度も同じことを訴えてきたりすると、職員は「自分の体が言うことを聞いてくれない」ような強いストレスを感じてしまいます。そして、相手を力ずくで言うことを聞かせようとする「攻撃的な気持ち」が生まれやすくなってしまうのです。

(2)「見守る第三者」の目が消えてしまう

 昼間の時間帯であれば、他のスタッフや家族、施設のルールといった「周りの目(第三者)」があります。この周りの目があるおかげで、職員たちは社会的なルールや理性を保つことができます。
 しかし夜勤になると、この「周りの目」がなくなります。暗くて静かな密室で「私とお年寄り」だけになると、社会的な理性(ブレーキ)が外れてしまい、むき出しのイライラや攻撃性が表に出てしまいやすくなります。

(3)施設が「無法地帯のわが家」になってしまう

 日本の社会は、ルールを厳しく守るよりも「身内の甘え」を受け入れやすい文化があります。介護施設が、社会から孤立し、社会のルールからも切り離された「ひとつの大きな家族」のようになってしまうと、「みんな大変なんだから、多少の乱暴な態度は仕方ないよね」という、身内だけの悪い空気が生まれてしまいます。これが、施設全体での虐待につながる原因になります。

(4)効率だけで「人間の心」を忘れてしまう

 今の介護現場は、食事・トイレ・お風呂といった「介護の効率やデータ」ばかりが重視されがちです。お年寄りをデータや「ただのお世話する対象」としてだけ見てしまうと、その人がどんな人生を歩んできたのかという「物語」が忘れ去られてしまいます。
 昔であれば、宗教や地域のつながりといった「文化」が、老いや死への恐怖を和らげてくれていました。しかし今の施設では、生産性向上、つまり効率が最優先されるため、お年寄りも職員も、心がすり減るような逃げ道のない状態に追い込まれています。

2.虐待を防ぐための解決策

(1)「見守りカメラ」だけでは意味がない

 最近は虐待防止のためにカメラを設置する施設が増えていますが、これだけでは効果が薄いと思います。カメラはただの機械であり、「本当に自分を心配して見つめてくれている人の目」ではないからです。カメラに他者の眼を感じられる人はほとんどいないのではないでしょうか。

(2)「周りの目」と「言葉」を現場に取り戻す

 本当に虐待を防ぐためには、精神論に頼るのではなく、仕組みを変える必要があります。

  • 夜の出来事を言葉にする ⇒ 夜勤の時にあったイライラや出来事を、朝のミーティングできちんと言葉にして他のスタッフに伝えることで、密室の秘密にせず、オープンな問題にできます。

  • 対話の場を作る ⇒  お年寄りをただの「お世話の対象」と見なすのではなく、一人の人間として「この人はどんな人だろう?」とスタッフ同士で語り合える場を作ることが大切です。

(3)新しい指標「CADL(文化的日常生活動作)」のすすめ

 これまでの介護は、生きるための最低限の動作(食事やトイレなど)を助けること(ADL)が重視されていましたが「CADL(文化的日常生活動作)」という考え方取り入れた方が良いと思います。これは、おしゃべり、趣味、遊び、娯楽など、「人間らしく、その人だけの物語を持って生きるための行動」のことです。
 施設の中に、ただ生きるため(剥き出しの生)のお世話だけでなく、こういった「文化や遊び、お互いの言葉」を取り戻すことこそが、お年寄りと職員の心を救い、虐待をなくす一番の近道だと思うのです。

【詳しく知りたい方は以下のnoteをご覧ください】



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