二代目三代目は、まず会社を変えなくていい
社員の面倒を一つ減らせることだ
事業承継をした二代目三代目には、少なからず「自分の代で会社を良くしたい」という気持ちがあると思う
先代とは違う経営をしたい
新しいことを始めたい
会社をもっと成長させたい
そう考えること自体は悪くない
ただ、承継してすぐに大きな改革を始めるよりも、もっと先にやったほうがいいことがあるんじゃないかと思っている
それが、社員が日々感じている面倒を一つ減らすことだ
どんな会社にも、おそらく面倒な仕事はある
同じ内容を何度も入力している
紙に書いてからExcelにも入力している
必要な資料を探すのに時間がかかる
毎回同じ確認をしている
誰かの返事を待たないと仕事が進まない
何のためにやっているか分からない作業が残っている
社員は毎日やっているから、それが普通になっているだけで、本当はかなり面倒だと思っている仕事も多い
承継したばかりの社長なら、まずそこを見つけにいけばいいと思う
「この仕事、毎回面倒じゃないですか」
「これ、なくせないですかね」
「こう変えたら少し楽になりませんか」
最初は社員に改善案を出してもらう必要すらない
むしろ社長自身が現場を見て、改善案を出して、一つ実際に変えてみる
そのほうが分かりやすい
例えば毎月10時間かかっていた集計作業を2時間にできたなら、8時間分の余裕が生まれる
転記作業をなくせば入力ミスも減る
確認工程を一つ減らせば仕事が止まる時間も短くなる
こういう改善は社員が楽になるだけではない
会社にとっても利益につながる
作業時間が減れば、同じ人数でも今までより多くの仕事をこなせるようになる
直接的に変動費を下げられる仕事もあるし、人件費が固定費だったとしても、一件あたりにかかるコストは下げられる
社員の「面倒くさい」は、経営改善の入口でもあると思う
それなのに、承継するといきなり大きな話を始めてしまうことがある
会社の理念を変える
新規事業を始める
組織を変える
評価制度を変える
DXを進める
もちろん必要なこともある
ただ、社員からすると
「その前にこの面倒な作業をなんとかしてくれ」
と思っているかもしれない
会社を大きく変えようとすると、社員には不安も生まれる
今までのやり方が否定されるんじゃないか
仕事が増えるんじゃないか
また新しいことを覚えないといけないんじゃないか
そんな状態で「これから会社を変えていきます」と言われても、簡単にはついていけない
でも
「この作業、もうやらなくていいようにしました」
だったらどうだろう
少なくとも一人は助かる
それを何度か繰り返していけば
この社長は現場を見ている
この人が何か変えると仕事が少し楽になる
そう思ってもらえるようになる
経営者としての信用は、壮大な未来を語ることより、こういう小さな実績から作ったほうが強いんじゃないかと思う
二代目三代目だからこそ、何か新しいことをしなければいけないと考える必要はない
先代を超えるところから始めなくてもいい
まずは社員が毎日感じている面倒を一つ減らす
そこで結果を出す
その次にもう一つ減らす
そうやって少しずつ信用を積んでから、大きな改革を始めても遅くない
むしろ、そのほうが社員もついてきやすい
二代目三代目が最初に証明するべきなのは、自分が会社を変えられることではない
社員の面倒を一つ減らせることだ
会社を変えるのは、そのあとでもいい
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