【第6回】「左脳だけでは遅すぎる」。知的生産の次元を劇的に変える「右脳→左脳メモ」|お金に変わるメモ7つの法則
前回の第5回では、「ノート(紙)は考える時に使い、パソコンは整える時に使う」という、ツールごとの明確な役割分担についてお伝えしました。
無地のA4コピー用紙を机に広げ、 これですべての制限から解放された「最強の思考環境」が整いました。
しかし、ここで多くの人が手が止まってしまいます。
真っ白な紙を目の前にして、「ええと、1. 導入の目的は…」と、いきなり文字の箇条書きから始めてしまうのです。
連載第6回となる今回は、圧倒的なスピードと質で結果を出す「頭がいい人たち」だけが密かに実践している、紙の上での究極の思考回路についてお伝えします。
■あなたの脳をハッキングする「10秒の実験」
思考の展開がものすごく早いビジネスパーソンは、紙に向かった時、絶対に文字(左脳)から書き始めません。
彼らは皆、同じことをいうんです。
「文字から考えていたら、遅すぎる」と。
これがどういうことか、今、あなたの脳を使って「10秒の実験」をさせてください。
今から、『すっぱくて瑞々しい、真っ黄色のレモン』を頭の中で説明してみてください。
文字(左脳)でアプローチすると:
「1. 楕円形の柑橘類で、2. 鮮やかな黄色をしており、3. ビタミンCが豊富で、4. 包丁で切ると断面から果汁が滴り……」
言葉を紡ぎ出すのに、じわじわと脳のエネルギーを使いますよね。
映像(右脳)でアプローチすると:
「パッと、目の前に半分に切られたレモンを思い浮かべる」
かかった時間、わずか0.1秒。
なんなら今、口の中にちょっと唾液が広がりませんでしたか?
これが、右脳の恐るべき正体です。
左脳(文字)が「1本ずつ糸を紡ぐダイヤルアップ回線」だとすれば、右脳(映像)は「一瞬で空間全体を投影する4Kの光回線」です。
新しいアイデアや企画を生み出す「知的生産」の現場において、ゼロから文字で考えようとする行為は、超高速なスーパーコンピュータ(右脳)をわざわざスリープモードにしたまま、手計算でロケットを飛ばそうとしているようなものなのです。
■知的生産の次元を変える「右脳→左脳」の3ステップ
では、その超高速な右脳のイメージを、どうやってビジネスで通用する「価値(お金)」へと変換するのか。
それこそが、無地の紙の上で行う【 右脳(投影) → キーワード(捕獲) → 左脳(論理化)】という3段階のブリッジ(橋渡し)メモ術です。
手順は以下の3ステップです。
ステップ1:まず右脳で「最高の結末」をラフ画にする
紙の真ん中に、文字ではなく「ざっくりとした画」を描きます。
綺麗である必要は1ミリもありません。
棒人間、丸、四角、矢印だけで十分です。
「この企画が通ったら、誰がどんな顔をして喜んでいるか?」というゴールを、右脳を使ってありありと紙の上にビジュアル投影します。
ステップ2:映像から「キモとなる言葉」を釣り上げる
自分が描いたその拙いイラストをじっと眺めます。
そして、「この画の中で、一番価値を生んでいる要素は『言葉』にすると何だろう?」と自問し、映像の海の中からキーワードを3〜4個だけ釣り上げて、イラストの周りにポンポンと置きます。
ステップ3:左脳の「論理の糸」で縫い合わせる
最後に、置かれたキーワード同士を矢印(→)や接続詞で繋ぎます。
「【キーワードA】だからこそ → 【キーワードB】が可能になり → 結果として【キーワードC】が実現する」 ここで初めて左脳(ロジック)を起動させ、右脳の直感を「誰が読んでもぐうの音も出ないロジック」へとカチッと変換するのです。
■なぜ「棒人間の企画書」は一発で通ったのか?
このメモ術がどれほどの威力を持つのか、私の部下のわかりやすい事例をご紹介しましょう。
彼は新しい業務改善の提案書を作る際、いつもパソコンの画面で「1. 背景」「2. 課題」「3. 解決策」と文字を打ち込んでは消し、数日かけても私を納得させられずに苦しんでいました。
そこで私は彼にあるやり方を教えました。
紙とペンを用意して、「まず、この新システムが入って現場の社員が大喜びしている画」をざっくり描いてきます。
紙の右上に、万歳をしている笑顔の棒人間。
その吹き出しに「うわっ、月末の集計作業がボタン1つで終わった!帰れる!」というセリフ。
左側には、ぐちゃぐちゃっとバツ印がついた「旧エクセルファイル」の画。
彼はその画を眺めながら、重要なキーワードを抜き出しました。
『月末の残業地獄』
『ワンクリック自動化』
『心理的コストの解放』
あとは、そのキーワードを左脳で繋ぐだけです。
「現場を疲弊させている【月末の残業地獄】を、誰でも扱える【ワンクリック自動化】によって解消し、社員の【心理的コストを解放】する新システムです」
驚くべきことに、わずか15分で企画の完璧な骨組みが完成しました。
その後パソコンを開いて資料に落とし込むスピードは半分になり、何より、これまで首を縦に振らなかった私が「これはいいね。すぐ進めよう」とすぐにOKを出すことが出来たのです。
なぜ、この企画は一発で通ったのか? ここにビジネスの極めて面白い真理があります。
人は、文字だけで構成された「正論(ロジック)」を見せられると、脳の防御本能(左脳)が働いて、無意識にアラを探そうとします。
「この数字の根拠は?」「本当に15%削減できるの?」と。
しかし、最初に「現場が幸せになっている画(ビジョン)」を右脳で共有されると、アラを探す前に「いいね、そうなりたいね」と右脳が先に共感してしまいます。
すると上司の脳は、「企画を批判するモード」から、「この素晴らしい画を実現するために、どうロジックを補強してやろうかという『協力モード』」へと強制反転させられるのです。
■賢い人ほど「絵心のない画」を描く
私たちは大人になるにつれて、「ビジネスパーソンたるもの、最初から論理的に正しく、スマートな箇条書きを作らなければいけない」という強迫観念に縛られていきます。
しかし、本当に世界を動かしている画期的なアイデアは、いつだって右脳の「なんかこれ、すっごくワクワクするぞ」という、言葉になる前のモヤモヤした熱の塊から生まれています。
「右脳(映像)で捉え、キーワードを釣り上げ、左脳(論理)で縫い合わせる」
文字を書きたい衝動をグッと堪え、まずは無地の紙に「ぐちゃっとした棒人間」を描く。
この最初の一歩を踏み出すのには、ほんの少しの勇気といります。
しかし、一度この「脳の超高速バイパス」が開通すれば、あなたの知的生産のアウトプットは、文字通り次元が変わります。
次に紙に向かう時は、どうか綺麗な日本語を書く前に、「最高のハッピーエンドの落書き」を思い切り描き殴ってみてください。
【次回予告】ついに最終回!メモが「お金(価値)」に変わる全法則の終着点
情熱、言語化、抽象化、振り返り、ツールの使い分け、そして右脳から左脳への思考回路。 ここまで6つのステップを共に歩んできました。
次はいよいよ、連載の集大成となる【第7回(最終回)】です。
これらすべての法則を一本の美しい線に繋ぎ、あなたの手元にあるノートを、文字通り「お金(価値)」へと変換する【最後の仕掛け】を公開します。
あなたのビジネス人生を根本から変える最終回。どうぞ最後までお見逃しなく!
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