フィンランドのリアルムーミン一家
「金曜日から私たちはサマーハウスに行くから、あなたたちは好きにこの家を使ってね」
(え!サマーハウスに行っちゃうの!?)
最初こそ、ちょっぴりびっくりして、寂しくも感じたが、今の私にとって、とても大切なことに気づかせてもらった。
それは“私たちも好きなようにするから、あなたたちも好きなように過ごしてね” という価値観だった。
約1年半ぶりに再会したフィンランド、トゥルクのデザイナーカップルのサーナとオッリ。
なぜ彼らは、あんなにも軽やかに他人を信じられるんだろう。 そして、なぜあんなふうに、自分の暮らしや空間をオープンにできるんだろう。
ーそうか、彼らは世界を信頼している。
大好きなムーミンの物語に『ムーミン谷の冬』という作品がある。
普段はみんなで冬眠しているムーミン一家。ところが、なぜかムーミンだけが冬の間に目を覚ましてしまう。そこから始まる、ムーミンの成長物語だ。
あるとき、冬の生き物たちが食べ物を求めて、ムーミン屋敷にたくさんやってくる。そしてムーミンママが冬眠前にたくさん作っておいた大量のジャムを、どんどん食べてしまうのだ。
“この家の大切なモノは僕が守らなきゃ!”と最初はちょっぴり抵抗するムーミン。けれど結局、やってきたみんなに寝床を提供し、冬が終わる頃にはムーミン屋敷のジャム倉庫はすっかり空っぽになってしまった。
そして、ようやく冬眠から目覚めたムーミンママが目にしたのは、かなりのカオス状態になったムーミン屋敷。
普通なら「私が寝ている間にいったい何をしていたの!」と怒ってもおかしくない状況だ。(私がムーミンママなら間違いなく怒ると思う😂)
ところがムーミンママは違う。
家の中が荒れているのを見て「私が寝ている間に、みんなをもてなしてくれたのね」 と、ムーミンを褒めるのだ。
…なんというおおらかさよ。
ジャム、全部なくなってるんですよ?
家もめちゃくちゃなんですよ?
それなのに、失ったものではなく、そこにあった「誰かをもてなした時間」を見る。
本質を見逃さないムーミンママ。
素敵すぎます。
「私たちはサマーハウスに行くから、あなたたちは家を好きに使ってね」
その言葉の中には「家を汚さないでね」 とか「これは触らないでね」 とか「ここまでは使っていいけど、ここからはダメ」 みたいな、細かな境界線はまったくなかった。それどころか「家を出るときに掃除とかしなくていいから!」とまで言ってくれた😳
もちろん、何をしてもいいという意味ではないし、実際そんなことはしない。(ジャムも食べ尽くしていない😂)
でも「ここは私たちの大切な場所だから、あなたたちには触れさせない」ではなく「私たちがいない間、どうぞ使ってね」 なのだ。
その軽やかさが、私はとても印象に残った。
思えば私は、好きなものを大切にしたいタイプだ。
気に入ったものを選んで、長く使いたい。 好きな空間をつくりたい。 自分にとって大切なものを、ちゃんとわかっていたい。
だからこそ、好きなものほど「大切に守る」という方向に考えがちなのかもしれない。
でも、ムーミンママやサーナたちはきっとこんなふうに考えるのだろう。
心を込めて作ったジャムだからこそ、自分がいない間に誰かのお腹を満たしていてもいい。大切な家だからこそ、誰かがそこで過ごしていてもいい。
大切なものを誰かと分け合うことで生まれる豊かさもあるのかもしれない。
果たして...私にそんなおおらかさがあるだろうか?
もしかしたらこれはネクストステージに向かうための私のお題みたいなものなのかもしれない。
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