自分のことは、冷めてから。
お茶を淹れる。
湯気が、ゆっくり立ちのぼる。
何もしていないのに、
少しだけ疲れている。
今日は、
やさしくしようと思っていたわけじゃない。
ただ、
相手が困っていたから。
場の空気が重くなりそうだったから。
誰かが傷つかないように。
気づいてしまったから、
やさしくするしかなかった。
そうしているうちに、
気づいたら、
ずっとやさしくし続けていた。
嫌いなわけじゃない。
むしろ、
大切に思っているから、
やさしくできた。
でも、
帰り道に気づく。
どこかで、
少しだけ重い。
大きな出来事があったわけじゃない。
誰かに何かを言われたわけでもない。
ただ、
今日一日、
やさしくし続けていた。
それだけのことが、
あとから静かに残る。
不思議なのは、
その場では、
ちゃんと楽しかったことだ。
笑っていた。
うなずいていた。
ちゃんとそこにいた。
後悔はしていない。
やさしくできたことは、
よかったと思っている。
それなのに、
お茶を淹れながら、
静かに疲れている自分がいる。
悪いことをした、
わけじゃない。
でも、
夜になると、
自分のカップだけが、
少し空いている気がした。
カップを両手で包む。
温かい。
何もしたくない。
というより、
何もできない。
それでいい。
窓の外は、
もう静かだった。
お茶は
入れたときのまま、
一口も飲んでいない。
少しだけ冷めていた。

姉妹編
この物語と、静かにつながる朝の一編です。
#創作大賞2026
#エッセイ部門
#エッセイ
#HSP
#繊細さん
#気づき
#日常
#お茶
#ひとり時間
#休息
#自分を大切にする
#内省
いいなと思ったら応援しよう!
貴重なご支援をいただき、心から感謝申し上げます。いただいたお気持ちは、より良い情報をお届けするための活動費や、心身を整える研究のために大切に活用させていただきます。誠心誠意発信を続けてまいります。温かい応援に、深く感謝いたします🌿🙏