鍋とフライパンで国が甦った日 ―― アイスランド市民革命が突きつける、日本人を眠りから覚ます5つの「気付き」
もし今日、政治家が全員いなくなったら
ちょっと想像してみてください。
ある朝目覚めたら、テレビもSNSも「政治家が全員、責任を取って姿を消した」というニュースで持ちきりだったとしたら。国会は空っぽ。官僚も、金融のプロも、法律の専門家も、誰もいない。さあ、これから国をどう動かしますか。
「そんなの無理に決まっている」と、多くの人はきっと笑うでしょう。でも、2008年のアイスランドでは、これに限りなく近いことが本当に起きました。世界を襲ったリーマンショックの余波で、この人口わずか30万人ほどの島国は、国家そのものが破綻するという未曾有の事態に直面したのです。銀行は連鎖的に崩れ、通貨価値は暴落し、国民の預金や年金までもが吹き飛びかねない状況でした。
普通なら、ここで人々は怒りに任せて暴徒化するか、あるいは無力感に押しつぶされて諦めるかのどちらかです。ところがアイスランドの人々が選んだのは、まったく違う第三の道でした。台所からありったけの鍋やフライパン、おたまを持ち出し、議会の前に集まって打ち鳴らし始めたのです。世に言う「鍋とフライパン革命(Pots and Pans Revolution)」です。
けれど、この運動の本質を「怒りの発散」だけで理解してしまうと、大切なものを見落とします。これは単なるガス抜きではなく、崩壊しきったシステムに引導を渡し、市民の手で社会をゼロから組み立て直そうとした、極めて理性的で創造的なプロジェクトだったのです。当時のアイスランドの人々には、ある強烈な確信がありました。「これまでのやり方は、もう自ら壊れてしまった。存在しないも同然だ」という確信です。
この記事では、あの小さな島国で起きた「常識を覆す」5つの衝撃的な出来事を、できるだけ深く掘り下げてご紹介していきます。そして最後に、これは決して遠い北欧の他人事ではなく、私たち日本人自身への強烈な問いかけでもあるのだ、ということをお伝えできればと思います。
衝撃①:大学は「脱税の仕方」を教えていた
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