タルコフスキー ⓪ 短編映画 『殺し屋』 УБИЙЦЫ アンドレイの口笛 『バードランドの子守唄』
『殺し屋』УБИЙЦЫ / THE KILLERS
アンドレイ・タルコフスキー、他共同監督作品

監督:マリカ・ベイク、アレクサンドル・ゴルドン、
アンドレイ・タルコフスキー
脚本:アレクサンドル・ゴルドン、アンドレイ・タルコフスキー
原作:アーネスト・ヘミングウェイ同名短篇小説
撮影:A・ルィビン、A・アリヴァレス
M・I・ロンム教授監督科クラス+A・V・ガリペリン教授撮影科クラス
制作:1956年 S・A・ゲラーシモフ名称全ロシア国立映画大学
時間:20分 35mm スタンダード モノクロ
すべてをあきらめ死を待つ男と、それに対する生への欲望
1956年、当時24歳のアンドレイ・タルコフスキーが、ソヴィエト国立映画大学、ミハイル・ロンム監督クラスの課題として、マリカ・ベイク、アレクサンドル・ゴルドンという学生と共同で監督した、タルコフスキー最初の約20分の短編映画『殺し屋』。当時は学生が外国作品を映画化することなどなかった時代だったが、「一ヶ所で数人の出演者によるドラマを作る」との課題に、ヘミングウェイの短篇小説「殺し屋」を選んだ。

アメリカのある田舎、平穏な町のダイナーに、不気味で暴力的な男二人組が現れる。殺し屋のアルとマックスは、店に6時に夕食にくるスウェーデン人の元ボクサーオーレ・アンダースンを殺しに来たのだった。
食事をしたあと、居合わせた常連客ニックと店の黒人コックのサムを縛り上げ、店主ジョージには店に来る客を追い返すよう命じる。一人は、厨房へ隠れて待ち伏せる。


誰かが店に近づき、狙うターゲットかと、奥の殺し屋が銃を構える。
2番目に店に入ってくる客の青年を、タルコフスキー自身が演じている。サンドイッチを注文し、主人はそれを作りにカウンターから厨房に行く。厨房の床には、縛られたニックと黒人コックが転がっていて、客に助けを求めないよう、厨房内に潜む殺し屋はにらむ、という緊張した時間。その、サンドイッチが出来上がるまでの、繋ぎの音響として、原作にはない、ジャズスタンダード『バードランドの子守唄』を口笛で吹くタルコフスキー。なかなか貴重な映像。

3人目の客も追い返し、結局アンダースンが来ないため、二人組はダイナーから去っていく。
ニックは急いでアンダースンの住まいに行き、殺し屋の来訪を告げるが、彼はベッドに横になったまま逃げようともぜず、身に迫る死を無為に待っているだけだった。
どうしようもない。一日中ここに横たわっていた。君もこの街を出た方がいい。もう彼らから逃げるのに疲れた。どうすることもできない。手遅れだ。何もできない。少しの間、横になる…
ダイナーへ戻ると、ニックは、店主ジョージに報告する。部屋にじっとして、外に出ようとしない彼の姿を見た。彼自身だって分かっている。何もしないさ。当然、殺されるだろうね。

俺はこの街を出るつもりだ。あの光景が頭から離れない。もう終わりだと悟りながら、部屋に横たわっている彼の姿。考えると恐ろしくなる。そんな生き方はいやだ、と、ニックはこの町を出て行くことを決意する。

ニック・アダムス:ユーリー・ファイト
ジョージ:アレクサンドル・ゴルドン
アル:ヴァレンチン・ヴィノグラードフ
マックス:ヴァジーム・ノヴィコフ
最初の客:ユーリー・ドゥブローヴィン
2番目の客:アンドレイ・タルコフスキー
オーレ・アンダースン:ヴァシーリー・シュクシン

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