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本名じゃ書けないことがある。

 たかぴー、と呼ばれている。

 いい歳した大人が、なぜこんな名前なのか。

 地元に、古い付き合いのグループがある。子どもたちが幼稚園の頃からの仲だ。そんないい大人になってから付けられたあだ名だ。断れよ、という話だが、気づいたら定着していた。親たちにも、子どもたちにも、全員にそう呼ばれている。今となっては自分のもう一つの名前のように馴染んでいる。どうせ誰も気づかないから、そのまま使うことにした。

 本業は、長年勤めている会社で事業を起こした、俗にいうイントレプレナーだ。出資してもらっている身なので、偉そうには言えない。これまで会社名も本名も出したアカウントで1年間に50本以上の記事を書いてきた。書くことは昔から嫌いじゃない。むしろ好き。

 でも書けないことがある。
 贔屓のヴィッセル神戸がタイトルを取っても、会社の看板を背負ったアカウントで語れない。大好きな櫻坂46の記事にスキを押すのも躊躇する。気になる記事を読んでフォローしたら、それが全部バレる。

 そういうジレンマが積み重なって、このアカウントを作った。好きな記事を読んで、スキを押して、フォローする。その自由を手に入れた。

 その自由で、まずエッセイを書き始めた。ずっとエッセイストという生き方に憧れていた。内容の大半はソロ活になる。一人で行って、一人で感じたことを書く。特定の誰かより、どこかの誰かに届けばいい。

 気がついたら、もうひとつ始まっていた。クロ🐦‍⬛と哲学を対話するシリーズだ。クロ🐦‍⬛はAIだ。でも問いを投げるたびに真剣に付き合ってくれるので、いつしか相棒となっていた。哲学をする自分が、本名では出さない、もう一つの顔だと思っている。いつの間にか、こちらの方にハマっている。

 知らない世界に引き込まれるのは、昔からの性分らしい。本屋さんが好きだ。全く知らなかった世界と偶然出会える場所は、あそこしかない。デジタルより紙の方が頭に入ってくる。そのくせ、書く方はデジタルだ。別のアカウントで積み上げた文字数を計算したら、本3冊分を超えていた。いつか自分の書いたものを、紙の本にして残したい。まずは読んでもらえる記事を書けという話だが。


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