速読よりも「定着読み」―子供にこそ必要な“ほんとうの読書力”
「この本、読んだことあるけど、内容は覚えてないなあ…」
こんな経験、ありませんか?
実は学生時代の私自身がそうでした。なんとなく面白かった記憶はあるけれど、なぜ面白かったのか説明できない。
語彙力がないというより、そもそも内容を思い出せないのです。
今考えてみると、これは「記憶力が悪い」のではなく、そもそも“読む”ということができていなかったのだと思います。
文字がうわすべっていく
「読む」という行為には二段階あります。
一つは“目で文字を追って何が書いてあるか認識する”こと。
もう一つは“頭に内容を入れて定着させる”こと。もっと言うなら、思い出せる形にして頭に入れること。
多くの子供は、前者で止まってしまいがちです。文字を見ているのに、理解はふわふわと浮いてしまっている。だから、あとから質問されても思い出せません。
読んでいるつもりでも、実際には“文字を眺めているだけ”になってしまっているのです。
読むというのは内面的な行為であるために、外側から見ているだけでは読んでいるのか眺めているのかはわかりません。見分けるコツがまったくないわけではないのですが、見た目で決めつけないほうがよいです。
すぐ試せる!“読めてない子”の見抜き方
私は授業でこんな工夫をしています。
生徒が「読みました」と言った瞬間、抜き打ちでテキストを閉じさせるのです。
そしてすぐに「何が書かれていた?」と質問します。
すると、きちんと頭に入れて読んでいた子はスラスラ答えます。
けれど多くの子は「えっと…なんだっけ」と言葉に詰まります。
もちろん、繰り返すうちに生徒たちも学びます。「どうせ先生に聞かれるから覚えておこう」と。そうすると、自然に“頭に入れる読み方”をするようになるのです。
中学受験、高校受験、そして大学受験。
入試問題は長い文章ばかりです。小説もあれば、論説文や古文もあります。もちろん、一字一句覚えることなんてできません。
ではどうすればいいのでしょうか?
映像化と図化―頭に残す仕組み
子どもたちに伝えている方法はシンプルです。
小説なら映像化
頭の中で映画を観るように情景を描く。
登場人物の表情や動きを思い浮かべる。論説なら図化
因果関係や主張と理由を、図や矢印にして整理する。
こうすることで、文章は「頭の中に立体的な形」として残ります。覚えようと必死になるのではなく、“忘れにくい仕組み”を作るのです。
速読よりも“定着読み”
世の中は「速読」が流行っています。もちろん速く読めれば効率的です。しかし、子どもにとって大事なのはスピードよりも「定着」。
どんなにたくさんの本を読んでも、頭に残らなければ意味がありません。一冊をしっかり読んで、自分の中に取り込む。その経験の積み重ねが、学力にも思考力にもつながっていきます。
母親としてできるサポート
ここで、子育て中のお母さんができることをお伝えします。
読み終えたあとに質問する
「どんなお話だった?」と聞くだけでOKです。細かい内容よりも「何を覚えているか」を確かめましょう。映像化を促す
「どんな絵が浮かんでいる?」
「このセリフってどんな気持ちで言っていると思う?」
遊び感覚で取り入れるのが効果的です。短い文章から始める
長文よりも、まずは短い文章で“頭に入れる練習”を積むこと。自信がつけば自然と長文も読めるようになります。
これは子供に興味関心を寄せる意味でも大切なことです。どれくらい覚えているか試してやろうという気持ちではなく、何がこの子の中に印象を残しているんだろう?と関心を持ち、子供の価値観を知ることが大切です。
おわりに
「読んだのに頭に入らない」という悩みは、実は大人も子どもも同じです。
ただし子どもにとっては、これが学力差に直結します。
速読よりも、定着読み。映像化と図化。
そして、日常のちょっとした会話の中で「何が書いてあった?」と聞いてあげること。
お母さんの一言が、子どもの読書力を大きく伸ばすきっかけになるのです。
あなたのお子さんは、読んだ本を思い出せますか? ぜひ一度、聞いてみてください。
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