【J★K】おい、今日はホーリーだってよ!
「いよいよ僕はカレーになってしまうのではないか?」
そのくらいの勢いで、僕はターリー(ワンプレートのカレー料理)を毎食のように食べていた。しかしデリーで食べるターリーは、値が張る割にお代わり禁止のリミットがかかっている。
「そんな! リミットターリーなんて許せない!」
食事の事でガタガタ言っていたら、親切な旅人が耳寄りな情報を教えてくれた。
そこも同様にリミットターリーではあったが、なんと一食15ルピーで食べられる激安店があるというのだ。しかもおじさんの気分次第では、チャパティのお代わりが時々ただになる事もあると言う。
「それは素晴らしい!」
イランのビザを取得する為に暫くデリーに滞在したが、その店を知って以来僕は毎食のようにその店に通った。
通り沿いのドブの様な水道でガチャガチャ洗った食器を使い、狭い店内で地元のインド人に肩を挟まれながらそこでカレーを食べる日が続いた。
しかし食べても食べても飽きが来ないなんて。
ひょっとすると、僕の前世はカレーの王子様だったのでしょうか? ま、そんな事は無いだろうが、無くも無くも無い話だ(まあ、無い)。
◯
「旅もこれで半分か……」
ホテルの屋上に昇ってデリーの街を眺めながら、僕は太い溜息をついた。思えば大分、旅にも慣れてしまった。ドキドキするよりボンヤリする事の方が多くなった気がする。
気が付けばお気に入りのエドウィンのベルボトムはグランジ好きの僕でも堪え難いほど汚れていた。まあ、インドの鉄道を二等で乗ればだいたいこんなものであろう。
僕は心の空気を入れ換える為、着たきりだったズボンを洗う事にした。
「フンフン、フフ~ン」
気持ち良く洗い上げたズボンを屋上の風に晒す。そうしてドミトリーに戻ると、居合わせた旅人達が楽しそうに何か話していた。
「今日はホーリーだね!」
ホーリー。
今日がいわゆる「色かけ祭り」の当日だと知らされた僕は、愕然とした。
「しまった! 僕のエドウィンが!」
早く取り込まなければ、洗濯物がカラフルにされてしまう!
僕は慌ててズボン救出に走るのだった。
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ホーリーを闘い抜いた四人の戦士の物語は本編・インド編『ホーリー三銃士』をご覧ください。

