【J★K】イランのチラリズム
テヘランの街を少し歩いてみると文化の違いが感じられる。例えば女性は布を被って髪の毛を隠して居る。宗派によるのだろうが、中には黒子のように顔までスッポリ隠してる人まで居る。
一方、若い女性の中には前髪をスカーフからのぞかせている人も居て、
「それはモスリム的なチラリズム?」
と考えさせられる事があった。
例えばパンツ全開放のワカメちゃんでは駄目なように、チラリズムは隠す事から始まる。しかしモスリムの場合、あのちょっとだけ出す前髪を見て、
「ウホッ! 激カワなんですけどーッ!」
となるのだろうか?
全く不可解だが、そのあたりは到底僕には体得出来ない感覚なので面白いと思った。
◯
或る日、イラン国立博物館に行った。
展示の数が余りにも多く、内容も脈絡がない。情報が多過ぎて処理出来なくなり、結果的に理解不能だった。
だが、特筆する事が一つある。
それは極端にエロティックな表現が排除されている事だった。
アンコールワットのヤクシーニだって、ミロのビーナスだってオッパイがあるのだ。美術を語る上でこれは避けて通れないものだろう。
芸術を考える時、女性の曲線美を除いてはコーラの瓶すらデザインされやしない。
「うーむ。それなのに何か極端に女性美が排斥されている。何か変な感じだな……」
そう違和感を感じていた矢先、僕は片隅に展示されていた土偶を見て転倒しそうになった。
野球ボール大くらいの丸々とした女性を象徴した土偶だったが、ちょうど股間の前に鉄板が設置されていて、際どく陰部が隠されていたのである。
「もはやここまでか! イスラム世界での性表現はここまで管理されてると言う事なのか?」
でも、何だろう。
これホント、悪いんだけど、
隠す方が逆に卑猥というか、
想像させられる……。
「はッ!」
僕はさっきまで考えていた女性の前髪の事に思い当たって、脳内に稲妻が閃いた。
土偶よ、教えてくれ。
まさか、つまりこれが、
イラン的なチラリズムと言う事なのか?
そうして僕は物言わぬ土偶の前で暫し佇むのだった。
