【J★K】行け!オルセー探検隊
パリにおける僕の行動は、およそ芸術鑑賞に費やされた。そんな訳で、ルーブルと双璧を成すオルセー美術館ももちろん訪ねた。
オルセー美術館の建物はもともと駅舎だったらしく、その構造はとってもモダーン。ルーブルのように学生が画材を持ち込んで模写すると言うより、デートスポットに向く様なタイプの空間だ。
しかしその内容には驚きだ。
特に「みんな大好き印象派」が充実していて、とっても分かり易い。
ちょっと名前だけ抜粋しても、「ゴーギャン」「ゴッホ」「シスレー」「スーラ」「セザンヌ」「ロートレック」「ピサロ」「マネ」「モネ」「ルノワール」……と来たもんだ。
どこかで聞いた名前ばかりではないか!
印象派以外でも「クリムト」「ドラクロワ」「ミレー」「コロー」「マティス」「ルソー」あるいは「ムンク」「ロダン」「ガウディ」と、……まだまだ、まだまだ。
要するに、サッカーで言う「レアル・マドリード」のように一級選手が集まっちゃってるのだ。
◯
そんな中で、最も僕に印象を残したのは異端の印象派・ドガだろうか。何故かと言うと、旅に出る直前にたまたまドガ特集の美術番組を見ていたからである。
番組によるとドガの絵はパステルで描かれている為、採光によって変色しやすい。その為、作品が展示されている部屋は他と比べて薄暗いのだという。そんなマメ知識を引っ提げて、僕はワクワクしながらドガの絵に会いに行った。
代表作はやはり『エトワール』だろうか。ちなみにエトワールとはバレエの花形スターを指す。
そんなエトワールは、今日もいつもの様に軽やかに四肢を伸ばして踊っていた。
そしていつもの様に、その舞台の裾から体がはみ出している問題の男。リアル版で直接お目に掛かって、
「おー、お主! やはり今日も怪しいのーッ!」
と挨拶したくなった。
ドガの絵の世界はバレリーナ社会の華やかな表舞台だけではなく、疲れている踊り手の姿やパトロンの存在など裏側まで描く事がある。
どう考えても明るいばかりでははないが、そんな舞台芸術を支える現実に目を向ける辺りがドガの優しみに溢れた視線なのだろう。
光と影の間で儚く踊るエトワール。
そのいじらしい姿を観て、僕は彼女を応援したい気持ちになるのだった。
がんばれ、エトワール!
