【J★K】悪徳インド人を包囲せよ!(2)
そこは小さなビルの一階にある旅行会社で、入り口の所に数人のインド人が屯していた。僕らが大勢で急に押し掛けたので、彼らはビックリしていた。
喧嘩上等で押し掛けたつもりだが何の抵抗もなく、案外速やかに奥に通された。そして一番奥の部屋で、僕らはマネージャーと七対一で対峙する形となった。
こちらは人数が多かったので勢力を出入り口付近に数人割いて通行を封鎖。ウラさんはボス的に中央にデンと構えて腕を組み、存在感を示しながら出番を待った。他のメンバーもテーブルを囲む人襖となって圧力を掛ける。テーブルに着いて直接の交渉は、口の立つ僕が担当した。
「こっちの友達がチケット貰ってないらしいじゃん。どう言うこと?」
眼光は鋭く。
話し方はゆっくりと。
僕は冷静に交渉を始めた。すると、
「オーケー、チケットはここにあるんだ。ほら」
「……………え?」
ぐはッ!
さっきまで無かったんじゃないの?
こりゃ、いきなり話が変わって来たぞーッ!
アーグラー行きのチケットを見せ付けられて、僕は言葉を失った。しかし勢い、ここでハイそうですかと引き下がれない。僕はシドロモドロに交渉を続けた。
「これ、ちょっと値段が高いよね。詳細を教えて貰えないかな、詳細を」
「それは出来ない」
話はここで平行線を辿り、押し問答になった。
「君たちはこの料金で了解し、支払ったのだ。だからこの料金は不当ではない。キャンセルするならそれでも構わないが、その際は正当にキャンセル料を貰う」
なかなか手強い。相手は強気にそう言って、テコでも意見を曲げなかった。確かに彼の説明は一理無くもない。
ましてや目の前に貰ってない筈のチケットが出されてしまった。これは良かったが、痛かった。
これ以上の交渉は無理筋と悟り、居た堪れなくなったのだろう。学生二人は僕らに侘びながら、そこで折れたのだった。
◯
帰り道。
僕らは肩を落としながら反省会をした。
「うう、ごめん。せめて少しでも負けさせられれば良かったのに」
と僕。
しかしウラさんはポツリと、
「あそこでチケット出されちゃったからな。記事に晒すも何もなかったわ」
と率直な感想を漏らすのだった。
うーん、確かに。
