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【J★K】ブダペスト芸術めぐり

 『ドナウの真珠』と称されるブダペストはトップクラスの観光地で、王宮や美術館、博物館が点在していた。
 肌寒い街を一人行くと、英雄広場を挟んで現代美術館と西洋美術館が仲良く建っている。
 僕は先に現代美術館に入ってみたので、その展示内容をいくつか紹介しよう。

 先ず。
 ホルマリンに漬けられた女性の極部。

 うーん、いきなり悪趣味だなぁ……
 サイコホラーのつもりか?

 僕はこういったやったもん勝ち芸術が嫌いだ。アイデア一つで特許を取っちゃう主婦みたいで、安っぽい。
 何よりも自分がアイデア一つの「字を書く旅」をしている身なのだ。こう言う自分に似たタイプの人間にイライラするのは、本能だと思う。

 しかしながら。
 そもそもこの作品自体がシニカルと言うか、何か暗くおぞましくて、僕には嫌いな表現というか……まあ、一言で言うと悪趣味だった。

「あー、やだやだ!」

 しかし目が離せないのだから不思議。

 次は、ハシゴが天井近くまで掛けられており、上に何かチョコチョコっと何か書いてあった。
 こんなものは、

「ケッ!」

 である。

 良いのか? 本当にこれで良いのかよ!
 これを見るために誰もがはしごをよじ登る愚かしさを表現したいのかい?

 次。
 壁にいくつも開いた穴を覗くと、中では数種類のビデオクリップが流されていた。
 知らない白人どもが雪合戦。

 は?

 テーブルで字を書いたり、ご飯を食べてる男が居て、いきなりテーブルクロスを引っ張られて固まる映像。

 はぁ……

 地面をノックし続ける男。

 はーッ!

 そんな感じの内容に僕はリアクションに困ったが、それでも覚えてるのだから確かにインパクトはあったのだろうなぁ……。
 と、今更ながらに思うのだった。

 一番印象に残ったのは顔出しパネルみたいな物である。よく日本の観光地にある、穴に顔をハメるだけで駅長とか新撰組になれたりする、アレに近い。その穴に顔をハメると、中で流れている映像に自分の顔が合成される仕組みだ。
 そして僕の顔が合成されたのは、虐殺されているユダヤ人達だった。

 !!

 筆舌では表せない内容だ。
 僕はテーマの重さに直ぐ気付いて固まった。

 率直に、彼らの立場に立たされたらどう思うか訴えているのだろう。それを省みて、もっと隣人に愛をと訴えている様でもある。

 しかし。
 こうまで分かり易く表現しないと、
 相手の立場に立てないものか知らん……。
 それでも戦争は起きるから、
 やっぱ、分からないのかな。
 だとしたら人間は、
 想像以上に愚かな生き物
 かも知れないな……

 僕はケレン味の強い芸術を嫌う。
 ましてや本物の死体の映像を使う事に対して、おぞましさより前に死者への冒涜感を覚えた。
 だから僕はこの作品が決して好きでは無かったが、思わず立ち止まって、そんな風に考えるのも確かなのだった。

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