谷郁雄の詩のノート100
高円寺の朝。開店前のカフェ「ぽえむ」の窓にはまだシャッターが下ろされたまま。そのシャッターに描かれた絵がとても可愛くて、楽しい一日の始まりを予感させてくれます。すでに、女の子が1人ぽつんと路上に佇み、お店が開くのを待っていました。ぼくも一緒に待ちたかったのですが、ぼくには仕事が待っています。心だけそこに残して、今日の仕事へ。誰に宛てるともなく書き続けた手紙のように、こつこつ書き続けたnoteの詩の投稿も100回目。詩を書き続けて半世紀。詩で人とつながる日々はまだ続きそうです。詩集『#詩でつながる』(雷鳥社)の刊行記念出版ツアーは夏の中休みですが、まだやります! インスタでもお知らせします。@tani_ikuo
「よかった」
小さな家で
よかった
無学な両親で
よかった
貧しい暮らしで
よかった
子どもの頃は
いやで
いやで
仕方なかったことが
なぜか
いまは
よかったと思える
「テレビ」
壊れた
家の中で
泣き出した
男の子
男の子を
抱きしめた
お母さん
テレビに
一瞬
映し出された
母子の姿に
涙が止まらなくなった
涙は
鼻水になり
よだれになった
悲しみを
洗い流す
大洪水
「コーヒー」
一日も欠かさず
飲んでいるコーヒーが
この世界から無くなったとしても
ぼくはそれでも
これまでどおり生きていくだろう
コーヒーと同じくらい
好きな何かを見つけるだろう
いつも当たり前にあるものが
これからもあるとはかぎらない
君を叱ってくれるお母さんも
いつかこの世界からいなくなる
©️Ikuo Tani 2026
