初夏の白い花 「なんじゃもんじゃ」
日差しがやわらかく力を増し、木々の緑がいよいよ深まる季節。
そんな中、ふと目に留まる、雪のように白い花をまとった一本の木――
「なんじゃもんじゃ」。
どこか愛嬌のある名前に、思わず足を止めたくなります。
けれどよく考えると、ユーモラスで少し不思議な響きですよね。
その由来には、こんな微笑ましい逸話が残されています。
水戸黄門として知られる
徳川光圀
が、あるとき将軍に「あの木は何という木か」と尋ねられた際、
とっさに「なんじゃもんじゃ」と答えたとか。
つまり、「なんと言う木か分かりません」という意味。
少しだけ肩の力が抜けたような、その場しのぎのひと言が、
そのまま名前として残ってしまった――そう思うと、なんとも人間らしい話です。
このような由来から、「なんじゃもんじゃ」と呼ばれる木は一種類ではありません。
各地で“名前の分からない立派な木”に、この呼び名が使われ、
今では20種類以上あるとも言われています。
その中で、一般的に「なんじゃもんじゃの木」として親しまれているのがヒトツバタゴです。
名前の響きとは対照的に、その由来は意外にも理にかなっています。
田んぼで稲を干す際に使われる「はさ木」に似ていること、
そして葉が一枚であることから、「ヒトツバタゴ」と呼ばれるようになりました。
曖昧な呼び名と、きちんとした本名。
どちらも持ち合わせているところが、この木の魅力なのかもしれません。
そして何より印象的なのは、その花の美しさ。
初夏になると、枝いっぱいに咲く白い花が、まるで雪をまとったように木を覆います。
遠くから眺めると、ふんわりと霞がかかったようにも見え、思わず見とれてしまうほどです。
明治神宮外苑(天然記念物指定)
のヒトツバタゴはよく知られていますが、最近では身近な公園でも見かけるようになりました。
名前の由来を思い出しながら見上げると、
その白い花が、どこか少しだけユーモラスに、そしてやさしく感じられるかもしれません。
もし出会うことがあれば――






心の中でそっと、こうつぶやいてみてください。
「なんじゃもんじゃ」と。
そのひと言で、景色が少しだけ和らぐ気がするのです。
”友に誘われ、なんじゃもんじゃの木に囲まれて。“
