見出し画像

黒龍とは?その特徴や種類・値段からおすすめ銘柄・美味しい飲み方まで徹底解説

黒龍とは、福井県永平寺町の黒龍酒造が1804年から醸し続けている日本酒です。白山の雪どけ水が九頭竜川の伏流水になって湧く土地で造られていて、口に含んだときの、あのやわらかさ。一度飲むと、なぜ多くの人がこの蔵の名前を挙げるのかが分かります。

この記事では、Sake Diplomaとして、黒龍という蔵の成り立ちから、もうひとつのブランド九頭龍との違い、1,500円台から数万円まで幅のある価格帯の整理、Amazonで実際に買える銘柄、そして温度と器の選び方までまとめました。最初の一本を気持ちよく選べるように、ぜひ最後までお付き合いくださいね。

黒龍とはどんな日本酒?

名前は知っているけれど、どこの何なのかまでは、という方も多いのではないでしょうか? まずは蔵の話から。

福井・永平寺町で1804年から続く蔵

黒龍は、福井県吉田郡永平寺町にある黒龍酒造が造る日本酒で、創業は1804年(文化元年)です。

初代の蔵元は石田屋二左衛門。二百年以上前の名前が、いまも最高峰の銘柄名として残っています。後で紹介する石田屋と二左衛門は、まさにこの初代から取られたもの。

永平寺町という地名にぴんとくる方もいるかもしれません。道元が開いた曹洞宗の大本山、永平寺のある町です。禅寺の静けさと、この蔵の酒質は、どこか通じるものがあると個人的には思っています。

白山の雪どけ水が生む柔らかさ

出典:黒龍公式サイト

黒龍の仕込み水は、霊峰白山の雪どけ水が地層でろ過され、九頭竜川の伏流水として湧き出たものです。

この水がやわらかい。日本酒の味わいは仕込み水の性質にかなり左右されるのですが、軟水系の水で仕込むと、角の立たない、するりと入る酒質になります。黒龍を飲んで、押しつけがましさをまったく感じないのは、この土地の水があってこそ。

蔵は1994年に龍翔蔵、2017年に正龍蔵と、造りの拠点を更新し続けています。二百年の蔵と聞くと保守的な印象を持たれるかもしれませんが、実際は手を入れ続けている蔵なんですね。

大吟醸を世に広めた先駆けの一本

黒龍は、大吟醸というカテゴリーを一般の市場に広げた蔵のひとつとして知られています。

1975年に発売された「龍」は、当時まだ鑑評会に出品するためのものだった大吟醸を、市販品として世に出した先駆けとされます。ワインの熟成の考え方を日本酒に持ち込んだ蔵、という語られ方をすることもあります。

いま私たちが当たり前のように大吟醸を選べるのは、こういう蔵が道を作ってくれたからなんです。そう思って飲むと、一杯の重みが少し変わってきませんか?

黒龍と九頭龍は何が違う?

黒龍酒造には、黒龍ともうひとつ、九頭龍というブランドがあります。ここを知っておくと、選び方がぐっと楽になりますよ。

黒龍は特別な一日のための酒

出典:黒龍公式サイト

黒龍は、贈り物や記念日のような、少し背筋を伸ばす場面に向けて造られたブランドです。

蔵は黒龍を「永遠へつながる一献」と表現しています。吟醸から純米大吟醸まで幅がありますが、いずれも冷酒から常温で、香りと透明感を味わう方向。

価格帯も、いっちょらいの1,500円前後から、石田屋の数万円まで。ここまで価格に幅があるのに、どれを飲んでも黒龍だと分かる。この筋の通し方こそが、二百年続いてきた理由なのだと思います。

九頭龍は日常と燗のための酒

九頭龍は、日常の食卓と燗酒に向けた、もうひとつのブランドです。

蔵の言葉では「自由の扉をあける一杯」。純米、逸品、燗たのしといったラインナップがあり、名前からして燗を前提にしているものまであります。

黒龍を冷やで、九頭龍を燗で。同じ蔵の酒でこの二役をきれいに分けているので、季節や料理に応じて使い分けられます。日本酒好きの家に両方置いてあるのは、こういう理由なんですね。

黒龍の種類と値段は?

黒龍は価格の幅が本当に広いお酒です。ラインナップを三つの層に分けて見ると、自分の予算がどこに当たるかが分かります。

3,000円以下で買える入門クラス

いっちょらいや九頭龍の純米・逸品なら、720mlで1,500〜2,500円前後から手に入ります。

黒龍は高いお酒、というイメージをお持ちの方には意外かもしれません。看板の吟醸いっちょらいは、この価格帯です。

まず黒龍という蔵の輪郭をつかみたいなら、ここから入るのがいちばん自然。安いから入門用という意味ではなく、蔵の考え方がいちばん素直に出ているのがこのクラスだと思っています。

5,000〜10,000円の中核クラス

大吟醸や大吟醸「龍」といった、蔵の技術がまっすぐ出るクラスがこの価格帯です。

贈り物にするなら、まずここが候補になります。相手に気を遣わせすぎず、それでいて明らかに特別な一本だと分かる。この匙加減がちょうどいい層です。

香りの立ち方、口に含んだときの密度、飲み込んだあとの静かな余韻。いっちょらいとの差が、はっきり体感できます。

数万円の最高峰クラス

石田屋と二左衛門は、蔵の最高峰として位置づけられた純米大吟醸で、数万円の価格帯になります。

初代蔵元の名を冠しているという時点で、蔵にとってどういう存在かが伝わってきますよね。年に限られた本数しか出ないため、店頭に並ぶ機会も多くありません。

はっきり言えば、日常的に買うお酒ではありません。ただ、人生の節目に一本、という選び方をするなら、これほど分かりやすい答えもないと思います。

Sake Diplomaが選ぶ黒龍のおすすめ7選

Amazonで実際に取り扱いのある銘柄を、価格帯とタイプを散らして選びました。価格は時期によって変動するので、目安として見てくださいね。

黒龍 吟醸 いっちょらい 720ml <吟醸>

黒龍の看板とも言える一本。いっちょらいとは福井の方言で一張羅、つまりいちばん上等な晴れ着のことです。福井県産の五百万石を55%まで磨き、アルコール度数は15度。

最初の一本には、これを。穏やかな吟醸香と、水のようにすっと通る口当たり。それでいて米の輪郭はきちんと残っています。この値段でこれが飲めるのか、というのが正直な感想です! 冷酒から常温まで、どの温度でも崩れません。

▶︎楽天市場で探す


九頭龍 純米 1800ml <純米>

日常の食卓に向けた、九頭龍ブランドの基本形。一升瓶なので、毎晩の晩酌に据える一本として。

黒龍の透明感はそのままに、燗にしたときの伸びを持たせてあります。ぬる燗にすると米の甘みがふわりと開くので、寒くなってからの食卓にどうぞ。派手さはありませんが、こういうお酒が冷蔵庫にあると生活の質が上がるんですよね。

▶︎楽天市場で探す


九頭龍 逸品 720ml <特別本醸造>

九頭龍のなかでも、燗にしたときの表情に振った一本です。

熱燗党の方は、まずこれを試してみてください。45度くらいまで上げると、香りがふくらんで、後味はすっと引く。この落差が気持ちいいんです。おでんや煮物のような、出汁を使った料理と合わせると、料理側の輪郭まではっきりしてきます。

▶︎楽天市場で探す


黒龍 秋あがり 純米吟醸 720ml <純米吟醸・季節限定>

夏を越して秋に出荷される、季節限定の純米吟醸です。

黒龍の透明感に、ひと夏の熟成による丸みが乗ります。秋のあいだしか出会えない顔なので、9月から11月に黒龍を買うなら、まずこれを探してみてください。

秋の味覚と合わせると、季節ごと味わっているような気持ちになりますよ。ひやおろしや秋あがりの考え方については、別記事で詳しくまとめています。

▶︎楽天市場で探す


黒龍 大吟醸 720ml <大吟醸>

蔵の技術がまっすぐ出る、中核クラスの大吟醸。

いっちょらいで黒龍を気に入った方が、次に進むならここです。香りの層が一枚増え、口に含んだときの密度がはっきり変わります。贈り物にするなら、この価格帯がいちばん失敗しません。冷蔵庫でしっかり冷やしてから、少しずつ温度が上がっていく変化を追ってみてください。

▶︎楽天市場で探す


黒龍 大吟醸 龍 720ml <大吟醸>

1975年の発売以来、この蔵を象徴し続けている一本です。

黒龍を語るうえで外せないのが、この龍。大吟醸を市販品として世に出した先駆けとされる銘柄で、いわば日本酒の歴史の一部です。味わいももちろんですが、それ以上に、こういう一本を今も同じ名前で造り続けているという事実のほうに惹かれます。特別な日の食卓に、話のきっかけとしても。

▶︎楽天市場で探す


黒龍 石田屋 純米大吟醸 720ml <純米大吟醸>

初代蔵元の名を冠した、黒龍の最高峰。

日常のためのお酒ではありません。還暦や結婚、独立といった、人生の節目に一本という選び方をするための存在です。出回る本数が限られるので、価格は変動しますし、時期によっては手に入らないこともあります。もし縁があって出会えたら、そのときは大切な人と分けて飲んでください。

▶︎楽天市場で探す


黒龍はどこで買える?入手は難しい?

出典:黒龍公式サイト

十四代や而今のような入手困難銘柄と比べると、黒龍はかなり買いやすいお酒です。ただし、銘柄によって事情が変わります。

特約店という買い方

いっちょらいや九頭龍のような定番品は、酒販店や通販で普通に手に入ります。

黒龍は全国に特約店を持っていて、そこでは定価で買えます。近所に日本酒に力を入れている酒屋さんがあれば、まずのぞいてみてください。銘柄の相談にも乗ってもらえますし、季節限定品の入荷を教えてくれることもあります。

こういうお店との関係ができると、日本酒の世界はぐっと広がりますよ。

黒龍の特約店一覧:

通販で買えるもの、買えないもの

定番品は通販でも安定して買えますが、石田屋・二左衛門のような限定品は、出会えたら幸運という部類です。

限定品は生産本数が決まっているので、流通に乗る量そのものが少なくなります。季節限定の秋あがりや垂れ口なども、時期を外すと消えてしまいます。

欲しい銘柄が決まっているなら、出る時期を把握して待ち構えるのが確実。あるいは、そのとき手に入るものを素直に楽しむ。私は後者の付き合い方が好きです。

定価と相場の開き

限定品は定価と市場価格が開くことがありますが、まずは特約店や正規の通販で定価を確認しておくと安心です。

高値で出ているものを見ると、それが相場だと感じてしまいます。でも蔵が付けた値段は別にあるんですね。

急いでいないなら、待つ。これがいちばん賢い選択です。黒龍は定番品だけで十分に満足できるので、限定品を追いかけなくても十分に楽しめますから。

黒龍の口コミ・評価まとめ

黒龍の評価は、食中酒としての信頼と、淡麗ゆえのつかみどころのなさという二つの方向に分かれます。

高く評価されている点

福井の食と合わせたときの収まりのよさが、いちばんよく挙げられる点です。とくに「いっちょらい」は、この価格帯でこの質かという評価をよく聞きます。石田屋や二左衛門といった上位品は、味そのものより「手に入れられたこと」が語られる傾向がある。

一方で、こう言われることもある

一方で、淡麗な酒質を「特徴がつかみにくい」と受け取る人もいます。香りで押すタイプの現代的な酒に慣れていると、最初は物足りなく感じられるかもしれません。上位品ほど入手性が落ちるので、そこに不満が集まりやすいのも事実です。

黒龍のおいしい飲み方は?

同じ蔵の酒でも、銘柄によって向いている温度はかなり違います。

温度は種類で変える

黒龍の吟醸・大吟醸系は10〜15度の涼冷えから常温、九頭龍は40〜45度の燗が向きます。

黒龍側は香りと透明感が持ち味なので、冷やしすぎず、かといって温めすぎず。冷蔵庫から出して10分ほど置いた状態が、ちょうどいい落としどころです。

九頭龍側は逆で、温度を上げてこそ本領。とくに逸品は、燗にした瞬間に別の酒になったかと思うほど表情が変わります。同じ蔵でこれだけ違うのは、造りの狙いが別だからなんですね。

器はワイングラスも選択肢

大吟醸クラスは、ワイングラスで飲むと香りの層が拾いやすくなります。

黒龍の香りは、爆発的に立つタイプではありません。だからこそ、器の形がものを言います。口の広いグラスに少量注いで、しばらく置いてから鼻を近づけてみてください。閉じていた香りが、ゆっくり開いてきます。

逆に九頭龍を燗でやるなら、断然ぐい呑みか猪口。温度が落ちる前に飲み切れる小ささが正解です。

九頭龍は燗で化ける

九頭龍 逸品を45度前後まで上げると、香りがふくらみ、後味は逆に軽くなります。

これは一度体験してみてほしい変化です。冷やで飲んだときは穏やかな印象なのに、燗をつけると急に立体的になる。日本酒の温度って本当に面白いなあと、あらためて思わされます。

徳利がなければ、湯煎でも電子レンジでも構いません。大事なのは温度をきちんと測ること。感覚でやると、たいてい上げすぎます。

黒龍に合う料理は?

やわらかい酒質なので、合わせる料理も繊細な方向が向いています。

福井の海の幸と

黒龍の吟醸・大吟醸系には、白身魚の刺身や甘えびのような、繊細な魚介がよく合います。

福井といえば越前がに、甘えび、へしこ。地元の食材と合わせるのは、ペアリングの王道です。土地の酒は土地の食材と合うようにできている、というのは経験的にかなり当たります。

とくに甘えびのねっとりした甘みと、黒龍のやわらかい口当たり。これは一度試す価値がありますよ。

出汁の効いた和食

九頭龍を燗にして、おでんや煮物のような出汁の料理と合わせると、お互いの輪郭がはっきりしてきます。

出汁のグルタミン酸と、日本酒のアミノ酸。温度が上がった状態で出会うと、旨味が重なって奥行きが出ます。

冬の夜、おでんの鍋を前に、九頭龍の燗。これ以上に贅沢な晩酌があるでしょうか?

意外に洋の前菜とも

黒龍の大吟醸は、生ハムやカルパッチョのような、塩気と酸のある前菜とも噛み合います。

日本酒だから和食、と決めつけるのはもったいない。黒龍のように雑味の少ない酒は、オリーブオイルや白身魚のカルパッチョと合わせても、まったく違和感がありません。

ワイングラスに注いで前菜と合わせれば、それだけで食卓の雰囲気が変わります。ぜひ一度、遊んでみてください。

黒龍に関するよくある質問

Q. 黒龍は入手困難な日本酒ですか?

A. 定番のいっちょらいや九頭龍は、通販でも酒販店でも普通に手に入ります。入手が難しいのは石田屋・二左衛門などの限定品と、季節限定品だけです。

Q. 黒龍と九頭龍は同じ蔵のお酒ですか?

A. はい、どちらも福井県永平寺町の黒龍酒造が造っています。黒龍は特別な場面のため、九頭龍は日常と燗のためと、役割が分けられています。

Q. 黒龍の最初の一本は何を選べばいいですか?

A. 吟醸いっちょらいをおすすめします。1,500円前後で、この蔵の考え方がいちばん素直に出ている一本です。気に入ったら大吟醸クラスへ進むのが自然な流れですよ。

Q. 黒龍は燗にしても大丈夫ですか?

A. 黒龍の吟醸・大吟醸系は冷酒から常温が向きます。燗を楽しみたいなら、同じ蔵の九頭龍がおすすめです。とくに逸品は燗のために造られています。

Q. 石田屋と二左衛門はどちらが上ですか?

A. どちらも蔵の最高峰クラスで、優劣というより性格の違いです。どちらも出回る本数が限られるので、出会えたほうを選ぶ、という考え方で問題ありません。

Q. 黒龍のラベルの読み方が分かりません。

A. 「こくりゅう」と読みます。九頭龍は「くずりゅう」。どちらも福井を流れる九頭竜川に由来する名前です。

まとめ|黒龍は二百年の水がつくる福井の食中酒

黒龍は、福井の永平寺町で1804年から続く蔵の酒。白山の雪どけ水が生むやわらかさと、大吟醸を世に広めた蔵としての矜持が、一本のなかに同居しています。

選ぶときの軸は三つ。ひとつめはブランドで、特別な日なら黒龍、日常と燗なら九頭龍。ふたつめは価格帯で、入門は1,500円台のいっちょらい、贈り物なら5,000〜10,000円の大吟醸クラス。みっつめは温度で、黒龍はから常温、九頭龍は燗です。

もしまだ飲んだことがないなら、いっちょらいを一本買って、まず冷酒で、次に常温で飲んでみてください。二百年かけて磨かれた水のやわらかさが、きっと分かりますよ!

この記事を書いた人:Tasterr
J.S.A. SAKE DIPLOMA / Wine Expert。全国でお酒のイベントを開催し、これまで7,000人以上にお酒を注いできました。旅を通して、その土地ならではのお酒との出会いやペアリングを楽しんでいます。
プロフィール日本酒ペアリング一覧ワインペアリング一覧


役立つ情報をお届けできるよう、これからもがんばります。この記事が良いと思ったら、ぜひスキやフォローをお願いします。


関連記事

参考・出典

※プロモーションを含みます。Amazonのアソシエイトとして、当noteは適格販売により収入を得ています。

いいなと思ったら応援しよう!

Tasterr(テイスター) いつも応援ありがとうございます。取材やイベントなど一次情報を取りに行く活動に宛て、より良い記事制作に反映させていただきます。