浜川路己の天才性~音が見えるアイドル
「さらちゃんは耳がいいね」
四歳から通ったピアノ教室で、ずっと言われてきた言葉。
四人姉妹、全員ピアノを習っていた。
小学生の頃までは家のピアノを4人で取り合って練習していたが、成長するにつれてみんな少しずつ弾かなくなり、気が付けば私だけがピアノの前にいた。
悲しい時も。
嬉しい時も。
季節が巡る日も。
言葉にならない夜も。
いつも隣にはピアノがあった。
私にとってピアノは、世界と繋がるための媒体だった。
だから進路を考えた時、当然のように音大を考えた。
でも子どもながらに音楽で食べていくことの難しさも理解して泣く泣く諦めた。
たぶん私の脳には、“ピアノ用の回路”ができていたんだと思う。
世の中の音、全てが音階に聞こえる「第二の言語」と共に生きていたから。
だから「音楽の夢」を諦めた時、身体の半分をもぎ取られたような喪失感があった。
その穴を埋めるように受験勉強へ没頭し、早稲田大学に合格した。
大学生になると一転、キャンパスライフは楽しく、自然とピアノから離れていった。
「音楽で生きる」という夢は、いつの間にか人生の選択肢から消え、一般企業へ就職した。
それでも。
頭の中には、今でもずっと音楽がいる。まだ音楽を介して世界を見ている。
だから、「耳が良い人」は、見ればわかる。
それが浜川路己だった。
路己の天才性に気づいた日
ロイは、本当に耳がいい。
それに気づいたのが、タイプロ最終ステージ。
0:39~
「わがままになっていい『か』ら」の、『か』の瞬間、ロイは肩と眉で拍を取った。
普通の人にとっては、ただ流れていく一音。
でもロイには、違って見えている。
音が立って見えているんだろう。
その予感が確信となったのが、先日リリースされた「CLASSIC WAVE」のレコーディング風景だった。
この動画の長編版、FC限定コンテンツ内では海外ミキサーと一音ずつ調整を重ねる浜川路己と本多大夢の姿があった。
それは単なる「アイディア出し」ではなかった。
(FC限定コンテンツだから詳細は書けないが)
「ここはこの振りだから、こういう音が欲しい」
「こう表現したいから、この音を消せますか」
「この楽器バージョンも聴きたい」
というニュアンスのオーダーを一音ずつ出していく。
しかも振りを交えながら。
そして、バチっとハマった瞬間、全身を揺らして喜びを表す。
きっとロイの頭の中には、完成形が見えている。
ROIROMとして表現したい世界があって、それを一音ずつ現実へ引きずり出しているんだろう。
そこにいたのは、“与えられた曲を歌うアイドル”ではなかった。
音を解体し、振りに合わせて再構築し、感情を乗せ、曲の世界観を設計していく、異様なまでにアーティスティックで、ギークで、音楽オタクな二人だった。
もう「アイドル」という言葉だけでは、この人たちを説明できない。
ギフテッド
ロイは「曲に合わせて」ではなく「音の立ち上がりに合わせて」踊っている。
ビートを取る。
裏拍を捉える。
母音の意志を表現する。
音の抜け際を流す。
空白を踊る。
全部の音を踊る。
でも全部を強く出すとうるさいから、良い感じに調整しながら。
その塩梅が、絶妙。センス。
たぶん脳内では、常に超高負荷な解析が起きているんだろう。
ロイを見てると、天才や才能という言葉では説明しきれない何かを感じる。
言うなれば、ギフテッド。
「休みの日は一日中ベッドにいます」のエピソードでお馴染みの浜川路己だけど、こんだけ情報過多のハイカロリー人生ならばそりゃそうだよな~と。
一日中ソファにいるが凡人の私はそう思う。

