見出し画像

サッカーを辞めたチームメイトから考えたこと



先日、チームメイトの一人が退団した。

その子は息子の友達。

3年生の頃、サッカーに興味を持ち始め、
「サッカーやろうよ!」
とよく息子を誘いに来ていた。

そして息子と同じチームに入団した。

一緒に練習し、試合に出て、遠征にも行った。

4年生の頃は、息子たちもパワハラ気質のコーチに悩まされることがあり、その子も息子たちと一緒に愚痴をこぼしながらサッカーを続けていた。

そんな彼に変化が見え始めたのは、4年生の秋頃だった。



息子たちは少しずつ高学年チームの練習や試合に参加するようになった。

そこでは、ただボールを追いかけるだけでは無い。

ポジショニング。
オフザボールの動き。
周りを見ること。
判断すること。

そういったことが求められるようになる。

その子は、6年生やコーチからたくさん指摘を受けるようになった。

そして、

「高学年とやるの嫌やだな」

と言うようになった。

一方で息子は、

「走ったらパスが来る」
「いつも誰かが受けに来てくれる」
「高学年とやるの面白い」

と言っていた。

今振り返ると、この頃が分岐点だったのかもしれない。



5年生になると担当コーチも変わった。

怒鳴ることはない。

むしろ指導は丁寧だ。

ただし要求されるレベルは4年生の頃より高い。

何も考えずにボールを蹴れば指導される。

ポジショニングが悪ければ理由を説明される。

判断を求められる。

その子は、

「難しいこと言われても分からない」

と言った。

息子は逆に、

「丁寧に教えてくれるから分かりやすい」

と言っていた。

同じ指導でも、受け取り方はまったく違った。



その後、その子は徐々に消極的になっていった。

練習も休みがちになった。

プレーからも自信が失われていくのが分かった。

そんなある日、練習中にその子のお母さんと話をした。

「サッカーの練習に行きたくないと言い出しました」

「これから自分たちが中心になる学年なのにと思って続けさせてきましたが、限界かもしれません」

「辞めることになったら申し訳ないです」

そう言われた。


実は私も以前、息子がサッカーに行けなくなった経験がある。

だからこそ思った。

嫌々続ける必要はない。

私はお母さんにこう伝えた。

「息子たちのことは気にせず、その子にとって一番良い選択をしてあげてください」

そして後日、その子は退団した。


もちろん、同じように高学年サッカーへの移行で苦労した子は他にもいた。

それでも続けられた子もいる。

上手くできなくても気にしない子。

技術があって何とか乗り越えた子。

分からないことを慣れてる息子に聞きながら覚えた子。

息子の近くでプレーして真似をする事で学んだ子もいた。

乗り越え方はそれぞれだった。



私は今回のことで改めて感じた。

5年生、6年生になるとサッカーの競技性は一気に高くなる。

それを面白いと感じる子もいる。

もっと知りたい。
もっと上手くなりたい。
考えるサッカーが楽しい。

息子はそういうタイプだった。

しかし、全員がそうではない。

競技性が高くなるほど苦しくなる子もいる。

分からないことを指摘され続けることが辛くなる子もいる。

サッカーが嫌いになるわけではない。

ただ、その環境が合わなかっただけなのかもしれない。


昨年度の6年生や息子にとって、高学年コーチはとても良いコーチだ。

選手を成長させてくれる。

サッカーを深く教えてくれる。

だから私は良い指導者だとは思っている。

でも、そのコーチが全ての子にとって良いコーチかと言われれば、そうではないのだろう。

ある子には分かりやすい言葉でも、
別の子には難しすぎる。

ある子を伸ばす指導が、
別の子には苦しさになることもある。

指導者と選手にも相性がある。

今回の出来事は、それを改めて考えさせられた。

そして、もう一つ感じたことがある。

息子たちのチームは人数が少ない。

そのため、コーチの目が一人ひとりによく届く。

良いプレーをすればすぐに褒めてもらえるし、理解できていないことがあればすぐに指導が入る。

人数の多いチームであれば見過ごされるような部分まで、細かく声をかけてもらえる環境だ。

息子にとっては、それがとても合っていた。

分からないことを教えてもらえることが嬉しい。

指摘されることで成長できる。

そんなタイプだからだ。

しかし、それは全ての子にとって同じではないのだと思う。

指摘される回数が多い。

考えることを求められる。

常に見られている。

そうした環境がプレッシャーになる子もいる。

サッカーの理解度や性格によっては、苦しさの方が大きくなってしまうこともあるのだろう。

少人数だからこその良さ。

そして少人数だからこその難しさ。

今回の出来事で、そんなことも考えさせられた。

退団したその子は、今でも放課後になると校庭や公園で友達とサッカーをしている。

だから私は少し安心している。

いつかまた、
「サッカーをやりたい」
と思う日が来るかもしれない。

ただ、最近のその子を見ていると、少しだけ思うこともある。


サッカーそのものが嫌いになったわけではない。

だからこそ、もしあの時、少し休みながらでも続けるという選択肢があったらどうだったのだろう、と考えることがある。

練習に行きたくない時は休む。

気持ちが向いた時だけ参加する。

そんな形でもチームとのつながりを残していたら、また前を向ける日が来たのかもしれない。

もちろん、それが正解だったかは分からない。

辞めるという決断が、その子にとって必要だった可能性もある。

ただ、完全に離れてしまうと、もう一度戻ることは簡単ではない。

だからこそ、子どもが苦しんでいる時には、「続ける」か「辞める」かだけではなく、「少し休む」という選択肢もあっていいのかもしれない。
今はただ、

サッカーは楽しいスポーツなんだ。

そんな気持ちを思い出してくれたら、それでいいと思う。

いいなと思ったら応援しよう!

tata note よろしければ応援お願いします!