『SEND ME: FBIスナイパーの記録』 紹介&著者インタビュー
そのとき、わたしは主の御声を聞いた。 「誰を遣わすべきか。 誰が我々に代わって行くだろうか。」 わたしは言った。 「わたしがここにおります。 わたしを遣わしてください。」
軍人の現役時代の回顧録を記した書籍は、有名なものではDEVGRUによるオサマ・ビンラディン暗殺作戦の裏側を綴った、マーク・オーウェン氏の『NO EASY DAY』をはじめ、いくつか日本語での翻訳版も出ています。
これらの書籍は、その部隊の装備を集めるコレクターやファンには、任務や部隊の雰囲気、装備に関する知見を深める貴重な資料であると同時に、胸が躍るような冒険の物語であったりします。
この手の書籍は大抵が軍の特殊部隊出身者のものであることが多いですが、
ついに!!
長年私が憧れてきた「FBI SWAT」の元隊員による回顧録が出版されました!

内容も一通り読み終えたので、ぜひFBI SWATコレクターやその他のLE装備コレクターなどの方々にも、よりリアルな「高リスクの令状執行」の現場を知っていただきたく、どんな本なのか紹介をしたいと思います。
……さらに!!
なんと!なんと!
著者レブマン氏への貴重なインタビューも行いました!
ぜひ記事を最後までご覧いただき、そして本書を読んで、あなたもFBI SWATのアツい冒険譚を楽しみましょう!
どんな本なの?
著者: Jeremy D.O. Rebmann 氏

コールサイン「J マネー」。
レブマン氏は、1990年に高校を卒業すると同時に米空軍へ入隊し、9年半の軍務に就きました。
空軍時代には士官学校を卒業後、アメリカ空軍特別捜査局(OSI)にて出撃準備担当官および特別捜査官(大尉)を務め、AFSOC(空軍特殊作戦コマンド)に配属されました。
その後、米国最大の法執行機関であるFBIに採用され、1999年から2022年までの23年間、特別捜査官として勤務。うち21年間はSWATオペレーターとして200以上の任務を遂行し、突撃チームリーダー、主任衛生兵、上級銃器教官、狙撃チームリーダーなど、多岐にわたる役職を歴任・兼任してきました。
さらにはパイロットでもあり、異世界転生モノでもここまで能力モリモリの人はいないと思います。
FBI SWAT隊員としての彼の経歴は、まさに回顧録を記すに値するほど豊富で、貴重な経験に満ちています。
内容について
『SEND ME』は、レブマン氏がFBI SWATとして過ごした日々を振り返り、過酷な現場のリアルを描き出した回顧録です。そこで語られるのは、緊張感あふれる任務の記録であると同時に、「仲間との絆」や「人としての強さ」に迫る物語でもあります。
単に装備を着た写真を眺めているだけでは到底わからない、任務が隊員の人生に及ぼす影響や、その裏に潜む目に見えにくい苦悩までが丁寧に描写されています。
本書では、任務のブリーフィングに始まり、事前捜査や訓練、現場での緊迫した瞬間、そして仲間とのユーモアあふれる会話や日常に至るまで、FBI SWATとしての生活の一連の流れが克明に記録されています。その臨場感は、まるで自分自身がチームの一員として現場に立ち会っているかのような感覚を与えてくれます。
さらに、物語の面白さに加え、FBI SWATの装備や戦術の進化にも触れられている点は、装備好きやLEファンにとって大きな魅力です。装備品が実際の現場でどのように機能し、活躍しているのかを知れる貴重な内容となっています。
多くのミリタリー系作品では、派手に敵を倒す描写によって部隊の凄さが強調されがちですが、本書が伝えるのは「誰も死なずに済む」というLE特殊部隊ならではの功績。それは簡単なことではなく、ひとえに隊員や関係者たちの献身と努力によるものだとわかり、読み終えたときにはFBI SWATやその他のLEへのさらなる敬意を感じられるはずです。
タイトルの「Send me」とは、FBI SWATのモットーである「mitte me(私を遣わしてください)」というラテン語の英語表記です。
どんな人にオススメ?
・FBI SWAT装備コレクター
・FBI装備コレクター
・連邦系LE装備コレクター
・その他LE装備コレクター
・特殊部隊装備コレクター
・上記のような組織や部隊のファンなど
上から順に特にオススメしたい層ですが、どれに当てはまる方でも読んでほしい、満足できる一冊です。
まず、FBI SWAT装備のコレクターには「必読書」と言っても過言ではありません。
私自身、長年FBI SWATの研究を続けてきて任務や活動内容についてはある程度理解していましたが、先行リリースされていた『Glass Mountain』や本書を読むまでは、隊員たちが直面してきた苦悩や困難までは知ることができませんでした。
命を懸けて任務に臨む本職の装備を集める以上、一定のリスペクトは持つべきだと思います。ですが、そもそも彼らがどんな任務をこなし、どんな困難に立ち向かっているのかを知らなければ、敬意の深めようがありません。
まして、憧れてお金をかけて装備を集めている部隊のことを“外見”以外ほとんど知らないというのは、正直“淋しい”ことだと思います。
また、リエナクトメント(再現)を楽しまれている方々の場合は、リエナクトはサバゲーと違って「役者」としての役作りが求められます。
そのためには、本職が現場でどんなことを考え、どんな状況に直面しているのかといった、リアルでディープな情報が必要不可欠です。それがなければ、どんなシーンを再現しても、単に装備を着ただけの「自分」にしか見えなくなってしまいます。
だからこそ、FBI SWAT装備をより深く楽しみたいなら、この本は必読といえるでしょう。
もちろん、FBIに限らず他のLE装備コレクターにとっても価値ある一冊です。
組織や部隊が違っても、高リスクな令状執行の現場で直面する困難は大きく変わりません。読めばきっと、「自分が装備を集めている部隊も、現場ではこういう感じなのだろうな」という理解が確実に深まります。
さらに、本書の序文は、著者レブマン氏に影響を与えた『On Combat』の著者、デイヴ・グロスマン中佐のコメントで始まります。その中でグロスマン氏は「装備マニアも気に入るだろう」とわざわざ書いているほどです。
そのような資料的な側面だけでなく、そもそも物語としても面白く、楽しみながら自然と本職へのリスペクトを深められる一冊です。
だからこそ、FBI装備コレクターだけでなく、LEに憧れるすべての人に、ぜひ読んでいただきたいと思います。
ペーパーバックとKindle版があり、「Kindle Unlimited」の対象にもなっているので、初回登録であれば無料期間内なら、タダで読むこともできます!(対象から外れました)
きちんと形として手元に残したい方は、ペーパーバックで購入しましょう。
各章について
各章は主に以下のような内容で構成されています。
Chapter 1: New Guy
FBI SWATとしての新人時代の話。
Chapter 2: Carney Hostage Rescue
狙撃手として人質事件に出動した際の話。
Chapter 3: Glass Mountain
本書を象徴する狙撃任務の話。FBIの検閲の関係で、当初この章のみが先行リリースされた。
Chapter 4: Operation Delta Blues
汚職警官など72人の一斉逮捕に向け、350人のFBI SWATが参加した大規模作戦の話。個人的に一番好きな話です。
(“Phase Line Yellow”のくだりからの緩急が面白い)
Chapter 5: Wewoka
インディアン居住地での狙撃任務と過酷な夜間登山。こんな漫画のキャラみたいな人が本当にいるんだ…なASACが出てくる。
Chapter 6: Rocket Bomber
入念に準備された爆弾犯への強襲とその意外な結末。
Chapter 7: DIGPRO
FBI長官の要人警護任務の話。USSS(シークレットサービス)ファンにも読んでほしい章です。直接名前は言及されていませんが、ここで登場するFBI長官(Director)とは、長身で知られるコミー元長官のことです。
Chapter 8: Sanctioned Killing
大量破壊兵器テロの捜査、リシン毒の脅威にさらされながらのハイリスクな任務。
Chapter 9: Operation Mischief Mayhem
配管工トラックに偽装した車からの狙撃監視任務。
Chapter 10: Dirty Bomb
無差別爆弾犯を想定した尾行訓練の話。
Chapter 11: Cartel Safehouse
「FBI SWATの仕事の意義」を感じさせる、最も印象的な章です。特に読んでほしい章でもあります。
Chapter 12: Dripping Springs
FBI SWATコレクターには印象的な2016年のオレゴン武装籠城事件に影響を受け、警官の殺害予告声明を出していた逃亡犯の逮捕。そして、EMTとしての回顧録。
Chapter 13: Operation Vatos Locos
ベアキャットにまつわる話と催涙ガスでの制圧。
Chapter 14: Whom Shall I Send?
SWATの素質、サーバントリーダーシップについて。
各章の途中には、登場するチームメイトがいかにして“コールサイン”(チームの一員として認められた際につけられるあだ名)を獲得したかについての小話なども挟まれています。
基本的にこれらのコールサインは、何かしらの本人の恥ずかしい体験や面白いエピソードから取られるのですが、これもなかなか面白く、飽きずに読み進められます。
参考:本書の読み方
さて、ここまでで読んでみたいという気持ちは高まったものの、それでも“洋書”に対して「英語が読めるか不安」と感じる方も多いのではないかと思います。
そんなあなたにも安心して読んでいただけるように、オススメの読み方も紹介します。
まず、『Googleレンズ』アプリを入れましょう。
紙版の場合は、これがあれば、リアルタイムで開いているぺージを翻訳できます。
Kindle版なら、スクリーンショットを撮ったあとに読み込ませて翻訳できます。
また、Kindleアプリ自体の機能として、文を長押しして範囲選択のうえ、翻訳をかけることも可能です。(ただし、翻訳が甘い気がします)
基本的に小説ではなく、実際にあったことの回顧録なので、あまり複雑な文学的言い回しもなく、上記のような機械翻訳でも十分に内容を理解して読むことが可能ですので、安心してください。
どうしても専門用語が出てくるので、軍事的な用語やこのような回顧録を読んだことがない方は、巻末の用語集を先に見ておくと良いでしょう。
機種がFBI御用達のスマホ「Google Pixel」の場合は、Kindle版のスクリーンショットからのGoogleレンズ翻訳が非常にスムーズで、さらに読みやすくて最強です。
【 結論 】
とりあえずKindleで無料3ヶ月のうちに、Googleレンズ等を使って読んじゃいましょう。
気に入ったり、FBIコレクターの方はあとで読み返す用にペーパーバックを買えばいいと思います。
もう洋書は“英語の本”な時代ではありません。
著者インタビュー
今回この記事を執筆するにあたり、なんと著者ご本人であるレブマン氏に直接インタビューをさせていただくことができました!
幾多の経験を積んできたからこそ語れる言葉の一つひとつには、重みと同時に温かさが感じられます。ぜひ本書と合わせて、このインタビューもじっくり味わっていただければ幸いです。

Q1. SWAT隊員としてのキャリアを振り返って、最も誇りに思う瞬間や出来事は何でしょうか?
答えるのが難しい質問ですね。恐怖、アドレナリン、勇気に満ちた瞬間はたくさんありましたが、一番満たされた気持ちになったのは「人を救えた任務」です。
ドラッグ事件で、クローゼットに閉じ込められていた子どもたちを救出したことは、私に強い影響を与えました。仲間が銃創を負った際に、メディックとして治療したこともありました。また、銃を突きつけられて人質になっていた女性を救出したミッションもありました。
私たちのチームの素晴らしさは、強大な力と暴力を行使する能力を持ちながらも、「救い、助ける」という特別な機会に恵まれていたことです。最も報われる瞬間は、犯罪者を制圧したときではなく、誰かの命を救えたときでした。
Q2. 著書『SEND ME』を読む際に、特に注目して読んでほしいポイントはありますか?
「サーバント・リーダーシップ(奉仕型リーダーシップ)」の実例に注目してほしいです。本当のチームワークは、「自分を最後にし、仲間を最優先にすること」から生まれるのです。
Q3. 本に書ききれなかったけれど、ぜひ伝えたいエピソードはありますか?
たくさんあります!200回以上の作戦に参加しましたからね。
その中でも、まだ語っていなかったのが「Operation Dirty Mopsticks(ダーティ・モップスティックス作戦)」です。オマハやカンザスシティの姉妹チームと合同で、一晩に23件もの危険な令状執行を行いました。
ある現場は高層アパートで、20階まで階段を上がる代わりに、マスターキーを使ってエレベーターに乗ったんです。悪名高い麻薬王を制圧しに行くのに、フル装備(アーマー、ヘルメット、ライフル、突破用具など)でエレベーターに押し込まれてしまい、その状況があまりに滑稽で、みんな大笑いしてしまいました。
映画のワンシーンのようで、私は思わず携帯を取り出して、満面の笑みを浮かべる8人の仲間を撮ったんです。
そして「チーン」とエレベーターが開いた瞬間に、全員が切り替えて任務に集中し、麻薬の売人を刑務所へ連行しました。
「楽しむときは楽しむ。働くときは全力で働く」
Q4. 本を通じて読者に最も伝えたいメッセージは何でしょうか?
厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、どうか最後まで聞いてください。
私が一番伝えたいのは、「この人生において、何か特定のものの中に永続的な幸福を見出すことはできない」ということです。私たちは皆、いずれ死を迎えます。大切なのは、その後に何があるのか、そして今をどう生きるのか、です。
自分を優先すればするほど、不幸になります。本当の喜びは、他者への奉仕、仲間づくり、永遠なるものを探し求めること、そして他人を優先することにあります。私にとってそれは、SWAT隊員としての経験、そして何より神への信仰を通じて見出しました。
この人生は短い。だからこそ、今どう生きるか、そしてその先に何があるのかが最も重要なのです。
Q5. SWATでの経験は、ご自身の人生観や価値観にどのような影響を与えましたか?
人生をより深く感謝できるようになりました。
ひどい生活環境を見てきましたし、多くの死にも直面してきました。その経験があるからこそ、ただ静かに佇み、肺に風を感じ、胸に鼓動を感じられること自体が喜びだと実感できるのです。
Q6. キャリアの中で、装備や戦術の進化を間近でご覧になったと思いますが、特に印象に残っている変化はありますか?
最も大きな変化のひとつは「装甲車両の導入」です。
それ以前は、銃撃を受けずにハイリスクな作戦を遂行するには、スピード、奇襲、激しい行動、そしてフェイルセーフ突破を駆使する必要がありました。
車のほとんどの部分は簡単に撃ち抜かれてしまうため、犯罪者が私たちに向かって銃撃を始める前に、トラックから降りてドアまで行き、突破する必要がありました。
装甲車が登場する前は、スピードと攻撃力が私たちの命を繋いでいました。装甲車が導入されると、速度を落とすことができました。ただ車で近づき、包囲して、犯人を呼ぶだけで済みました。昔ほどスリリングではありませんでしたが、関係者全員にとって間違いなく安全でした。
Q7. 現役時代、特に信頼していた、あるいは気に入っていた装備品はありますか?
私は非常に信頼性の高い銃器に強いこだわりを持っています。一度でも銃が詰まると、すぐに疑念を抱きます。 そして、戦闘前に疑念を抱く必要などありません。
9mm口径のグロックピストルは驚くほど信頼性が高いので好きでした。H&K MP5も驚くほど信頼性が高いです。たとえ汚れていても確実に使える銃が好きです。
M4(AR15)プラットフォームが成熟し、非常に信頼性が高くなると、弾道特性と射程距離の向上から、MP5よりも11.5インチCQBRを好むようになりました。
Q8. 装備の選択や設定において、どの程度の自由が与えられましたか?
私たちは特定の武器を支給され、保管庫から追加の武器を借りることもできました。また、購入して携行できる武器のリストもありました。
例えば、新人特別捜査官として、グロック22ピストル、14インチ12ゲージショットガン、そして9mm MP5を支給されました。後に、予備としてグロック27を購入しました。
SWATチームに所属していた頃は、フルオートのM4カービン、1911ピストル、そしてフルオートの10mm MP-5を支給されました。
スナイパーとしては、ボルトアクションの.308、セミオートの.308、そしてM4用の14.5インチアッパーを支給されました。後に16インチバレルのAR-15を購入し、承認されたスコープを取り付けました。支給されたPVS-22とPEQ-15をAR-15に装着し、特定の狙撃任務用の軽量精密ライフルとして使用していました。
つまり、常に、一般支給の武器、SWATプログラムの武器、そして個人所有のFBI承認武器を携行している可能性がありました。この組み合わせは私たちに柔軟性をもたらしましたが、同時に訓練において規律も要求しました。
Q9. 訓練中はどのような心構えでいましたか?また、チームとして一緒に訓練する際に最も重要だったことは何ですか?
トレーニング中は、レップ(セット)の合間に笑ったり楽しんだりすることも大切ですが、ランニング中(進行中)は集中力を維持することが大切です。
長く厳しいトレーニングの日を過ごすことも大切ですが、仲間とリラックスして楽しむ時間も大切だと感じています。ハードなトレーニングの合間に一緒にゆっくりランチをとることは、トレーニング自体と同じくらい重要です。
たとえ最高の技術を持つオペレーターが集まっても、結束して一つの集団とならなければ、優れたチームとは言えません。優れたチームとは単なる技術ではない──それは兄弟のような絆(ブラザーフッド)です。
Q9. 最後に、日本のFBI SWATファンやギアコレクターに、メッセージやアドバイスをいただけますか?
あなたのコレクションは単なるギアではありません。
規律、敬意、そして奉仕という、その背後にある精神の象徴なのです。
FBI SWATに憧れるなら、安全に訓練し、歴史を尊重し、情熱を注いでコミュニティを築くことで、その誇りを守りましょう。そうすることで、たとえ海を越えても、仲間は成長していくのです。
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Send Me: Chronicles of an FBI Sniper
Glass Mountain
※『Glass Mountain』は、『SEND ME』から抜粋・先行出版された章です。まずは試しに読んでみたい方はこちらから始めてもよいでしょう。
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