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#18 朝ドラ『虎に翼』の寅子に学ぶ、「当たり前」を疑うための読書。

NHKの朝ドラ「虎に翼」の主人公・寅子には、「はて?」という口癖があります(遅ればせながら、オンデマンドで、今見始めた私です。)

周囲が当たり前だと思っていることに出会った時、彼女は立ち止まります。

「なぜそうなっているのだろう」
「本当にそうなのだろうか」
「誰にとって当たり前なのだろう」

そんな問いが、たった二文字の「はて?」に込められています。

私は最近、政治家がよく使う「国益」という言葉を聞くたびに、この寅子の「はて?」を思い出します。



「国益を守る」
「国益を損なう」
「国益にかなう」

政治家の演説やテレビの討論番組では、ごく当たり前のように使われる言葉です。

私自身も、日本で暮らしている以上、日本の利益や安全が大切であることを否定するつもりはありません。

しかし、それでも少し立ち止まってみたいのです。

はて?

「国益」とは誰の利益なのでしょうか。

けれども、「国益」という言葉の中身は意外と曖昧です。

「国益」を連発する政治家には、はて?はて?はて?をこちらも連発するべきかもしれません。



興味深いことに、日本国憲法には「国益」という言葉は出てきません。

憲法には、

国民主権、
基本的人権、
個人の尊重、
平和主義、

といった言葉は繰り返し登場します。
一方で、「国益」は語られていません。

これは単なる偶然なのでしょうか。

それとも、国家の利益より先に、人間の尊厳や平和を置こうとした憲法の思想が反映されているのでしょうか。

そんなことを考えます。



散々言いましたが、私は「国益」という言葉そのものを否定したいわけではありません。

ただ、その言葉が使われる時、私たちは何をイメージしているのでしょうか。
そして政治家は何を伝えようとしているのでしょうか。
そんな問いを持つことは大切ではないかと思います。

なぜなら、歴史を振り返ると、多くの戦争は「戦争」という名前で始まったわけではないからです。

国家はたいてい、

安全のため、
自衛のため、
国民を守るため、
国益のため、

という言葉を用います。

その言葉が何を意味しているのかを考えなくなった時、私たちは大切な何かを見失うのではないでしょうか。



最近読んだ森達也氏の著書は、そんなことを考えるきっかけを与えてくれました。

森氏は読者に答えを示しません。
むしろ問いを残します。

なぜ人は戦争を始めるのか。
なぜ普通の人が残虐な行為に加わるのか。
なぜ私たちは、自分はそうならないと思うのか。

読後に残るのは結論ではなく、問いです。



寅子の「はて?」は、ドラマの中では少しユーモラスに描かれています。
けれども私は、あの二文字こそが作品の核心だったように思います。

当たり前を当たり前のまま受け取らないこと。
違和感を大切にすること。
問い続けること。

それが寅子を成長させました。

そして私たちにとっても、きっと大切な姿勢なのだと思います。

学ぶということは、答えを持つことではなく、「はて?」を失わないことなのかもしれません。

はて?

(店長のおすすめ本)
今回、この「はて?」を考えるきっかけをくれたのが、森達也さんの著書です。当店でも大切に扱っている1冊ですので、気になった方はぜひ手にとってみてください。

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