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vol.8 「学校が変わらない理由は、『授業研究』の中にあった。」

【連載】『シン教育OS』が描く未来の教育 vol.8


<第2章> 学校を変える「シン教育OS」とは ③

ある研究授業の協議会をのぞいてみましょう。
 
司会の先生:「はじめに。成果について協議します。」
A先生:「この手立ては、子供たちが活発でよかったです。」
B先生:「普段の学級経営がよくできていることが伺えますね。」
C先生:「板書計画がしっかりできているから子供たちが見通しをもつことができています。」
司会の先生:「では、質問や課題点についてです。」
D先生:「学習活動は、とても面白いですが、子供たちのめあてはもっていましたか?」
授業者:「この学習活動が今日のめあてです。」
E先生:「こういうやり方もあったのではないかと思いますが、どうですか?」
授業者:「それも考えましたが、子供たちの実態を考えて、今日の授業を考えてみました。」
F先生:「でも、この活動で、どう評価するのですか?」
 
その後も協議は続く・・・
 
様々な視点で協議がなされていますね。
 
何よりも授業者は、子供の実態から授業を考えています。
しっかりと課題点をあげたり、自分事と捉えて質問したり、活発な協議です。
 
しかし、この協議は何のための協議なのでしょうか?
 
今回は、このギアの旅を深掘りしていきましょう。

QLP Gear

研究授業の目的は?

私は38年間、数え切れないほどの研究授業を見てきました。
しかし、ずっと感じていた違和感があります。
1時間の切り取られた時間を協議し、そこから成果点や課題点を見出していくこの研究協議。
 
「この協議は、本当に授業改善につながっているのだろうか。」
 
研究授業は、単元ではなく「1時間」を見ています。
その一方で
子供は「単元」で育っています。
 
 
研究授業の目的は、
 
・切り取られた1時間の授業をどうするか?
・教師一人の授業の工夫がどうであったか?
 
ではなく、
 
・単元を通して、子供たちがどのような力を身につけるのか?
・組織として日々の授業をどう設計するのか?
 
なのです。


授業設計の共通言語を生み出すQLP

学校経営方針と直結し、具現化する一番の柱である校内研究において「共通言語」が必要であることを全話でお伝えいたしました。
 
一番最初で一番大きなGearの「共通言語」が回り始めると組織全体のGearが躍動します。
 
その中でも「授業設計」のGearが大きく、音を立てて回り始めるのです。
まるで、大きな水車のように大量の水を動かし、清らかで、滑らかな水流を生み出すかのように。
 
QLPロジックは、どんな授業でも必ず通る「設計フィルター」です。
 
QLPロジックは授業の型ではありません。
授業設計をする理念です。
 
だから、QLPロジックは授業設計の共通言語を生み出す理論なのです。


QLPロジックの3つの軸

QLPロジックには3つの軸があります。

QLP logic

① 問い(Question)
単元の導入時に、共通の問いから、効果的な問題提示をして個々の問いを生み出します。
このことによって、子供たちの探究心に火がつくのです。
 
どんな研究主題でも、どんな目指す児童像にも、探究心をもって主体的に学習に取り組む姿が求められるはずです。
ですから、個々に問いをもつことは、どの教科も、どの単元でも、必ず必要となるのです。
 
これこそが、単元設計において共通言語になるのです。
 
② 学習環境(Learning Environment)
個々の子供たちは自分の問いからスタートした探究の旅で、自分の問題解決を図ります。
 
そのために教師は、レールではなく、大きな器を準備するのです。
それが、学習方法と場の設定です。
 
子供たちは、自分の問いに対して探究的に学ぶ、最適な学習方法と場を選択します。
自分が選択した場では、偶有的な仲間との必然的な自然な対話により協働が生まれるのです。
 
個別最適な学びでありながらも、協働的な学びが展開されます。
 
このような日常の授業を目指すことが、授業設計における共通言語になります。
 
③ パフォーマンス課題(Performance Mission)
単元設計で最も大切なことは、子供たちが単元を学ぶ目的をもっているかです。
 
どうすれば、子供が学びの目的をもつことができるのか?
 
そのゴールを教師が示すのです。
「単元で身につけた力でアウトプットしましょう!」
この言葉です。
 
単元で自ら習得した道具を使って、自分なりの成果物を創り出すのです。
この魅力的なゴールを子供たちは単元の旅の目標にして、探究的に学ぶのです。
方法は違っても同じ方向性のゴールを目指す仲間同士の真の協働が実現します。
 
だから、このパフォーマンス課題も授業設計における共通言語を生み出せます。


単元を設計することが授業改善につながる

どんな研究授業も日常の授業につながっていなければ、授業改善とはいえません。
 
しかも、その授業改善が個々の教師の工夫に任されておしまいだから、成果が蓄積されず、その先生が移動すると消えてしまいます。
日常の授業をQLPロジックという設計フィルターで見直すことで、授業改善は日常化します。その結果、これまで別々に語られてきた個別最適な学び・協働的な学び・探究的な学びが、一本の串でつながるのです。
その共通言語化で、どの教員も同じ視点で授業を語ることができるのです。
個々の教師の能力に頼ることなく、個々のよさを生かした質の高い日常の授業が展開されます。
 
これが、真の授業改善であり、シン教育OSの肝なのです。
 
共通言語のGearがQLPロジックのGearを回し、そこで授業設計のGearが躍動的に回り、それが、校内研究のGearを力強く回すのです。

勢いよく回る2つの歯車

いかがでしたか。
学校を変えるのは、一人の名授業ではありません。
学校全体で共有できる「学びの設計図」です。
それこそが、QLPロジックなのです。
 
次回は、「評価・改善(学力観)」のGear旅をお楽しみいただきます。


🗣️ この連載について
元校長・山下による連載「シン教育OSが描く未来の教育」(全21回)は、毎週木曜に配信しています。
 
前の記事:(7)「学校が変わらない原因は、先生ではなく『共通言語』だった。」
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