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中村屋の藝。〜二月歌舞伎座 夜の部『雨乞狐』〜

二月歌舞伎座の夜の部。

二つ目の演目は
『雨乞狐』。

当初の予定は…
みたいな話はいいとして
これは
中村屋しか手掛けていない演目なんですね。

十八世勘三郎さんが初演した
新作舞踊ということです。

六役を早替わりで演じる
見どころたっぷりな演目です。

今回は
勘九郎さん三役
七之助さん三役
という配役。

まずは
曲が良かった。

竹本ですが
これが
ポップで良いんですよね。

義太夫は
重厚な感じがどうしてもしてしまいますが
意外にポップなんです。

結局のところ
土着的なところがあることで
その
ドロっとしたエネルギーが
そのまま詰まってるんだと思うんです。

長唄は
都市の音楽ですからね。

よく言えば
整っていると言えますが
反対から言えば
うまくまとまってしまっている
というようにも言えると思います。

すべての曲がそうだとは思いませんが
土地柄や嗜好など
違ってくるところだと思います。

だから
竹本の舞踊というのは
すごくエネルギーを感じる。

曲がすでにして
そうですから
舞踊の方も
出の野狐から
とってもエネルギッシュでした。

振りも細かくて
ダイナミックでした。

次の雨乞巫女も
とってもダイナミック。

ここまで
ダイナミックな踊りも
あまりないですよね。

そして細かい。

この細かさというのは
まずないでしょう。

ダイナミックで言えば
『供奴』なんかも
そうかもしれませんが
細かさというのは
古典の舞踊には
あまりない気がする。

それをまた
七之助さんが
楽しそうに踊るんですよね。

これがね
中村屋だなぁと思います。

エネルギッシュである
ということは
中村屋のひとつの藝の根幹であるとも
言っていいんじゃないですかね。

こういう
〝気〟みたいなものが
そもそも
藝の真髄でしょうしね。


そして
次の座頭から勘九郎さんです。

座頭も良いですが
その次の
小野道風が
なんともたまらない。

すんばらしかった。

あの空気感というのは
良いですよ。

道風の色気というのが
出てくるわけですから。

そもそもが
この場面
好きでしたね。

花札でも有名な
柳に小野道風の構図。

そして
道風が蛙が柳に飛び付くを見て
書に励むようになるというエピソード。

それを
このように
生の舞台で表現されると
こういう世界観になるのかぁって
とっても良い空気感でした。

結局ね
舞台の感想なんて
空気感とか雰囲気とかのもんだから
書けないんですよね。

まあ
仕方ない。


続く
七之助さんの
狐の嫁入りのところも
おもしろかった。

黒澤明の『夢』みたいだしね。

そして最後は
勘九郎さんの野狐。

これの跳躍が凄い。

凄いなんてもんじゃない。

アスリートみたいですよ。

人間の身体の表現を観るのが
舞踊だとして
その意味でも
中村勘九郎という人は
凄い舞踊の表現者ですよね。

勘九郎さんで観たい舞踊は
たくさんあります。

『雨乞狐』
体への負担は並大抵ではないと思いますが
また観たい舞踊でした。

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