【第300話】安いゴーゴーバー ★祝!300話達成-
前回の続き。。
支援者Tにとって初めてのゴーゴーバーとなるナナプラザのレインボー4。
Tはモジモジしたまま、一向に女の子を選ぼうとしなかった。
もちろんTも根っからの女好き。
人見知りするタイプではなく、ナンパで先陣を切って女の子に声を掛けることも珍しくなかった。
しかし、ここは日本ではない。
大音量の音楽。
激しく動く照明。
目の前のステージには大勢のゴーゴー嬢。
自分で一人を選び番号を伝えて席へ呼ぶ。
何よりも違うのは外国であり日本語が通じないこと。
Tは、この独特な雰囲気に完全に圧倒されていた。
ステージを見渡してはいるものの決められない。
時折ビールを口へ運びながら黙ったまま女の子たちを目で追っている。
俺とMさんも急かしながらも様子を見守っていた。
そしてしばらく悩んだ末、ようやく覚悟を決めたらしい。
TがMさんのほうへ少し身を寄せ、話し掛けた。
「Mさん、XX番でお願いしまっス…」
ついに決めた。
MさんはTが選んだ番号を確認すると、ステージへ目を向けた。
「おっ、ええやん♪」
そして、何やら知っているような口調で続ける。
「あの子はな?見ての通りの巨○でしかも優しいんや」
Tは驚いたようにMさんを見た。
「あの子、知ってるんですか?」
するとMさんは、ニヤリと笑った。
「心配するな(笑)」
「まだ刺し込んでないから(笑)」
Mさん独特の表現にTは笑っている。
しかし俺にも、その言葉がどこまで本当なのかは分からなかった(笑)
「日本語も片言なら話せるからTにはちょうどええわ」
「じゃあ、お願いしまっス」
Tは少し照れながらも改めて頷いた。
ようやく決まった初めての指名。
しかしTが選んだ彼女は、ちょうどステージで踊っている最なのでホールスタッフから返ってきた答えは「10分後にダンスタイムが終わるから待て」と。
「10分かぁ……」
Tはそう呟きながら再びステージへ視線を戻した。
先ほどまでは、ただ眺めているだけだった。
しかし今は違う。
大勢の女の子が踊るステージの中に自分が初めて指名した一人がいる。
Tの目は、先ほど以上にキラキラと輝いていた。
「あんなセクシーで可愛い子が自分の相手をしてくれる」
きっとこう思っていたに違いない。
Tの指名した子を待つわけにもいかないため、Mサンと俺は先にドリンクを隣に座った女の子に提供した。
「あ、そういうシステムなんスね」
「そやそや。ここでは奢ってあげてナンボや」
女の子を席へ呼べば、自分の酒だけを飲み続けるわけにもいかない。
一緒に乾杯し、楽しく話し、その時間を盛り上げてもらう。
それが、ゴーゴーバーでの遊び方というものだ。
「でも、もし一人で来て、誰も横に座らせなければ、ビール一本だけで何時間でもいられるんだぜ」
俺がそう説明すると、Tは手に持っていたチャンビールへ視線を落とした。
「へぇ~… これ一本、いくらっスか?」
「あんまり気にしたことなかったけど130バーツだったかなぁ?」
「130バーツ……」
Tは頭の中で計算を始める。
「えっと、日本円ならタイバーツの3倍だから……」
しばらく考えたあと、突然何かに気付いたように目を見開いた。
「えっ! 待ってください!」
そして、ステージへ勢いよく顔を向ける。
「こんな可愛い女の子たちのエ○いダンスを見ながら、ワンコイン以下っなんスか!?」
「最高だろ~?(笑)」
俺が笑うと、Tは改めて店内を見渡した。
ステージを埋め尽くすほどに居る、セクシーな格好をした女の子たちのダンスを眺めながら、冷えたビールを飲むだけなら、日本円で数百円。
Tにとっては、かなり衝撃的だろう。
「女の子のドリンクは、もうちょい高いで」
女の子に優しくボディタッチをしながらMさんが付け加える。
「それでも、日本と比べれば安いけどな(笑)」
「あぁ~、地元のツレに教えたいっス(笑)」
Tは興奮した様子で笑った。
「そう思うやろうなぁ(笑)」
Mさんも大きく頷く。
「地元には場末のスナックしかないもんな(笑)」
「そうそう!」
Tは待ってましたと言わんばかりに身を乗り出した。
「先月末にツレと三人でラウンジという名のスナックに行ったんですけど、一人九千円っスよ!」
「しかも、付いたオネーチャンは一人だけ……」
Tは一度言葉を止めた。
そして、さらに声を大きくする。
「しかも、しかも、ブ○イクでした(笑)」
「アハハハハ!」
俺とMさんは同時に吹き出した。
三人で九千円ずつ。
それなりの金額を払って、付いた女性は一人。
それに対して今、Tの目の前には余るほどの女の子がいる。
Tが感動するのも無理はなかった。
初めは独特な雰囲気に圧倒され、モジモジしていたT。
しかし、タイビールを飲み、店の仕組みを少しずつ理解するにつれ、徐々に本来の明るさを取り戻していた。
祝☆300話 達成!!
いつも応援ありがとうございます

記念回、もっと良い挿絵にしたかった(笑)

