読書ノート 『人間とは何だろうか 脳が生み出す心と言葉』酒井邦嘉 その1
人間とは何かを考えるとき、完全な答えということがないことはこれまでの歴史を見ればわかると思います。こういった哲学的な問いはアプローチの仕方でその答えも変わってくるのだと思います。
言語脳科学者 酒井邦嘉
1964年生。東京大学大学院総合文化研究科教授。博士(理学)。脳機能イメージング等の先端的手法を駆使して、言語や創造的な能力の解明に取り組んでいる。著書に『言語の脳科学』『科学者という仕事』ほか多数。
(https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309631998/より引用)
本書の解説はチョムスキーの理論をもとに演繹法による解説を試みています。演繹法とは一般的原理や事実から、一つ一つのことがらを論知的に推論することです。
脳が生み出すこころと言葉(言語)の関係性について理解を深めるところから、人間とは何かを考えます。
脳-心-言語の関係
心の働きは脳機能の一部ですが、脳には心以外の機能もあります。同じように言語の働きは心の一部ですが、心には言語以外の働きがあります。

こころとは何か?
こころとは何かと言われてもちょっと困ってしまいます。
こころとは、人間の理性・知識・感情・意志などの働きのもとになるもの。また、働きそのものをひっくるめていう(デジタル大辞泉)。
著者の考えでは、「こころとは脳機能の一部であって、知覚ー記憶ー意識の総体である」と定義しています。

コミュニケーションとは何か?
人間と動物はどう違うかということですが、例えば鳥のさえずりは、模倣と再現までであり、豪物のディスプレイは、あり一定のパターンに限られることが説明されます。
人間のコミュニケーションとしての発話は意図を持ち、自己の思考と他者の想像を前提とした意思疎通ですからそのレベルには大きな差があります。
人間の言語とは?
人間の言語が動物と違うところは、模倣や再現を超えていくらでも新しい組み合わせを生む能力を持っていることです。それは、脳の神経プログラムとしてあらかじめ備わっていて、具体的な言葉そのものではなく、言葉のまとまりを生み出す能力なのだろうといいます。
言語はどのように進化したのかという問題です。進化というのは目的を持っていません。キリンの首は高い木の葉を食べるために長くなったのではないということです。何々のために進化したという説は科学的に誤りです。
私の尊敬する遺伝学者木村資生の中立説が補足と解説に出ています。生存に対して有利にも不利にもならない「中立な」変異は進化において重要な役割を果たしています。彼は当時主流であった「自然淘汰説」だけでは説明できない生物進化のメカニズムを解明しました。「運の良いものが生き残る」という考え方です。
人間の言語能力は中立的な進化の過程で運よく獲得された可能性があります。
チョムスキーの普遍文法
人間はわずか数年で複雑な母語をマスターします。このような言語習得の謎についてチョムスキーは、人間は生まれつき、すべての言語に共通する基本的なルールの枠組みを脳内に持っていると主張しました。普遍文法は言語の根源的な性質や構造に関する理論です。
・言語の核心は「思考の道具としての言語」にある。
・人間の言語能力の大半は、生得的な遺伝プログラムによって獲得される。
・言語は人間固有の能力であって日本語や英語のような個別の言語によらずに普遍的である。
動物はコミュニケーション方法をもっていますが訓練しても人の言語を理解することはできません。(普遍的な文法がないという意味です)
言語は思考の道具ですから思考は言語能力を持つ人間だけができることになります。(人間とは何かの一つの答え)
人間とは言葉を使い考えるサルである めばる
積読本にこういうのがありましたが、ちょっと難しそうです💦
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!