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カッコつけの代償として暇に耐えられなくなった私

タバコを吸い始めた理由は驚くほど中身のないものでした。ただカッコつけたかった。それだけです。映画の主人公や憧れの先輩が煙を吐き出す姿を見て、自分もあんなふうに何かを分かっている顔をしてみたかったのです。あの細い棒を指に挟んでいるだけで自分が少しだけ大人になったような、あるいは何か深い考え事をしている人間になれたような気がして、無理をして煙を肺に送り込んでいました。

当時は味が美味しいなんて思っていませんでした。喉は痛いし、服には臭いがつくしお金もかかる。それでも火を点け続けたのはタバコを吸っている間だけは、自分が何者かになれている錯覚に酔いしれたからです。手持ち無沙汰な時間にただぼーっと突っ立っているのは、なぜか自分をさらけ出しているようで恥ずかしい。でも、そこに一本のタバコがあれば休憩している人という正当な役割が手に入ります。何もしていないのに何か意味のあることをしている顔ができました。

今思えばあの頃の私が必死に守ろうとしていたのは、タバコという物質ではなく、タバコを吸っている自分の形でした。中身のない自分を隠すために、煙という小道具を使って精一杯の背伸びをしていたのだと思います。そうやって形から入った結果、いつの間にか私はその小道具なしでは外の世界へ出られないほど、自分の居場所を自分一人で作る力を失っていました。

自分を大きく見せたいという浅はかな欲求が、いつの間にか吸う理由がなければ外に出られないという不自由な檻に閉じ込められていました。

吸っている理由が欲しかっただけの自分

タバコを吸っていた頃に恐れていたのはニコチンが切れることではなく、本当の恐怖は誰が見ても分かる何かをしている理由を失うことにありました。

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