シャツのこと 03 Praia Vermelha にて
晴れた午後。
赤い岩山に抱かれた、小さな Praia Vermelha(赤いビーチ)。
ブラジルの冬の光はどこまでも澄んでいる。
海は光を返し、白い砂浜には、友達や恋人、家族連れの笑い声が散らばっていた。
その中を、ひとりの老紳士がゆっくりと歩く。
紺色のスイムパンツに、細くて長い手足、少し前かがみの背中、日に焼けた肌には深いしわが刻まれ、そのしわまでもが‘美しい。
しばらくして、どこかから戻って来た彼は、スイムパンツに長く着古した白いボタンダウンシャツを羽織っている。
そのシャツは、洗濯したてのように太陽を受け光っていた。
何度も海風を受け、何度も太陽を浴び、彼と同じように歳を重ねた。
そして彼はまた、ゆっくりとどこかへ去っていく。
眩しい午後に目を奪われたのは、太陽ではなく、その光の中を歩くひとりの人間。
海の音、潮の匂い、砂の熱、賑やかな声が、その姿をいっそう静かに深く見せていた。
年齢を重ねるとは、光の中で肩の力を抜いて生きられるようになること。
Amor xxx
